6月21日、党首討論会に臨む泉健太立憲民主党代表(写真・時事通信)

 参院選(7月10日投開票)の公示を翌日に控えた6月21日、日本記者クラブ主催で、与野党9党の党首が集い党首討論会が開かれた。

 この日の討論会は、2部構成。第1部では各党首がほかの党首を指名して質問する形式だった。野党党首の質問は、岸田文雄総理に集中した。

 そして第2部は、記者クラブ代表による質疑応答。記者が社民党の福島瑞穂代表への質問に入ったとき、会場に緊張が走る瞬間があった。

「野党の構図を見てみますと、立憲民主党さんが限りなく左のほうに寄っているように見えて、共産党さんに近づ……」(記者)

「あ? なんだ今の? どういうこと?」

 横から割って入る、恫喝じみた声。社民党の福島党首にも、困惑の表情が見て取れる。記者はとまどいながら、福島党首への質問を続けた。

「あ、ごめんなさい。反論があったらあとでお願いします。ちょっといま、福島さんへの質問ですから、ちょっとあとで。お控えください。私の見方ですけど、間違ってたらあとでご指摘ください。野党の構図を見ますと、立憲民主党さんが左……」

「もう1回言うの? もう1回わざわざ言うの?」

 ひきつった笑顔を見せながら、2回も横から質問にクレームを入れたのは、立憲民主党泉健太代表だった。記者は仕方なく、福島党首への質問に戻った。

「はい。じゃあ、つまり言いたいことは社民党さんの存在理由があるのかということを問いたかったんです。失礼ながら、社民党さんの歴史的使命は終わってしまったのではないかと。かつての野党第一党がここまで縮んでしまった理由、また福島さんご自身のご責任をどのようにお考えになってますでしょうか?」

「はい。社民党の存在意義はいまこそ高まっていると思います」(福島党首)

 福島党首の応答は、泉代表とは対照的に見えた。

「記者クラブ代表による質疑応答時間では、記者から各党首に厳しい質問が飛び交いました。泉代表には、共産党との野党共闘・候補者調整に踏み切らなかった自負があるのでしょうが、他党の党首が質問を受けているなか割って入るのはいただけない。質疑応答時間を削ってしまったわけで、内容ではなく泉氏の『言い方』に、会場でも緊張した空気が流れました」(政治部記者)

 この動画が拡散すると、ネット上では、泉氏を非難する声が渦巻いた。

《聞き流せば目立たなかったものを》

《共産党にも失礼。左寄りが何故悪い》

《記者に評価を聞かされてキレ散らかすとか、凄くみっともない》

 6月12日には、日本維新の会公認の猪瀬直樹・元東京都知事が、女性候補者の身体をベタベタ触るシーンが拡散し、謝罪に追い込まれた。今回の参院選では、発言内容だけでなく、行動や言い方に批判が集まるケースが後を絶たない。

 他者の考えや姿勢に寛容さが求められる、多様性の時代。独善的な振る舞いは、政治家にとって致命的なダメージになりかねない。