レギュラーは混合だがハイオクは独自の特色があるとされていた

 クルマの燃料として一番身近なガソリン。特定のブランドにこだわったり、行きつけのガソリンスタンドが決まっている人も多いだろうが、「ガソリンスタンドで販売されているガソリンや軽油・灯油にはJISや品質確保法で定められた規格があり、各石油会社はその規格に合った製品を作っています。“ハイオクガソリンを除き”基本的な性能に関わる部分の成分は各メーカーで同じなので、品質には大きな差がありません」というのが石油業界団体の公式見解で、少なくともレギュラーガソリンに関しては、ブランドごとの品質の差はない。

 これまでも、レギュラーガソリンは自社の製油所や貯蔵タンクのない地域で、他社製品を買い取って自社製品として販売する「バーター出荷」(混合出荷)は日常的に行われていることが公になっている。

 一方、ハイオクガソリンに関しては、各石油会社がそれぞれ独自に添加剤を工夫し、プレミアムガソリンにふさわしい特色を売り物にしてきた。

 メーカーごとに見ていくと

 ENEOSハイオク(オクタン価99.5)=清浄剤の配合によりエンジンをクリーンに保ち、排出ガスの発生を抑える

 出光スーパーゼアス=エンジン清浄剤によるエンジン吸気系のキープクリーン効果があり。レギュラーガソリンと比較して最大2.7%の燃費向上

 Shell V-Power(オクタン価未公表)=F1のフェラーリチームとのテクニカルパートナーシップを強調。エンジン内部における汚れ(付着物)を洗浄し、吸気バルブなどの重要なエンジンパーツを汚れや錆から保護する

 といった具合だ。

シェルだけは独自ルートでの出荷を明言

 しかし、今年6月に毎日新聞が『ハイオクガソリン、実は混合 独自開発のはずが…20年前から各地で』と報道。7月17日には、業界団体「石油連盟」の杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)が記者会見し、(ハイオクガソリンも)「共同の油槽所(貯蔵タンク)の利用やバーター出荷などにより、他社から調達したものを自社製品として供給することがあるのは事実だ」と認めた……。

 そのうえで、「各社は他社から調達した場合も含めまして、自社が供給しているすべての製品について、お客様に保証している性能を満たすように品質管理、保証をしています」と釈明しているが、要はハイオクもレギュラーと同じく、ブランドごとの違いはないということ。なお、Shell V-Powerだけは、バーター出荷を行わず「独自ルートで供給している」と答えている。

 さらにコスモ石油とキグナス石油は、ハイオクガソリンの性能表示に景品表示法違反の疑いがもたれ、ホームページなどを訂正……。

 従来は、「エンジン内部の汚れを取り除く清浄剤が添加」(コスモ石油)、「エンジン内部にカーボンなどの汚れをキレイにする働きがある」(キグナス石油)とあったのが、それぞれ「エンジンをきれいに保つ添加剤が加えられている」「エンジン内部のカーボンなどの汚れを付きにくくする働きがある」などと訂正。

 両社とも清浄能力を“盛った”表現をしてきたわけだが、今度の事件によって、ハイオクもレギュラーもブランドごとに成分や品質に違いがないことが明らかに……『品質は保証する』といわれても、ユーザーとしては、裏切られた感はぬぐえない。

 石油元売り業界は再編が進み、生き残りをかけて大変だというのはわからなくもないが、苦しい時期だからこそ「暖簾の重み」が大事にしてもらいたいところ。

 そうしたなか、性能の違いまでは分からないが、Shell V-Powerの独自性は光っているといえるだろう。