過激な850psの六輪駆動 アポカリプス・ジャガーノート6x6へ試乗 ベースはラムTRX
宇宙船のような過激なルックスに850ps
テキサスはすべてが大きいと、アメリカ人はしばしば口にする。だがこれは、フロリダに置き換えても間違いではないだろう。
【画像】アポカリプス・ジャガーノート6x6 ベースのラム 超ワイルドなオフローダーは他にも 全128枚
それでも、マイアミの片側数車線あるハイウエイで、アポカリプス・ジャガーノート6x6は少し窮屈そうだ。でかいピックアップトラックに見慣れた人でも、思わず二度見せずにはいられないらしい。

アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)
黒光りする巨大な乗り物は、ラムTRXというピックアップトラックをベースとしている。このTRX自体も、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)傘下の自動車メーカーが量産車として提供する、英国人や日本人からすると桁外れのモデルといえる。
それをアポカリプス・マニュファクチャリング社は徹底的に改造。戦車というより宇宙船のような過激なルックスを与え、V8スーパーチャージド・エンジン「ヘルキャット・ユニット」を、850psまでパワーアップさせた。もちろん、ノイズも盛大だ。
ジャガーノートの特徴であり、多くの視線を集めるポイントとなっているのが、4基のロッキングデフを搭載したフルタイム六輪駆動であること。必要なだけリフトアップもされている。
ジャガーノート6x6の価格は、30万ドル(約4350万円)から。ちなみに燃費は、1.0km/L程度らしい。どでかいモノが大好きなアメリカとはいえ、少々規格外かもしれない。
TRXの驚くべき動的能力をさらに拡張
不思議なことにマイアミでは、ジャガーノートの運転席が特別な場所には感じられなかった。40インチのマッドテレイン・タイヤが6本ついたピックアップトラックで、終日運転を楽しむことができた。
街を走る、ソリッドアクスルにダブルタイヤの大型ピックアップ、デューリーが小さく見える。ルーフが見下ろせる。

アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)
信号待ちの度に、歩行者や周囲のドライバーが集まってきて、スマートフォンを向けてくる。ちょっとした渋滞を作ってしまうから、ステアリングホイールを握る筆者は若干の罪悪感がないわけではなかった。
ジャガーノートは、馬鹿げた会話のはずみで誕生したわけではない。アポカリプス・マニュファクチャリング社を創業した、デザイナーでエンジニアのジョー・ガッタス氏は、荒野を激走できるTRXの驚くべき動的能力を拡張することへ情熱を注いできた。
ビルシュタイン社のアクティブ・ショックアブソーバーは、TRXが本来実装するドライブモードに接続され、モードに応じて最適な減衰力特性が得られるようになっている。ブレーキディスクとパッドは軽量なもので、重量増加を可能な限り抑えている。
フロントサスペンションは、オリジナルのTRXでも独立懸架式。幅12.5インチという極太なマッドテレイン・タイヤを履いていても、ステアリングホイールは驚くほど軽い。牽引重量は3674kgから9072kgへ、大幅に高められている。
2番目のアクスルを独自設計し六輪駆動化
静止状態でアクセルペダルを深く倒すと、スーパーチャージャーから悲鳴が上がり、排気音が1オクターブほど低くなる。即座にパワーが伝達され、六輪ドリフトが始まる。挙動は漸進的で予想しやすい。
1日の試乗が終わりに近づいた頃、隣りに座っていたガッタスに試して良いか確認したから大丈夫。巨大なピックアップトラックがドリフトする様子に驚く筆者を、笑みを浮かべながら眺めていた。

アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)
巨大なボディにぶら下がる4本のリアタイヤが、3車線分を跨ぐようにスライドする。ガッタスと彼のスタッフは、こんな悪ふざけのために毎日頑張っている。
実際のところ、ジャガーノート6x6のユーザーの多くは、ワイルドに目立つことが主な目的かもしれない。しかし、限界領域まで能力を発揮させているドライバーもいるという。砂丘を豪快に突き進むことなど容易い。ガッタスは、そんな乗り方を愛している。
また彼は、思う存分運転を楽しんだら、アポカリプスのワークショップへ1度クルマを戻して欲しいと考えている。カスタムの耐久性を評価するために。
アポカリプスは、ボルトで固定できる2番目のアクスルを独自設計することで、六輪駆動を実現。フォードの9インチ・デフハウジングを加工し、後ろ側にプロペラシャフトが追加されている。
オリジナルのリアアクスルは後方へ移動され、3番目のアクスルとして働く。最適なサスペンション・ジオメトリーを得られるよう、伸ばされたシャシーのコントロールアーム・ポジションなども改良済みだという。
ラジエターは巨大な荷室へ移設 人気は上々
850psという大出力に耐えうるべく、ラジエターはフロント側から取り外され、巨大なリアの荷室へ移設。冷却性能も向上してある。ただし、ドライブトレインの内部抵抗などは計測していない。馬力は、エンジン単体が発生するものだそうだ。
ジャガーノート6x6に30万ドル(約4350万円)を支払うような人は、パレードの見世物のような注目度の高さだけでなく、豪華さや快適性も重視する。そのため、天井の内張りには星空のように光る加工が施されているし、専用の刺繍でインテリアは飾られる。

アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)
赤外線カメラの映像で、外の様子を確かめることもできる。映画、地獄の黙示録に影響を受けたようなユーザーには、ピッタリかもしれない。
いかにもアメリカンなコンバージョン・ピックアップトラックだが、この地でも内燃エンジンの終焉が近づきつつある。排気ガス規制は厳しくなる一方で、既にバッテリーEVのピックアップも登場している。
フォードの次期型F-150 ラプターRは、ラムTRXへの最後の内燃エンジンによる対抗モデルになる可能性はある。もう少しデトロイトによるピックアップトラックの覇権争いが繰り広げられそうだが、そう長くは続かないだろう。
チューニングメーカーが受ける影響はもう少し先とはいえ、ジャガーノート6x6へ興味を抱いたのなら、早めに問い合わせした方が良いかもしれない。かなりの人気なのだ。
次のコンバージョン・メニューも立案中
ガッタスによれば、2022年7月には120台のコンバージョンを手掛けたとのこと。春先には月80台程度だったそうだから、生産体制を拡張してまかなっている。
テキサスに拠点を置くとある有名チューニングガレージへ、ライセンス契約を組んで6x6トラックを製造しないか打診したとも話す。確かにテキサスはでかいが、巨大で険悪なピックアップトラックを作らせれば、フロリダの方が一枚ウワテらしい。

アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)
アポカリプスでは、次のコンバージョン・メニューも立案中。フロントバンパーとスキッドプレートが一体になった独自のフロントグリルをデザインし、エンジンルーム内の気流を改善させる予定だ。6.2Lのヘルキャットを、低い温度で稼働させるために。
翼を広げたようなフェンダーのフレアも、もう少し穏やかなものになるらしい。確かに、ちょっとやり過ぎかもしれない。
アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)のスペック
英国価格:30万ドル(約4350万円)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:−
0-100km/h加速:−
燃費:1.1km/L(予想)
CO2排出量:−
車両重量:3650kg(予想)
パワートレイン:V型8気筒6166cccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:850ps
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック
