左から遅塚覚、小林光一、長田勇気(撮影:野原誠治)
 「全曲シングルのつもりで作った」と語る渾身のファーストアルバム「ハイパーフライングボウイ」から約一年、シングル2作品のリリースを経て、今月23日にセカンドアルバム「エクスキューズ」を発表した超飛行少年(スーパーフライングボウイ)。バンドとしての在り方を見つめ直し、よりシンプルに削ぎ落とした先に生まれた、3ピースバンドとしての確固たるサウンド。答えの出ることのない数々の問題に疑問符を投げ掛け、その繰り返しによって僅かながらも確実に前進する日常が描かれる。

■今回で2作目のアルバムとなりますが、制作に際しメンバーで話し合われたことはありますか?

小林光一(以降、小林):特別こういうアルバムにしよう、というものは無くて、抽象的なんですけど、「硬派なことをやろう」というのはありましたね。前回よりも硬派で派手なものをやろうという。結果そういう作品になっているので、具体的な話はしなかったんですけど、3人とも事前にそういう気持ちで臨んでいたんだと思います。

■ギターの鳴りはよりワイドに、対してリズム隊はよりタイトに、ファーストアルバムと比べると音質が格段に上がっていますが、レコーディングで変わったことはありますか?

小林:スタジオのエンジニアの方は、ほぼ変わっていないんですよね。安田さんという方に最後は参加して頂いたんですけど、その方も3曲ぐらいなので。僕は具体的にギターが変わったりしたんですけど、あとは単純にメンバーのプレイ自体の向上が一番、大きかったんだと思いますね。

■個々のパートで、テーマに掲げていたことはありましたか?

小林:僕は楽器もアンプも変えずにやりましたね。他にハマる音が無かったのと、そんなに時間の余裕も無かったし。「その音で全部やった時に、何か一つテーマになるのかな?」という、ちょっと軽い気持ちだったんですけど、結果そういう統一したステレオの、ギターが鳴っている感じに繋がったので、良かったと思いますね。

■あまりエフェクターも使ってなさそうですよね。

小林:ギターソロで、ケンタウルスをかましたぐらいですね。

遅塚覚(以降、遅塚):ベースは変わっていないんですけど、今まで結構SansAmpとかコンプレッサーとか色々と使っていたのを、今回「透明アバンチュール」以外は全て初めてアンプ直でやって。でも、それより変わったのが意識的なもので。前はモニターで、自分のベースとかクリックの音とかを結構大きめに返していたんですけど、今回はドラムだったりギターだったり周りの音に結構耳を傾けるようになったかな?って。

■ベースは、土台となるドラムとフロントで動くギターを結ぶ、バランス感覚が問われるポジションですよね。3ピースバンドの場合は特に。

遅塚:そうですね。走ったり後ろになったりタイトになったり、僕のプレイで結構決まっちゃうので。その辺は結構、意識したかなと思います。

長田勇気(以降、長田):僕も、前回の作品は色々と楽器を変えたりしたんですけど、今回は一つのドラムセットで、スネアも変えないで。多分みんな、「どういう音を出すか?」というよりは、「どういう気持ちで音を出すか?」という、そこだけに集中できたからだと思う。だから、気持ちの面で全然違う。それがプレイに出ているし、音にも出ていると思いますね。

■そのままライブでも再現できるような楽器のシンプルさだったり、ライブ感のようなものは意識しましたか?

長田:みんな多分、レコーディングの本番前までは、色々と考えて。本番で「さぁ、録るぞ!」という時は、ドラムに関しては全く何も考えずにその時の気持ちで、衝動的な部分がすごく入ったと思うので。それがライブ感に繋がっているのかな?と思いますね。

遅塚:確かに、プレイ中は考えていなかったですね。

■何テイクも録り重ねて、切り貼りするというよりは、割と一発録りに近い形で。

長田:そうですね。