iPhone 12は5G対応よりも「サイズとカメラ」で選べ! 「iPhone 12 mini」登場で大きく改善したシリーズ構成と存在意義
●米アップルがiPhone 12シリーズを全4モデル発表!
米アップルは14日(日本時間)、オンライン新製品発表会イベント「Apple Event - October 13」を開催し、新型スマートフォン「iPhone 12」シリーズを発表しました。
発表されたiPhoneは4モデル。
それぞれのラインナップや発売日、価格などは以下の通りです。
・iPhone 12 mini(11月13日発売)
64GB:74,800円(税込82,280円)
128GB:79,800円(税込87,780円)
256GB:90,800円(税込99,880円)
・iPhone 12(10月23日発売)
64GB:85,800円(税込94,380円)
128GB:90,800円(税込99,880円)
256GB:101,800円(税込111,980円)
・iPhone 12 Pro(10月23日発売)
128GB:106,800円(税込117,480円)
256GB:117,800円(税込129,580円)
512GB:139,800円(税込153,780円)
・iPhone 12 Pro Max(11月13日発売)
128GB:117,800円(税込129,580円)
256GB:128,800円(税込141,680円)
512GB:150,800円(税込165,880円)
iPhone 12およびiPhone 12 Proの発売日が早く、iPhone 12 miniおよびiPhone 12 Pro Maxの発売日が遅い点には注意が必要です。
iPhone 12シリーズでは、
iPhone 6以降続いていたラウンドデザインを廃止。
iPhone 4シリーズやiPhone 5シリーズのようなスクウェアデザインに回帰しています。
これは、すでに同様のデザインを一部モデルで採用していたiPadシリーズに合わせたものでもあり、昨今のアップルのデザイントレンドとなっています。
iPhone 6以降にiPhoneユーザーとなった人には新鮮に、それ以前からのユーザーには懐かしさも感じるデザインでしょう。
大幅なデザイン変更は、実に6年ぶりとなる
●ミリ波非対応は気にしなくて良い?
iPhone 12の目新しさはデザインだけではありません。
機能面では、ついに5G通信に対応しました。
米国モデルではミリ波にも対応していますが、日本向けモデルではSub6(サブシックス)と呼ばれる周波数帯のみの対応となります。
一般的に、5G通信の中で「本命」と呼ばれるのはミリ波です。
2Gbpsなどといった超高速通信を可能にする電波(周波数帯)であるため、
今回の日本向けiPhone 12シリーズでミリ波対応が見送りされたことを嘆く声も一部にはあります。
しかし日本の5G通信環境は、
NTTドコモをはじめ、移動体通信事業者(MNO)各社ともに十分に整備されているとは言えず、まだエリア展開の途上です。
さらにミリ波対応アンテナに至っては、東名阪地域のさらにごく一部といった状況であるため、日本国内においてミリ波での5G通信を利用できる機会はほとんどありません。
とはいえ、Sub6による通信でも、
理論値で1Gbps以上、実測値でも500〜600Mbps程度は見込める上、ミリ波よりも圧倒的に広いエリアをカバーできます。
エリア展開の実用性などからも、Sub6対応のみでも十分にエリア展開が整備されれば、実用として不便を感じることはほとんどないでしょう。
鳴り物入りで始まった5G通信だが、そのエリアはまだまだ狭い
●意外な注目モデル? iPhone 12 miniの魅力
もう1つ、今回のiPhoneラインナップで特徴的なことがあります。それはiPhone 12 mini登場です。
フルスクリーン・ノッチデザインを採用したiPhone X以降、iPhoneの高額化が加速し、安価なモデルを望むユーザーの声が噴出していました。
こうした声に応える形で、翌年のiPhone XSシリーズには廉価モデルとしてiPhone XRがラインナップされました。
また、iPhone 11シリーズでも、iPhone 11 Proがスタンダードなモデルとして位置付けられ、無印のiPhone 11は廉価モデルといった扱いでした。
