2015年はサッカー界にとっては大きな分岐点となる1年でした。なぜなら、アメリカ司法省がスイスのジュネーブに本部を持つ世界で最もリッチな競技団体「国際サッカー連盟(FIFA)」で長年ささやかれ続けてきた「贈収賄疑惑」に関する捜査をスタートさせたからです。贈収賄スキャンダルはあまりにも大規模かつ長期にわたって行われてきたものであったため、一体何が起きているのか把握しきれていない人も多いかと思いますが、「これだけは知っておくべき」というポイントとしてスキャンダルで起訴されている&関与が疑われているサッカー界の重鎮たちをスポーツ専門チャンネルのESPNがリストアップしており、リストアップされた人たちの役職を見ると問題の根深さがよく伝わってきます。

FIFA scandal everything you need to know

http://espn.go.com/espn/feature/story/_/id/14655814/fifa-scandal-everything-need-know

2015年のFIFA関連スキャンダルは2015年5月27日にアメリカ司法省が14人を贈収賄容疑で起訴し、その内の7人をスイス当局が逮捕したことから世界中で大々的に報道されるようになりました。逮捕された7人の中には現職のFIFA副会長2名が含まれており、海外だけでなく日本国内でも大々的に報じられています。なお、起訴された14人は、FIFAの持つ「ワールドカップの招致」や「放送権」などに関する利権を活用して1990年代初頭から24年間にわたってスポーツ関連企業から推定1億5000万ドル(約186億円)超えの賄賂を受け取っていたとされています。

ヨーロッパや南米などで特に盛んなサッカー関連組織のスキャンダルがなぜアメリカの司法当局に捜査されることになったのかは以下の記事を読めばわかります。

なぜアメリカがFIFAのスキャンダルを取り締まろうとしているのか、一体何が起きているのかまとめ - GIGAZINE



スキャンダルが発覚した数日後に会長選挙を控えていたFIFAは、同選挙でゼップ・ブラッター会長の5度目の会長職当選を決めます。しかし、ブラッター会長は自身が起訴された14人の中に名前を連ねていたわけではなかったものの、組織改革のために辞任を表明します。しかしそれから数日が経過した後、今度は辞任を撤回して世間を騒がせます。さらに数ヶ月が経過した後、FIFAの大口スポンサー4社がブラッター会長の辞任を要求し、FIFA内部は完全に混乱状態に陥ります。なお、1998年からFIFAの会長を務めてきたブラッター氏ですが、2015年12月にFIFA倫理委員会から8年間の活動禁止処分を受け、事実上の会長解任状態となりました。そして、FIFAは組織改革のために2016年2月26日に新会長を決めるための選挙を行う予定となっています。

ブラッター・プラティニ両氏に8年の活動停止処分 FIFA  :日本経済新聞



そのFIFAスキャンダルに関連する人物たちをESPNがまとめた図が以下のもの。贈収賄スキャンダルに関わっているとみられるのは、FIFA、CONMEBOL(南米サッカー連盟)、CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)、UEFA(欧州サッカー連盟)といったサッカー連盟の幹部たちおよび、マーケティング企業の幹部たち。赤丸で示されているのが起訴された各組織の幹部で、黄色で記されているのが関与が疑われている幹部。起訴された幹部の数はなんと合計39名となっています。



◆贈収賄スキャンダルで起訴された幹部

・FIFA幹部

贈収賄スキャンダルで起訴された幹部

チャック・ブレイザー:元FIFA理事(1997〜2013)、元CONCACAF書記長(1990〜2011)

ラファエル・エスキベル:CONMEBOL執行委員、ベネズエラサッカー協会会長(1988〜)、FIFA役員(2013〜)

エウジェニオ・フィゲレド:FIFA副会長、元ウルグアイサッカー協会会長(1997〜2006)、元南米サッカー協会会長

アルフレッド・アウィ:元CONCACAF暫定会長(2011〜2012)、FIFA副会長(2015)

