日々、美食が身近にある人ほど、ふとした時に、心落ち着く料理を求めるもの。

たとえば、あっさり味のラーメン。大人になるほど、シンプルで良いものに心が動くもの。それは料理にこそ、当てはまる。

澄んだスープに旨みが凝縮したあっさりラーメン。その究極ともいえる一杯が味わえる6店を紹介する。




丸鶏の旨みをすべて受け止めた、究極のまろやかスープ
『麺亭 しま田』の「らぁ麺」

今年5月、恵比寿にオープンした『麺亭 しま田』は、そんな大人が食べたい一杯を提供してくれる希少な存在だ。

店に入るなり、ふわりと漂う香りの正体は鶏。

店主が理想の味を極めるために、数ヵ月ラーメンを食べ歩き、行き着いたのが「毎日でも食べられるラーメン」。

その理想をストイックに追求して生まれたのが、大山鶏の丸鶏を10羽煮込んで作り上げるスープだ。

昨今の主流である動物性や節系の出汁は加えずに、鶏出汁のみ。




そこに、醬油ダレを合わせて仕上げるため、一切雑味がなく?鶏の甘みと香り〞が凝縮されている。

最もシンプルな「らぁ麺」800円は全粒粉の細麺と、しっとり感が強いチャーシューが楽しめる。

上質で透き通ったスープは近年ラーメン界で主流の淡麗系。

恵比寿に新風を吹き込んだ注目の新店は、早くも街の人々の心を掴んでいる。


《東カレが『麺亭 しま田』を推す3つの理由》

【Point.1】恵比寿駅から徒歩2分。この5月にオープンした注目の新店!

店を構えるのは、恵比寿駅西口のピーコックの並び。

ラーメン店が多い印象の恵比寿だが、その多くは長年続く人気店やチェーン店で、個人店は多くない(家賃の高さと物件が空かないため)。

元々老舗の鮨屋だったが、オーナーが常連だった関係で譲り受けたという。



券売機には「シャンパン」¥3,800の文字が。「恵比寿らしいかなって(笑)」と店主の遊び心が見える。



【Point.2】スープは一切沸騰させずに旨みを抽出。だから、とことんやさしい!

鶏の甘みと香りが凝縮したスープが特徴。鍋に大山鶏を丸ごと10羽投入し、鶏の香りが飛ばないよう沸騰する手前の99℃をキープ。

甘みをより引き出すため鶏ガラも加えて、こまめにアクを取りながら約6時間煮込んでいく。

店主がスープに絶対の自信を持っているから、卓上にコショウやニンニクなどの“味変アイテム”は一切置かない。



【Point.3】素材と調理にこだわり、麺と具材も最高に美味

主役である極上の鶏スープを引き立たせることを重視して、麺と具材を厳選。

麺は喉越しの良さと、パツパツッとした食感を追求して全粒粉の細麺を採用。

ほんのり小麦の風味とスープのまろやかさが絡み、抜群に旨い。



塊肉のまま低温調理でゆっくりと熱を通し、提供直前にカットすることで肉そのものの甘みと旨みを味わえる

チャーシューは、豚肩ロースを低温調理でしっとり食感に。

スープと一緒に食べることを計算して、具材もあっさり控えめに調整。


材料も手間暇も贅沢に!大人の贅沢中華そばはまだある!




