「好きな子が最終的に僕のものになればいい」――佐香智久と紐解く男ゴコロの本音
“気になる子に恋人ができた!? でも、祝福なんて絶対にしない! どうせ別れるに決まってるんだから、そうしたら僕のところへ戻っておいでよ”…佐香智久の新曲『いつか君はそいつと別れるに決まってる』は、そんな男性の本音が詰まった一曲。ということで、佐香自身の恋愛観や複雑な男ゴコロを解き明かすべく、取材を敢行! 撮影テーマは「休日」。普段とは違うリラックスした表情や距離感にドキドキすること間違いなし。素顔満載のフォト&インタビューをお楽しみください。

撮影/すずき大すけ 取材・文/花村扶美
ヘアメイク/高橋幸一(Nestation)

中学3年間好きだった、あの子への想いを歌に。



――新曲『いつか君はそいつと別れるに決まってる』、通称『いつ君』から読み解く男の本音に迫っていきたいと思います。

何でも話しますよ(笑)。よろしくお願いします。

――『いつ君』は、中学3年間好きだった女の子のことを思って作ったそうですね。

はい、そうなんです。

――実は最初にこの曲を聴いたときは、最近失恋でもしたのかな?って思ったんですけど(笑)。

アハハハ、なるほど。そうじゃなく、ずっと好きだった子の歌です。今でもその子のことが好きというわけではないけど、こういうラブソングを作るときの主人公はいつもその子だったりします。当時を思い出すだけで今でも胸がキュンとしちゃって。

――今24歳だから、10年ほど前の気持ちを歌にしたということ?

当時の僕がこういうことを思っていたかはわからないけど、もし今の自分があの頃に戻ったらどう思うだろう…?って想像しながら作りました。



――片想いしていた女の子との出会いから教えていただけますか?

完全にひと目惚れです(笑)。中学1年のクラス発表のときに、掲示板の前で見かけて。桜がとてもキレイで、その前に立ってる女の子の笑顔にふわーってなりましたね。

――それからどうしたんですか?

同じクラスっていうのはわかったから、教室に入って探したんですけど見つけられなくて。でも、ふと隣と見たら、その子が座ってたんですよ…!

――すぐに気づかなったんですね。

恥ずかしくて隣の席を見られなかったっていうのもあるし、クラス発表のときはメガネをかけてなかったのに、教室ではメガネにふたつ結びをしていて印象が違ったんです。でもある日、体育の授業のときにメガネをはずして髪をほどいたときがあって、“あ、いた!”みたいな(笑)。




片想いは叶わないから、一生ときめくことができる。



――そこから、進展はあったんですか?

中1は何もないままで。中2も同じクラスになって、心の中でガッツポーズをしました(笑)。でも、中2になったらその子が髪を結ぶのをやめてコンタクトにして、急速にモテ始めたんです。そのときは、“ふたりの秘密だったのに、表に出ちゃったじゃないか!”って思いました。

――かなり焦りますよね。

テニス部で一緒だったから、先輩に「連絡先聞いて」って言われて、「携帯持ってないみたいです」ってウソをついたりして(笑)。

――そんなときも自分から好きだとは言わず、思いは秘めたまま…?

そうなんですよ。なんなんでしょうね。言えばよかったな。自分に自信がなかったんですよね。でも、今の僕なら告白できた気がする(笑)。

――結局、一度も気持ちを伝えないまま卒業となり、離れ離れになってしまったんですね。

僕の気持ちには気づいていたと思うけど、直接言ったことはないです。もし高校が一緒だったら、好きって伝えていたかもしれない。そしたら、結果はどうであれ、こういう曲は作れなかったから、今となっては告白しなくてよかったなって思います。

――曲作りのためには…?

はい。だって、こんなに好きな人がいて、今でもときめけるんだぜ? うらやましいでしょ?って思いますもん。



――10年近く経つ今でも、その子のことがいちばん好き?

いちばんです。僕にとってのミューズですから。でもピュアな思い出のままでいられるのは、片想いのままだからこそ。片想いは叶わないから、一生ときめくことができる。片想いって無敵ですよ!(笑)

――名言ですね(笑)。10年の時間を経て、このタイミングで『いつ君』を書こうと思ったのには、何か理由があるんですか?