ニコラス・レオス:元FIFA役員(1998〜2013)、元CONMEBOL会長(1986〜2013)

エドゥアルド・リー:FIFA役員(2015)、CONCACAF役員(2013〜)、コスタリカサッカー協会会長(2007〜)

ホセ・マリア・マリン:FIFAの五輪組織委員、元ブラジルサッカー協会会長(2012〜2015)

ファン・アンヘル・ナポウト:元パラグアイサッカー協会会長(2007〜2014)、元FIFA副会長(2015)、元CONMEBOL会長(2014〜2015)

ラファエル・サルゲロ:グアテマラサッカー協会会長、元FIFA役員(2007〜2015)

ジャック・ワーナー:元FIFA役員・副会長(1983〜2011)、元CONCACAF会長(1990〜2011)、トリニダードトバゴサッカー協会特別顧問(1990〜2011)

・CONMEBOL(南米サッカー連盟)

マヌエル・ブルガ:元ペルーサッカー協会会長(2002〜2014)、FIFA開発委員

カルロス・チャベス:ボリビアサッカー協会会長(2006〜2015)

ルイス・チリボガ:エクアドルサッカー協会会長(1998〜2015)

マルコ・ポーロ・デル・ネロ:ブラジルサッカー協会会長(2015〜)、FIFA役員(2012〜2015)

エドゥアルド・デルーカ:元CONMEBOL書記長(1986〜2011)

ホセ・ルイス・メイスネル:CONMEBOL書記長(2012〜2015)

Romer Osuna:元CONMEBOL会計(1986〜2013)、FIFAコンプライアンス委員会メンバー

リカルド・テイシェイラ:元ブラジルサッカー協会会長(1989〜2012)、元FIFA役員(1994〜2012)

・CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)

アリエル・アルバラド:元パナマサッカー協会会長(2004〜2012)、FIFA懲戒委員会メンバー

ラファエル・カジェーハ:元ホンジュラス大統領(1990〜1994)、ホンジュラスサッカー協会会長(2002〜2015)

ブライアン・ヒメネス:グアテマラサッカー協会会長(2010〜2015)、FIFA国際フェアプレー委員会メンバー

フリオ・ロシャ:FIFA開発責任者(2012〜2015)、元中米サッカー連合会長、ニカラグア協会会長

コスタス・タッカス:元CONCACAF会長補佐、元ケイマン諸島サッカー協会書記長

ヘクター・トルヒーリョ:グアテマラサッカー協会書記長(2010〜2015)、グアテマラ裁判所裁判官

レイナルド・バスケス:元エルサルバドルサッカー協会会長

ジェフリー・ウェブ:元CONCACAF会長(2012〜2015)、FIFA副会長(2012〜2015)、ケイマン諸島サッカー協会副会長(2012〜2015)

・その他

アーロン・デイビッドソン:アメリカのスポーツマーケティング企業TRAFFIC SPORTS社長

ウーゴ・ヒンギス:アルゼンチンのサッカー放送局Full Play Group社長。

マリアーノ・ヒンギス:Full Play Group副社長

アレハンドロ・ブルザコ:アルゼンチンのスポーツ関連企業TyC Sports社長

◆スキャンダルの関与が疑われているFIFA幹部

・FIFA幹部

ゼップ・ブラッター:FIFA会長(1998〜2015)

ジェローム・バルク:FIFA事務局長(2007〜2015)

・UEFA幹部

ミシェル・プラティニ:UEFA会長(2007〜2015)

役職名を見ればわかる通り、FIFA・南米サッカー連盟・北中米カリブ海サッカー連盟といった地域のサッカー連盟で役職に就いていた人物たちが起訴されており、特に南米・北中米の関係者が多く事件に関わっています。関係者の中には各国のサッカー協会会長の他、一国の大統領や裁判官なども含まれており、読み聞きして知っていた内容よりもはるかに大きな規模で贈収賄が繰り返されてきたのであろうことが伝わってきます。