しかしiPhone 11の画面サイズはiPhone 11 Proよりも大きかったため、シリーズとしての性能と価格、サイズ感は一貫性がなく、仕様で若干混乱するところがありました。
iPhone 11シリーズは、サイズ以外にもディスプレイ品質などで違いが多く、どれを選ぶべきか選択に迷う場面が多かった
今回ラインナップされたiPhone 12 miniは、
こういった「ラインナップの分かりづらさ」を払拭したモデルとして高く評価できます。
iPhone 12シリーズでは、一番価格が安く一番小さなモデルとして、iPhone 12 miniが設定されました。
そこから順に、iPhone 12、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Maxと、価格とサイズが大きくなるようにラインナップされています。
シンプルなネーミングのiPhone 12は、
シリーズの中心、最もスタンダードモデルとしてわかりやすく位置づけられています。
そこから小型で安価なmini、ハイスペックで高価なPro(およびPro Max)と展開されるラインナップは、誰の目からも分かりやすいものです。
iPhone 12とiPhone 12 Proのサイズはほぼ同等で、純粋にカメラ性能の違いとなる
さらに、iPhone 12 miniは性能面をiPhone 12とほぼ同等とすることで、廉価版=低性能版とはせずに、「小型サイズが欲しいから選ぶ」といった選択が安心してできます。
iPhone 12 miniのサイズ及び重量は、
高さ131.5mm×横幅64.2mm×厚さ7.4mm、重さ133g。
このサイズと重さは、昨今の大型化と重量化が進むスマートフォン市場で小型端末を望む声に応えるものです。
それでいて画面サイズは5.4インチを確保しており、小さすぎて使いづらいと言うほどでもありません。
性能で一切妥協しない「ハイエンドコンパクト」というジャンルのスマートフォンとしても、今後の市場や他メーカーへの影響にも注目したいモデルです。
世界最小・最軽量の5G対応スマートフォンとしても注目度が高い
●Proシリーズはカメラ性能を強化
iPhone 12 ProおよびiPhone 12 Pro Maxは、シリーズの中ではフラッグシップモデルとして位置づけられています。
最大の特徴は、カメラ機能の充実です。
iPhone 12 ProおよびiPhone 12 Pro Maxでは3眼のアウトカメラに加え、被写体との距離を正確に計測するLiDAR(ライダー)スキャナーが搭載されました。
これによって写真のボケ処理や、ナイトモード撮影でのピント合わせなどがより正確になります。
LiDARスキャナーはARコンテンツなどでも大きな威力を発揮する
さらにiPhone 12 Pro Maxでは、広角カメラにセンサーシフト型の光学式手ブレ補正を採用しています。
撮影画像でもApple独自のRAWフォーマット「Apple ProRAW」を採用するなど、本格的な撮影に対応できるように進化しています。
カメラ性能にこだわりたいユーザーにとっては最上の選択肢となるでしょう。
Apple ProRAWは、Adobeほかサードパーティ製アプリも対応予定
●デザインとともにシンプル化した選択肢
iPhone XSシリーズ以降の本体サイズと性能と価格のちぐはぐさは、iPhone 12シリーズによって大きく改善され、シンプルにサイズ感やカメラ性能で選択できるようになりました。
また小型のiPhoneを求めるユーザー層に配慮したiPhone 12 miniの登場は、ひたすらに大型化を続けてきたスマートフォン市場でどう受け止められるのかも大きく注目されるポイントでしょう。
ただ5G対応に関しては、
日本においてはまだ「時期尚早」といった感が拭えません。
しかし、5Gの時代は確実にやってきます。
新しい技術を普及させ、環境が整い次第すぐに楽しめるという意味でも、デバイス側が先行して対応しておく意義は大いにあります。
MNO各社は、2022年頃までの5Gロードマップを公開していますが、いずれもアンテナ基地局の整備に全力を注いでおり、iPhone 12シリーズを購入してエリア展開の充実を体感しつつ利用するのも良いでしょう。
NTTドコモによる5Gエリア展開ロードマップ
デザインでも性能面でも新時代を感じさせるiPhone 12シリーズの登場。