この曲は、もともとはまったく別の曲でした。でも、札幌から上京して1年が経ったし、音楽をやっている意味を考えたときに、もっと自分自身のことを歌いたいなと思ったんです。それで書き始めたら、もう一気にスラスラと。

――今回、ラップのような語り口調で歌ってるところがありますが、なぜこういう歌い方に?

最初はメロディに乗せて歌おうとしたんですけど、なんだか上手に感情を伝えることができなくて。それで、しゃべったほうは伝わるかなと思ってこういう歌い方になりました。

――ピュアな気持ちがストレートに出てますね。

ほとんど僕の愚痴ですけどね(笑)。



キーワードは「虎視眈々」、佐香流・片想い必勝法。



――ここからは歌詞を通して、男ゴコロを読み解いていきたいと思います。「想像するだけでまじで吐きそう」とか「優しい友だちのフリでもして」とありますが、当時、優しい顔を見せつつ、内心ではこう思っていたんですか?

たぶん潜在的に思っていたところはあったと思うけど、当時は気づかないうちに感情にフタをしていたんだと思います。でも、こういうふうに思うことって誰にでもあるんじゃないかな。僕に限らず、男性でも女性でも。片想い中の人たちは『いつ君』を聴いたら、腹黒い感情が芽生えるかもしれない(笑)。

――「思わせぶりな態度とってたじゃん」とか「悪気のない天然たらし」「なに考えてるのか分からない」とありますが、男性ってこういう女性に惹かれてしまうものですか?

例外なく男はそうだと思います(笑)。「好き!好き!!」ってぐいぐい来られるよりも、たまにエサをくれるくらいのほうが気になりますね。

――でも実際、思わせぶりな態度をとられたらイヤじゃないですか…?

そりゃあイヤですけどね(笑)。でも、アメとムチの使い方が上手な子のほうが、相手を引き寄せる力はあると思います。




――「早く僕のもとに帰っておいでよ」とか「最後は僕のものになればいいよ」という歌詞もありますが、実際、好きな子がほかの人と別れて自分の元に戻って来たとしても、手放しで喜べるものですか?

手放しで喜びます!!(笑)

――でも、いざつきあうことになったら、この子はアイツとつきあってたんだ…って思い出したりしませんか?

うーん…。それよりも、自分がつきあえたという事実がうれしい(笑)。「しばらくはやさしい友だちのふりでもして」とか「キバを隠してその瞬間を待ってる」って歌詞にもある通り、つきあえないなら彼氏の愚痴を聞けるポジションにいよう、そうすれば、いつかつきあえるタイミングが来るかもって思うし、そういうところから手繰り寄せていくしかないなって思うんです。

――なるほど。

だから彼氏のノロケ話も愚痴もいっぱい聞きます。彼女とつきあえるかもしれないという数パーセントの希望のために、多少ツラくても我慢します(笑)。



――そもそも、好きな人に彼氏がいるってわかった時点で身は引かない?

引きません! 本当に好きだったら、ほかの人には目がいかないと思う。

――この世の中を見渡してみると、両想いになる確率って低いと思うんです。そうすると、2番目とか3番目に好きな人とつきあう人が多いと思うんですけど。

どうなんでしょう…。そういう人もいるかもしれないけど、僕は、最終的には好きな子が自分のものになればいいって考えなので(笑)。

――最終的に…?

中学生や高校生で彼氏彼女がいる人たちの中で、そこから何年も続いて結婚するカップルって実は少ないと思うんです。だからそこであきらめないで、タイミングを逃さないように虎視眈眈と狙って、最終的に結婚するのが自分だったらそれでいいですよね。

――な、なるほど!?

たとえば、卒業や就職の時期を見計らって「最近どう?」って聞いてみるとか。そこからほころびを見つけて、少しずつほどいていけばいいんじゃないでしょうか。

――想像よりずっと策士だったことに驚きました…(笑)。

アハハハ。24歳になった今、こう考えられるようになりました。もちろん中高生にとっては、目の前で起きていることがすべてだと思うから、「好きな子に恋人がいる!もう終わりだ!」って落ち込みがちだと思うけど、片想い中のみなさん、大丈夫です。長期戦ですよ、長期戦!(笑)『いつ君』を聴いて、ポジティブに考えてもらえたらいいなって思います。