「特定技能」の申請のイメージ

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 日本語試験の合格証明書の偽造対策として、出入国在留管理庁は今年1月から、在留資格「特定技能」の申請者全員の合格状況を日本語試験の運営団体に照会する運用を始めた。

 従来は一部の照会にとどまり、偽造した合格証で在留資格が認められる事案が問題化していた。同庁は「在留資格制度の信頼性を保つため、厳正に対応していきたい」としている。(長沢勇貴)

■主に2ルート

 「特定技能」には、主に技能実習生として約3年間の実務経験を重ね、試験なしで取得する「技能実習ルート」と、日常会話程度の日本語能力の試験と、就業分野の技能に関する試験の両方に合格する「試験ルート」がある。

 制度が創設された2019年は「技能実習ルート」が9割超を占めていたが、高い給与などを求めて3年間を待たずに特定技能への移行を目指す「試験ルート」が年々増加。19年は在留者数が115人(取得者全体の7%)だけだったが、24年には10万人を超え、25年は18万2248人(同47%)に達している。入管では年間数万件以上の申請を審査しているという。

 「試験ルート」での申請の場合、入管は日本語試験の合格証や勤務予定の企業との雇用契約書などの提出を受け、資格を許可するかどうかを判断する。

■運用拡大

 入管ではこれまで、職員や試験運営団体の負担などを考慮し、申請者が本当に試験に合格しているかどうかの運営団体への確認は全件ではなく、必要に応じて一部で実施してきた。

 しかし、昨年、大阪府警が偽造した日本語試験の合格証で特定技能を取得していたベトナム人らを摘発。入管が偽造を見抜けなかったことが明らかになった。

 これを受け、出入国在留管理庁は今年1月、申請者全員の合格状況を尋ねる運用に切り替えた。1月以降、偽造された合格証を提出してきたケースが複数件あり、申請を許可しなかったという。同庁は、合格証を偽造と確認した場合、必要に応じて警察に通報するとしている。

 特定技能で利用される日本語試験は、公益財団法人・日本国際教育支援協会などが実施する「日本語能力試験」と、独立行政法人・国際交流基金の「日本語基礎テスト」。いずれも読売新聞の取材に、照会に対応していると回答した。

 出入国在留管理庁は、技能試験の合格証についても、全件で合格状況を照会する方向で各試験の所管省庁と調整している。

 ◆特定技能=人手不足の分野で外国人労働者を受け入れるため、2019年に創設された在留資格。「1号」は建設や介護、外食業など16分野が対象で、在留期間は最長5年。熟練技能が求められる「2号」はそのうち11分野が対象で、事実上永住が可能となる。

ベトナム人摘発がきっかけ

 運用厳格化のきっかけになった大阪府警の偽造合格証事件では、入管難民法違反(虚偽申請)などの容疑でベトナム人3人(いずれも執行猶予付き有罪判決が確定)が摘発された。

 30歳代の男は、日本語基礎テストの偽造合格証を入管に提出し、特定技能を取得して働いていた。他の2人は偽造合格証の調達役と仲介役で、調達役の30歳代の女は、介護分野の特定技能の資格に必要な「介護日本語評価試験」の偽の合格証2人分を入手。この女は大阪地裁で行われた公判の被告人質問で、偽造合格証の調達について、「30人(分)を超えないくらい」と供述した。

 地裁は4月の判決で、「偽造と見破れない体裁。出入国管理制度にも相当程度の悪影響を与えている」などと指摘した。

 事件に絡み、府警は日本語試験の「替え玉受験」で特定技能を不正に取得したとして別のベトナム人らも逮捕している。

 一連の事件で、日本語試験の信頼が揺らぐ事態となった。試験を実施する国際交流基金が、試験当日に会場で受験者の顔写真や在留カードを撮影して照合し、本人確認を強化するといった対策も進んでいる。