みなさんなら、どの「サイズとカメラ」を選ぶでしょうか。
執筆 秋吉 健
米アップルは14日(日本時間)、オンライン新製品発表会イベント「Apple Event - October 13」を開催し、新型スマートフォン「iPhone 12」シリーズを発表しました。
発表されたiPhoneは4モデル。
それぞれのラインナップや発売日、価格などは以下の通りです。
・iPhone 12 mini(11月13日発売)
64GB:74,800円(税込82,280円)
128GB:79,800円(税込87,780円)
256GB:90,800円(税込99,880円)
・iPhone 12(10月23日発売)
64GB:85,800円(税込94,380円)
128GB:90,800円(税込99,880円)
256GB:101,800円(税込111,980円)
・iPhone 12 Pro(10月23日発売)
128GB:106,800円(税込117,480円)
256GB:117,800円(税込129,580円)
512GB:139,800円(税込153,780円)
・iPhone 12 Pro Max(11月13日発売)
128GB:117,800円(税込129,580円)
256GB:128,800円(税込141,680円)
512GB:150,800円(税込165,880円)
iPhone 12およびiPhone 12 Proの発売日が早く、iPhone 12 miniおよびiPhone 12 Pro Maxの発売日が遅い点には注意が必要です。
iPhone 12シリーズでは、
iPhone 6以降続いていたラウンドデザインを廃止。
iPhone 4シリーズやiPhone 5シリーズのようなスクウェアデザインに回帰しています。
これは、すでに同様のデザインを一部モデルで採用していたiPadシリーズに合わせたものでもあり、昨今のアップルのデザイントレンドとなっています。
iPhone 6以降にiPhoneユーザーとなった人には新鮮に、それ以前からのユーザーには懐かしさも感じるデザインでしょう。
大幅なデザイン変更は、実に6年ぶりとなる
●ミリ波非対応は気にしなくて良い?
iPhone 12の目新しさはデザインだけではありません。
機能面では、ついに5G通信に対応しました。
米国モデルではミリ波にも対応していますが、日本向けモデルではSub6(サブシックス)と呼ばれる周波数帯のみの対応となります。
一般的に、5G通信の中で「本命」と呼ばれるのはミリ波です。
2Gbpsなどといった超高速通信を可能にする電波(周波数帯)であるため、
今回の日本向けiPhone 12シリーズでミリ波対応が見送りされたことを嘆く声も一部にはあります。
しかし日本の5G通信環境は、
NTTドコモをはじめ、移動体通信事業者(MNO)各社ともに十分に整備されているとは言えず、まだエリア展開の途上です。
さらにミリ波対応アンテナに至っては、東名阪地域のさらにごく一部といった状況であるため、日本国内においてミリ波での5G通信を利用できる機会はほとんどありません。
とはいえ、Sub6による通信でも、
理論値で1Gbps以上、実測値でも500〜600Mbps程度は見込める上、ミリ波よりも圧倒的に広いエリアをカバーできます。
エリア展開の実用性などからも、Sub6対応のみでも十分にエリア展開が整備されれば、実用として不便を感じることはほとんどないでしょう。
鳴り物入りで始まった5G通信だが、そのエリアはまだまだ狭い
●意外な注目モデル? iPhone 12 miniの魅力
もう1つ、今回のiPhoneラインナップで特徴的なことがあります。それはiPhone 12 mini登場です。
フルスクリーン・ノッチデザインを採用したiPhone X以降、iPhoneの高額化が加速し、安価なモデルを望むユーザーの声が噴出していました。
こうした声に応える形で、翌年のiPhone XSシリーズには廉価モデルとしてiPhone XRがラインナップされました。
また、iPhone 11シリーズでも、iPhone 11 Proがスタンダードなモデルとして位置付けられ、無印のiPhone 11は廉価モデルといった扱いでした。
しかしiPhone 11の画面サイズはiPhone 11 Proよりも大きかったため、シリーズとしての性能と価格、サイズ感は一貫性がなく、仕様で若干混乱するところがありました。
