防御率ゼロ点台の“最高水準”でなぜ苛立ち? 「理想」を追求する大谷翔平の言動に元MLB戦士が見た究極の進化「ヒットを1本も許してないのに…」

わずかなコントロールミスに不満げな表情を見せる大谷(C)Getty Images
投打二刀流の凄みが詰まった一夜だった。現地時間5月27日のロッキーズ戦で「1番・指名打者兼投手」として先発登板した大谷翔平(ドジャース)は、投げては6回(99球)を、被安打0、7奪三振、与四球4、1失点。打っては初回の第1打席に菅野智之から特大の先頭打者アーチをマーク。文字通り攻守で違いを生み出した。
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今季はとくに「投手」としての安定感が際立っている。開幕9登板(55.0イニング)で、防御率は0.82。さらにWHIP0.82、被打率.147、被OPS.447と軒並みハイスタッツを記録。規定投球回に達していなために正式記録と認めらないが、大谷が「エース級」水準を満たしているのは言うまでもない。加えて9本塁打、出塁率.400、長打率.482、OPS.882の「打者」であることを考えれば、間違いなく米球界で唯一無二の働きを見せていると言えよう。
もっとも、周囲を熱狂させる活躍にも本人は至ってクレバーだった。ロッキーズ戦後に、米スポーツ専門局『Sports Net LA』のインタビューに応じた大谷は、「全体的に自分の制球力と格闘していた感じだと思います」と、4四球1死球と唯一の失点に繋がった制球面の課題に焦点を当てた。
「自分の投げたいところに投げられていないフラストレーションと格闘していた感じです」
反省の弁を繰り返した大谷。たしかにマウンド上で苛立つような素振りも見せ、「しっくりきてなかった」と漏らした5月20日の前回登板に続き、理想の投球を追い求め続けた。
ただ、今季は長打になる確率が極めて高い「バレルゾーン」に入った打球の割合を示す指標である被バレル率がわずか3.3%で、被ハードヒット率も39.2%と決して低水準というわけではない。また、本人にとっての「フラストレーション」の原因となった制球面も与四球率は6.8%と多くはない。稀代の天才の物差しで測れば、思い描く「理想」とは程遠いのかもしれないが、彼が残している数字は球界でもトップクラスである。
実際、周囲も「投手・大谷」が残し続ける“結果”を高く評価している。『Sports Net LA』の解説を務めるドジャースOBのノマー・ガルシアパーラ氏は「今のショウヘイは必要な時に投げ切る術を知っている」と分析。進化を続ける偉才の姿勢を次のように語った。
「今日は確かに荒れる場面もあった。だけど、勝負所で彼は打者を手玉に取った。それこそが、エースには必要なことなんだ。投手は誰だって最高じゃない時がある。マウンド上で苛立ち、苦しんでいることの方がむしろ多いと思う。それでも大事な局面ではアウトを稼いで、投げ切るんだ。その姿はチームに波及するんだ。『あいつは戦ってる。俺たちもやらないと』ってなるんだよ。それに今日の彼はヒットを1本も許してない。それでもちょっと不満げなのはショウヘイを物語っているよ(笑)」
いかに結果が出ていても“究極”を追い求める――。その姿勢こそ大谷を天才たらしめるのかもしれない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