“具なし”で勝負する潔さと、揺るぎない自信
『澄まし処 お料理 ふくぼく』の「澄まし麺」

六本木ヒルズ5階で、あっさりを追求した「澄まし麺」で勝負する『ふくぼく』。

特注の漆椀の中は、スープと麺と柚子のみと超シンプル。

運ばれたそばから漂う上品な香りは、いりこ、昆布、鰹節で出汁を毎朝ひき、香りがよくまろやかな一番出汁のみを使う。素材の味を生かすため、味つけは塩のみ。

美しく透き通ったスープは、濁りや雑味のない深いコクと出汁のやさしい余韻を堪能できる。

45秒で茹で上げる、細麺の程良い歯ごたえと喉越しも完璧。

余計な飾りは一切いらない。味のわかる大人ほど、この潔い一杯の魅力を理解する。

ランチ「Aセット 名物鴨だしご飯、小鉢付き」¥1,200などで注文可。



讃岐うどんで定番の香川県産のいりこが出汁のキモ。昆布と一緒に煮たあと時間差で鰹節を加える。

3つの素材を引き出し、旨みが凝縮した透明のスープを作る。



元々、神楽坂の隠れざる麺スポットだったが、昨年移転。それだけに、店内の雰囲気も高級感溢れる。





大人に愛される淡麗豚骨は軽くて美味
『なかご』の「純粋豚そば 醤油」

赤坂と赤坂見附の中間に目立つ看板あり。塩ラーメンと見紛うような透明なスープ。

実はこれ、豚骨ラーメンである。九州出身の店主が、「こってりが重たくなってきた、という大人にこそ食べてもらいたくて」と、澄んだ豚骨スープを開発。

「純粋豚そば 醤油」¥850は、豚骨を煮込んで白濁した白湯スープに、旨みを加えて二度炊きをして濁りを除き、クリアな清湯スープに仕上げる。仕込みに丸2日かかる手間暇かけたスープは、豚骨のインパクトをしっかりと感じるのに後味はすっきり。

余計な脂を取り除いているから、食後も胃が軽い。大人に嬉しい淡麗豚骨という新ジャンルだ。



白く濁ったこの状態から、脂の少ない豚モモの挽き肉を煮込んで、濁りを取り除き、透明なスープへと仕上げていく。

油分は通常の3分の1程度。もはや発明とも言える一品。



赤坂の繁華街「みすじ通り」沿い。スタイリッシュで落ち着きのある外観と内観で、女性も入りやすい。





和食の料理人が生み出した、極上の一杯
『ふるめん』の「塩ラーメン」

西麻布の和食店『ふるけん』が手がける中華居酒屋のラーメンが、美味しいと話題。場所は六本木通り沿い。

「塩ラーメン」¥850の黄金色のスープは、大山鶏の胴ガラと豚の肩ロースの動物性スープと、和出汁の2つのスープを調合。

鶏チャーシューにローストポーク。三つ葉、万能葱、もやし、とろろ昆布と具材も多い。

塩気が突出しないように、スープになじむ四角い細麺を採用。

食べたあとも出汁の余韻がいつまでも続き、和食の料理人ならではのきめ細かな技の裏打ちを感じる。



和出汁は、昆布と鰹節、どんこ椎茸を煮出す。

海の濃いエキスを抽出し、2種類の塩をブレンドした塩ダレを合わせ旨みの詰まったスープを完成させる。



六本木通り沿いの白い提灯が目印。駅からも近く、界隈のビジネスマンで昼夜ともに賑わう人気店。


トリュフが香る最先端の一杯も!




昔の中華そばを、濃厚な魚介で作り上げる
『きみの』の「醤油」

落ち着きのある大人が集う神楽坂は、ラーメンにおいても品のある味が好まれる。

『きみの』は、カウンター8席のみのこぢんまりとした佇まい。

店主が「昔、食堂で食べた味や祖母が作ってくれた味を再現した」というラーメン「醤油」は¥820。

大山地鶏の胴ガラと脂の少ないモミジをベースに、節系などの魚介をゆっくり煮込んだスープが絶品。

まろやかであっさりとした醤油味は、まさに昔ながら。

じっくりと味わいながら、一滴残らず飲み干したくなる。気取らない味が胃も心もリセットしてくれる。



アゴ、煮干し、サバ節、宗田鰹の4種類の魚介を2つに分け、いい出汁が出るタイミングを逆算して時間差で煮込む。

かえしは、店主の故郷、宮城の醤油を使用。



昭和の香り漂う「みちくさ横丁」に居を構える。

穴場感たっぷりのロケーションで常連は上品な大人ばかり。





しじみ出汁とトリュフが香る極上麺
『銀座 魄瑛』の「特製ラーメン」

信州ラーメンのカリスマ、『ボンドオブハーツ』の塚田氏が手がける店。

こちらの「特製ラーメン」¥1,000が相当のクオリティでリピーターが多い。

丸鶏を丁寧に煮込んで旨みを凝縮させた清湯スープに、青森県産赤鶏の鶏油でコクをプラス。そこに、江戸前しじみを煮出したエキスを加えて完成。

喉越しのいい細麺と一緒にすすると、しじみの力強く滋味深い味わいが広がり、直後に「MUCCINI」のトリュフオイルが鼻に抜けていく。

いまのラーメンの潮流を感じられる一杯だ。



しじみは提供する直前に煮出して、フレッシュな風味を清湯スープにブレンドする。

鶏と江戸前しじみが合わさった新感覚のスープは、唯一無二の味わい。



銀座駅、東銀座駅のどちらからも近く、好アクセスで立ち寄りやすい。

黒と赤が基調の店内は高級感あり。