iPhone 11シリーズは、サイズ以外にもディスプレイ品質などで違いが多く、どれを選ぶべきか選択に迷う場面が多かった
今回ラインナップされたiPhone 12 miniは、
こういった「ラインナップの分かりづらさ」を払拭したモデルとして高く評価できます。
iPhone 12シリーズでは、一番価格が安く一番小さなモデルとして、iPhone 12 miniが設定されました。
そこから順に、iPhone 12、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Maxと、価格とサイズが大きくなるようにラインナップされています。
シンプルなネーミングのiPhone 12は、
シリーズの中心、最もスタンダードモデルとしてわかりやすく位置づけられています。
そこから小型で安価なmini、ハイスペックで高価なPro(およびPro Max)と展開されるラインナップは、誰の目からも分かりやすいものです。
iPhone 12とiPhone 12 Proのサイズはほぼ同等で、純粋にカメラ性能の違いとなる
さらに、iPhone 12 miniは性能面をiPhone 12とほぼ同等とすることで、廉価版=低性能版とはせずに、「小型サイズが欲しいから選ぶ」といった選択が安心してできます。
iPhone 12 miniのサイズ及び重量は、
高さ131.5mm×横幅64.2mm×厚さ7.4mm、重さ133g。
このサイズと重さは、昨今の大型化と重量化が進むスマートフォン市場で小型端末を望む声に応えるものです。
それでいて画面サイズは5.4インチを確保しており、小さすぎて使いづらいと言うほどでもありません。
性能で一切妥協しない「ハイエンドコンパクト」というジャンルのスマートフォンとしても、今後の市場や他メーカーへの影響にも注目したいモデルです。
世界最小・最軽量の5G対応スマートフォンとしても注目度が高い
●Proシリーズはカメラ性能を強化
iPhone 12 ProおよびiPhone 12 Pro Maxは、シリーズの中ではフラッグシップモデルとして位置づけられています。
最大の特徴は、カメラ機能の充実です。
iPhone 12 ProおよびiPhone 12 Pro Maxでは3眼のアウトカメラに加え、被写体との距離を正確に計測するLiDAR(ライダー)スキャナーが搭載されました。
これによって写真のボケ処理や、ナイトモード撮影でのピント合わせなどがより正確になります。
LiDARスキャナーはARコンテンツなどでも大きな威力を発揮する
さらにiPhone 12 Pro Maxでは、広角カメラにセンサーシフト型の光学式手ブレ補正を採用しています。
撮影画像でもApple独自のRAWフォーマット「Apple ProRAW」を採用するなど、本格的な撮影に対応できるように進化しています。
カメラ性能にこだわりたいユーザーにとっては最上の選択肢となるでしょう。
Apple ProRAWは、Adobeほかサードパーティ製アプリも対応予定
●デザインとともにシンプル化した選択肢
iPhone XSシリーズ以降の本体サイズと性能と価格のちぐはぐさは、iPhone 12シリーズによって大きく改善され、シンプルにサイズ感やカメラ性能で選択できるようになりました。
また小型のiPhoneを求めるユーザー層に配慮したiPhone 12 miniの登場は、ひたすらに大型化を続けてきたスマートフォン市場でどう受け止められるのかも大きく注目されるポイントでしょう。
ただ5G対応に関しては、
日本においてはまだ「時期尚早」といった感が拭えません。
しかし、5Gの時代は確実にやってきます。
新しい技術を普及させ、環境が整い次第すぐに楽しめるという意味でも、デバイス側が先行して対応しておく意義は大いにあります。
MNO各社は、2022年頃までの5Gロードマップを公開していますが、いずれもアンテナ基地局の整備に全力を注いでおり、iPhone 12シリーズを購入してエリア展開の充実を体感しつつ利用するのも良いでしょう。
NTTドコモによる5Gエリア展開ロードマップ
デザインでも性能面でも新時代を感じさせるiPhone 12シリーズの登場。
みなさんなら、どの「サイズとカメラ」を選ぶでしょうか。
執筆 秋吉 健