(左から)SnowMan目黒蓮と川口春奈

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《曜日感覚狂わないように未だに木曜日にsilent観てるらしい…》

【写真】まだこんなに並んでるの?撮影現場のカフェに長蛇の列

 2月3日フワちゃん(29)がツイッターで若槻千夏(38)の写真とともに投稿。若槻は昨年フジテレビ系で放送された『silent』の大ファンとして知られており、ドラマが終わって1か月以上たつ今でも見ているとか。

ドラマ『silent』の人気が未だに衰えない

「本放送だけでなくティーバーやFODなどの配信でも多く見られた作品。若槻さんだけでなく、今もハマっているという人は多いのかもしれませんね」

 と、メディア研究家の衣輪晋一氏は放送終了後も続く『silent』の人気について話す。FODではいまだランキング上位だ。

「全11話における見逃し配信の再生数累計は6191万再生を記録。配信で強い作品はブームが長く続くのかもしれません」(衣輪氏、以下同)

『silent』は、川口春奈(27)演じる主人公の青羽紬と、目黒蓮(25)演じる高校時代の恋人・佐倉想の切なくもあたたかいラブストーリー。

「テレビ視聴者の中にはジャニーズ俳優が出演するだけで見るのをやめてしまう人が少なからずいます。ただ、ジャニーズでも風間俊介さんや生田斗真さんなど演技を仕事の軸にしているタイプは別。目黒さんはそうした俳優として認識され、見る層が広がったのかもしれません」

 ヒロイン役の川口にとってもこの作品が好影響を与えた。

「長らく囁かれた低視聴率女優という汚名を返上できました。もともと演技も上手ですし、いい作品と出合えなかっただけだと思います」

 当たり役に出合えた川口は同年代女性にとってファッションアイコンに。ドラマで着用した服はネット上で次々と特定され、今も売れ続けている。例えばドラマ内で紬が毎回着用していたゴールドのコインネックレス。この商品を扱っているアパレル代理店に話を聞くと──。

「具体的に何個売れたかは把握していませんが、ドラマが始まってすぐに、取り扱いのある店舗ではどこも完売したと聞いています。ネックレスはオーストラリアのブランドなのですが、本国にまで何百件と問い合わせがあったようです。電話よりInstagramのDMが多いようですね。定番のものなので、製造はされていますが日本での販売再開は現在も未定です」

 このネックレス以外にもブルーのカーディガンなど、ドラマで着用していた服は同代理店で取り扱っており、すべて問い合わせが殺到したという。

「ニットやスカートなど春に合うもののアイテムが多いので、今後も問い合わせは続くかもしれません」(アパレル代理店)

世田谷代田でコンポタ缶が飛ぶように売れている

 ドラマのロケ地として使われた小田急線の世田谷代田駅前は“聖地巡礼”として名所に。2月上旬に世田谷代田駅へ出向くと、平日にもかかわらず記念撮影をしている人がいまだ多くいる。ドラマで使用された駅前のベンチで撮影しようと、順番待ちをする人も見られた。駅近くのコンビニで話を聞くと、

「最近でもドラマのファンと思われる女性やカップルの方は多いです。土日はもっとすごいですよ。ドラマにも登場したコーンポタージュ缶は店頭に出せばすぐ売れてしまいます」

 コンポタ缶を持ってベンチで撮影する人も多く、駅の自販機で販売しているコンポタ缶は15倍の売り上げという話もある。

 小田急電鉄によれば、11月の世田谷代田駅の定期外乗降人員数は、ドラマが始まる前の9月と比較して22.7%増だった。不動産・住宅情報サイト「ライフルホームズ」の賃貸物件ページ、世田谷代田駅の閲覧数は、ドラマ放送前から1.2倍に増えたという。

 ドラマによる影響もありそうだが、前出の衣輪氏はここ数年の“聖地巡礼”の経済効果について分析する。

「『silent』の経済効果は数字としては出ていませんが、それなりにあると思います。過去のドラマでは'13年放送のNHK朝ドラ『あまちゃん』が33億円、地元への経済効果があったといわれ、そのあたりから聖地巡礼の経済効果が騒がれるようになりました。ロケの誘致から撮影のサポート、その後の観光客誘致などを行うフィルムコミッションによる地域活性化が盛んになっています」

『silent』の場合は昨年4月から開始した小田急のロケーションサービスが関わっており、地域活性化が成功したいい例だ。だが、聖地巡礼が増えると問題点も多い。

毎日長蛇の列に近隣住民も驚きの声

 撮影で使用されたカフェにも行ってみると、平日の寒い日にもかかわらず、2時間待ちの大行列。並んでいた女性に話を聞いたところ、

「北海道から来ました。昨日はディズニーランドへ行ったんですが、今日はここに来ようと決めていました。“めめ”と同じ空気が吸いたくって! カフェが予約を受け付けてなかったので、並ぶ覚悟で1日予定を空けて来ました」

 現在このカフェではドラマの撮影で使った“silent席”のみ期間限定で予約を受け付けており、普段は予約を断っているよう。近隣住民に話を聞くと──。

「あまり人の多い通りでもないし、最初は何事かとビックリしました。週末はもっと人が多くて、オープン前から夕方までずっと行列が絶えないの。50人くらいは待ってるんじゃないかな。店員さんもすごく気さくでいい方たちだし、犬を連れてOKのカフェだったから、昔は散歩中にフラッと寄ったりもしたけど……最近は全然入れないのよね」

 よくカフェを訪れる常連だったが、今はなかなか行けず寂しいという。別の近隣住民に聞くと、

「きちんと列になって、歩道の端で並んでいるんだけど、たまに周りに気を使わず記念撮影している人たちがいて。店の前が坂道だから、自転車で勢いよく走ってくる人と衝突しそうになって危なかったこともあるね」

 危うく事故が起こりそうな現場を目撃したという。

 昨年12月25日、小田急線下北沢駅南西口広場には『silent』の白いクリスマスツリーが登場。

 同時期、TOKYO MXで放送されていたアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』も最終回を迎え、舞台だった下北沢には多くの人が聖地巡礼で訪れたが、それに対して下北沢にある老舗ライブハウスがツイッターで注意喚起を促したことも。

 前出の衣輪氏も聖地巡礼は諸刃の剣だという。

「フィルムコミッションなどのサービスはまだ過渡期で、地元住民の協力が得られないようなケースはあります。聖地巡礼は作品の応援にもつながるし、地域や店舗を応援することにもつながります。ですが、近隣に住んでいる方にとっては日常の場であることを忘れてはいけません」

 地元の方に配慮しながら、迷惑行為にならないように聖地巡礼を楽しみたい。

衣輪晋一(きぬわ・しんいち)●メディア研究家。雑誌『TVガイド』やニュースサイト「ORICON NEWS」など多くのメディアで執筆するほか、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中