「事故物件」を隠して売りつける…不動産業界で行われる「悪質過ぎる行為」
高齢化が進む日本では、一人暮らしの高齢者などが自宅で息を引き取り、発見が遅れる孤立死が年間2万人以上にのぼるとされる。殺人ではなくても、過去にその場所で人が亡くなった「事故物件」は、決して少なくない。国土交通省のガイドラインにより、賃貸物件であれば事案発生ないし発覚から3年以内、売買物件については期間にかかわらず告知しなければならないが、注意が必要だ。
【前編を読む】 殺人事件があった「事故物件」だと知らされずに破格の値段で契約…2年後に事実を知った32歳会社員の絶望
「事故物件」が共有されないことも…
不動産業者や家主が事故の事実を本当に知らないというケースが存在する。
「人手不足が深刻な不動産業界では、社内での引き継ぎが不十分なことも珍しくありません。オーナーチェンジで事情を知らない大家に代わっていたり、管理会社と仲介会社の間で情報が共有されていないケースもあります。
悪質な例では、事故物件であることを隠したまま新米の投資家に物件を売りつけ、そのまま逃げるということもあります。この場合、新しい大家は事故の経緯を把握していないため、借り主に伝えたくても伝えられません」(事故物件公示サイト「大島てる」を運営する、大島てる氏)
こうした状況を補う手段として、「大島てる」のように事故物件情報を掲載しているウェブサイトで事前に物件を検索する方法が有効だ。ネットやSNSで住所を検索するだけでも、過去に事案があったかどうかを確認できる可能性がある。
ただ厄介なのは、そもそも告知義務の対象かどうか自体が曖昧な物件だ。孤独死や自殺などは、ケースによって扱われ方が大きく異なるという。
孤独死はグレーゾーンが広い
事故物件・訳あり物件の買い取り・再販を専門とする「ハッピープランニング株式会社」代表取締役の大熊昭氏が解説する。
「孤独死についてはグレーゾーンが広く、発見が早く特殊清掃が不要だった場合は告知義務がないと判断する業者もいれば、少しでも気になる点があれば事故物件として扱う業者もいます。
また、自宅で自殺をはかり搬送先の病院で亡くなったというケースは判断が分かれます。『病院で亡くなったのだから事故物件ではない』とする業者もいますが、自宅で自殺をはかったという事実は残ります。さらに、隣の部屋で自殺があったケースは告知義務の対象外とされていますが、心理的に嫌だと感じる方も当然いるはずです」
こうした情報は、ネットで調べても出てこないことが多い。そこで有効なのが、近隣住民に直接聞くという方法だ。前編冒頭の田中さんのケースのように、案外、近所に住む人々が事情を知っていることは珍しくない。
床の一部が張り替えられていたら……
「近隣住民への聞き込みは、ハードルが高いと感じる方も多いでしょう。ただ、ネットにも載っていない、業者も口を開かないとなると、利害関係のない第三者に頼るのが効果的です。
ほかにも、周辺の相場より家賃が不自然に安い物件や、内見の際に床が一部だけ新しく張り替えられている場合は、特殊清掃が入った可能性を疑ったほうがいいかもしれません。また、部屋に入った瞬間に何となく心が落ち着かなかったり、気持ちが沈んだりしたら、その直感は意外と当たっていることもあります。霊感とは関係なく、気分が沈みやすい間取りや環境が、人が亡くなりやすい状況をつくり出しているケースもあるのです」(前出の大島氏)
「事故物件なんて気にしない」という人でも、「もしも」があってからでは遅い。業者への質問、ネット検索、近隣住民への聞き込みほか、手を尽くし過ぎるということはないのだ。
「週刊現代」2026年5月25日号より
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