『変化の30センチ先を行く』りそなHD南昌宏社長インタビュー 中東情勢・金利上昇・住宅高騰…激変期の針路とデジタル活用で示す銀行の未来
「お客様側の変化の30センチでも先に行くことが選ばれ続ける要素」
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激変の時代で勝ち残るために必要な要素として、「変化の先を行く」ことが重要だと強調した、りそなHDの南昌宏社長。
中東情勢の緊迫化に伴う物価高やサプライチェーンの混乱、さらに急ピッチで進む長期金利の上昇や住宅価格の高騰など、日本経済を取り巻く環境が大きく変化する中、銀行は変化にどう立ち向かうのか。JR西日本などとの異業種提携の狙いや金利のある世界の戦略から、これからの針路を聞いた。
中東緊迫化で企業の7割が「大きな影響」
ーーー中東情勢の緊迫した状態が長引く中、すでに原油やナフサの供給懸念などから物価が上昇しているうえ、一部では製品が作れないなどの影響が出ています。企業の資金需要や日本経済への影響をどう見ていますか?
本当に中東情勢の緊迫化は大きなインパクトのある出来事でした。業種ごと以上に、個社でかなりインパクトの出方が大きく変わって来ていると思っています。
我々は予兆の管理もそうですが、個社の皆さんにしっかり寄り添いながら対応策を一緒に考えていくというステージだと思います。まず価格面、そして原材料も含めた数量、間接的に物流も、広くアジアも含めたサプライチェーンの混乱を通じて波及経路がかなり大きく、特に時間軸が長くなればなるほどその影響度は増してくると思っているので、今後の展開については予断を持たない形でしっかりとお客様に寄り添う、そういう対応をしていきたいと思っています。
ーーー現時点、あるいは先々の見通しについて、企業からはどんな声が聞こえていますか。
我々もかなり早い段階でお客様にアンケート調査をさせていただいていて、4月の頭時点では7割くらいのお客様はかなり大きな影響があるとおっしゃっています。
時間軸によってマイナスインパクトの現れ方は違ってくると思いますので、そこをお客様としっかり見据えて、対応策を練っていくことが大事な局面です。お客様は調達手段の多様化をしたり、一定程度在庫を前倒しで確保したりするなど、ご自身のビジネスの円滑な運営に向けて、これも個社別ではありますが、様々な動きはもう出ていると思います。
長期金利上昇には「一定の留意が必要」
ーーー中東情勢の影響もあり、長期金利がかなり急ピッチで上がっています。日本経済全体への影響、また、金融機関では含み損が出てしまうなどの懸念もありますが、どう評価されていますか。
イールドカーブの立ち方、特に長期金利はかなりスピードが速く動いているのでここについては一定の留意が必要だと思います。
我々自身は、例えば長期金利のところでいえば、しっかり次世代を見据えて、金利の上昇局面でいかに有価証券のポートフォリオの再構築に向かうかは重要なポイントだと思います。金利が上昇局面にありますので、どのタイミングでどれくらいの有価証券を我々のバランスシートの中に確保していくかについては運用サイドの利回りの向上にも繋がりますし、景気の循環過程の中で、いずれ含み益になるような状況も考えられます。
期間と金利をうまく組み合わせながら、しっかりとコントローラブルな有価証券ポートフォリオを作っていくことが大事です。当然含み損との戦いにもなると思いますので、そこの管理をしながらしっかりと対応していく局面だと思います。
“金利ある世界”と住宅価格の高騰 ペアローンへの取り組みも
ーーー住宅ローンについて伺います。金利のある世界が本格化するなか、住宅購入に際しては金利も上がる、さらに住宅そのものの価格も高騰しています。顧客の需要動向なども踏まえて今後どう取り組まれるか教えてください。
個人のお客様のライフタイムバリューを考えるとやはり今も住宅が人生の中で一番大きな買い物の一つであることは間違いありません。住宅ローンをご利用いただいているお客様の長い時間軸の中で、我々とお取引をいただくタイミングやトランザクション(取引)の数にはやはり強い相関があり、個人戦略としてもお客様との関係性を最大化することを考えていますので、その中で住宅ローンは一つ大きな武器だと思っています。
お客様の金融行動も変化していて、ダブルインカムのご夫婦でペアローンのような形で住宅ローンをお買いになる動きが広がっています。
我々もこうしたお客様の金融行動の変化に対して、ペアローンの機能提供をしっかりと見直したり、ペアローン団信のような新しい商品など、いろいろな取り組みをしています。また、なるべくデジタルで完結させてお客様に事務的な負荷をおかけしないような業務プロセス改革も併せて実施していて、競争優位をいかに守っていくかがこれから我々銀行にとっては一つ大きなポイントになると思います。
ーーー具体的にどのように優位性を確保し高めていきますか?
元々住宅ローンはハウスメーカーさんや不動産業者さんから情報をいただいて我々が最終的に住宅ローンを提供することが多かったのですが、いろいろな意味でお客様とデジタルで繋がることができるようになってきているので、もっと早い段階でお客様の住宅ローンのニーズを捕まえることもできるようになってきています。
こういうものを中心に、川上に上っていくということ。さらに時間軸としてもっと早い段階でお客様のニーズを捉えて、我々サイドからも様々な提案をさせていただく。こういう全体感としての我々の提供価値をどう引き上げていくかという点がこれから勝負のポイントだと思っています。
「30センチでも先に」デジタルで顧客ニーズの“川上”へ
ーーー金利や住宅価格の高騰など外部の環境が変わる中で、銀行が打ち出す戦略も変化に適応していかなければならないと感じますか?
それは一番大事なことだと思います。
まず、お客様の価値観はすごく多様化されていますし、ニーズそのものも、多様化・高度化・複雑化しています。さらにテクノロジーの進化はもう圧倒的で、これはおそらくお客様の金融行動を変えるだけではなく、お客様の暮らしそのものを変えていくと思っていますので、ここに対応できるかどうか。
金融として我々がずっと長きに渡って培ってきた知見とかノウハウとかスキルを超えて、お客様側の変化の半歩でも、30センチでも先に行くことがお客様から選ばれ続ける要素だと思っています。
お客様に「銀行ってこんなことができるのか」とか、「こういうサービスの繋がりがあるんだね」というようなものも含めて、お客様に感動までいかなくても、豊かさとか、喜びとか、それから利便性とか安心感などを提供することが勝ち残っていくために必要なことだと思っています。
