広島一筋21年目の青山敏弘、新スタジアム公式戦デビュー「僕にとって特別な勝利」

写真拡大

 青山敏弘が新スタジアムで公式戦デビューを飾った。サンフレッチェ広島は14日、明治安田J1リーグ第23節でアビスパ福岡をホームに迎え、1−0で勝利しリーグ戦4試合ぶりに白星をつかんだ。

 青山は後半アディショナルタイム5分に途中出場し、今季リーグ戦初出場。エディオンピースウイング広島では2月のこけら落としマッチ以来のプレーとなり、公式戦で新スタジアム初出場を果たした。

 今季はこれまでカップ戦の2試合に出場し、天皇杯のバレイン下関戦ではゴールも決めていた。だが、リーグ戦では本職ではない選手がボランチで起用されることも多く、MF野津田岳人とMF川村拓夢のボランチ2人が移籍でいなくなってもベンチ外の日々が続いていた。

 それでも、38歳のベテランMFは新スタジアムのピッチに立つチャンスが来ると信じて、常に自分と向き合って取り組んできた。

「まず自分のパフォーマンスを上げるのが目標だし、どんな時でもそれは変わらない。自分自身のコンディションやパフォーマンスのところでずっと悔しい思いはしている。でも、チームには常に勝ってほしいし、その中で少しでも(出場に)近づきたいという思いはあった。1試合でも1分でも1秒でも、その中で自分の仕事があるのなら、求められるのなら、そこに向かって準備するだけだし、それはこれからも変わらない」

 福岡戦で今季リーグ戦初のメンバー入りを果たし、新スタジアムのピッチに近づいた。出番がないまま試合は進んでいったが、後半アディショナルタイムになる前、ついにミヒャエル・スキッベ監督からアップのペースを上げるように指示が飛ぶ。最後の最後で巡ってきた出場機会。青山はこのときのために取り組んできた。

「自分なりの準備を常にするようにはしている。それがどういう結果になろうが、それだけは自分の中でコントロールできるところなので、そこは目一杯やっている」

 ベンチ前で交代を待っているとき、スキッベ監督からは握手と背中を叩かれて送り出された。青山は、「1点差でも出してもらえたので、そういう監督の気持ちをどうしても勝利に結び付けつけたかった」と勝利への強い意欲と感謝の気持ちを抱いていた。

 背番号6の途中出場が告げられると、紫の大歓声が沸き起こった。1点差という難しい状況の中、塩谷司との交代で、青山がついに新スタジアムで公式戦のピッチに立った。

「どういう雰囲気になるんだろうと思っていたけど、いつもどおり試合に集中できていた。ファン・サポーターのみなさんもいつもどおり戦っていたので、そこに自分が出て特別な瞬間をお互いに共有できたのは僕のキャリアでも大きい出来事だった」

 ボランチに入ってプレーできたのは約2分間。ボールタッチは少なかったが、終盤でチームメイトの足が重い中で、ベテランが懸命にボールを追って喰らいついた。プレーが途切れたときは身振り手振りで味方を鼓舞した。そして、試合終了のホイッスルが鳴ると、ピッチの真ん中で両腕を高く上げて喜んだ。

 待望の新スタジアム公式戦出場。青山は、「待ちに待ちました。感動しましたね」と試合後に感慨深そうに語った。

「ピッチに立つという目標だけじゃなく、やっぱり勝ちたかったし、ここで勝ってみんなで喜ぶのが目標だった。そういう展開で出させてもらったのは本当にうれしいし、自分が入って負けるのは嫌だったので、やっぱり勝ちたい気持ちがあった。厳しい試合展開だったけど、僕の中でちょっとストーリーがあったような感じがした。まだまだこれがスタートだと思っているけど、僕にとって特別な勝利だったし、ファン・サボーターのみなさんが盛り上がっていただいて、あの声援が一番うれしかった」

 青山がリーグ戦で前回出場したのは昨季のホーム最終戦。昨季まで本拠地として使っていたエディオンスタジアム広島(現ホットスタッフフィールド広島)でのラストマッチだった。当時は試合後にホーム移転の実感が湧かないとも話していたが、新ホームのピッチに立って新たな一歩を踏み出した。これから新スタジアムへの思いを積み重ねていく。

「僕にとって今日が本当のデビュー戦なので、まだ始まったばかり。そのスタートに立てたことが次につながると思うので、これから(新スタジアムへの)気持ちを作っていきたい」。広島一筋21年目、青山の新スタジアムでの歴史が始まった。

取材・文=湊昂大