「老後資金2000万円だけじゃ、まだ足りない?」定年後の父を襲う“持ち家”でも安心できない「インフレ2%」の恐怖とは?

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老後資金は、高齢者夫婦にとっては自身の問題ですが、親子という家族単位で考えると、子どもたちにとっても相当に関係のある問題と言えます。   さまざまな親子の関係はありますが、親70代、子40代前後からがこの問題が具体化する時期と考えられます。   今回は、親の老後資金について年金を含めて考えてみましょう。はじめに、この問題の答えは、2000万円の貯金があるから一概に安心とは言えないということになります。以下順を追って説明をします。

老後資金と年金

数年前(2019年)に、現在の公的年金だけでは老後資金が2000万円ほど足りなくなるという話題が世間を賑わしたことがあります。老後資金と年金の関係を多くの人に知らせる機会となりましたが、改めて老後資金と年金について学んでみましょう。
65歳以上の無職世帯の平均の収支は総務省家計調査によると表1のとおりです(※)。
表1

この収入と支出の差額3万4000円は、20年間で816万円となり、2019年時点と比較して差額(不足額)が少なくなったように見えますが、これは平均値であり、さらに掘り下げてみてみる必要があります。

実際に受給する年金の額や収入額はどうなるのか

「表1」の年金額は平均値ですから、既に65歳を過ぎて年金を受給している場合は、実際の金額に置き換え、65歳未満の場合は毎年届く「ねんきん定期便」で受給予定額を確認することになります。
・公的年金の額の決まり方
個人の年金額は、加入期間、年金の種類(厚生年金と国民年金)、収入額(標準報酬月額)によって年金受給額が決まります。公的年金は物価スライドが原則ですが、現在はマクロ経済スライド制度のため、物価上昇率以下になっています。
・企業年金や個人年金に加入している場合
勤めている会社の企業年金やiDeCoなどの個人年金もあり、公的年金(厚生年金と基礎年金)と合わせて年金額を把握することになります。
・年金以外の収入
年金収入のほかに、家賃収入や配当などの金融収入があることもあり、それらの収入も含めての収入になります。

毎年(毎月)の家計支出額はいくらくらいなのか

「表1」の家計支出の数値はあくまで平均値ですから、それぞれの家計ごとに相当違った数字になります。
・基本家計費はいくらになる
リタイア後の基本家計費は、現役時代の家計費をベースに、収入に応じた金額に減らすことが一般的ですが、持ち家賃貸、車の保有の有無、他の家族への支援などによって決まってくることになります。
・一時的・臨時の支出がある
自宅の修繕費、車の買替費用、慶事や弔事の出費を見込む必要があります(100万円単位の支出)。
病気や介護についての費用
高齢期になるとこれらの費用が多額発生することがあります。その際、保険(医療保険・介護保障保険)に加入しているかどうかで負担額が変わることになります。
また、介護施設に入所する場合も、高額の一時金が必要なケースがあります。

物価の上昇を勘案する必要がある

日本は長い間のデフレ経済で物価上昇のない生活を過ごしてきましたが、ここ2~3年の物価上昇は今後も続くことが予想されます。
毎年2%上昇は経済成長とセットで見込まれており、現役の給料収入のある世代と比べてリタイア後の世代には厳しい環境です。また、健康保険や介護保険料も見直されるため、負担が増える場合があります。
仮に毎年2%ずつ物価が上昇すると、300万円の年間支出は、10年後には年間360万円、20年後には年間450万円に増えることになります。

2000万円の預貯金で老後資金は間に合うのか

このように、収入額と支出額を把握して検討した場合、持ち家があることは強みではありますが、2000万円で間に合うかどうかは、簡単に決めることができないということになります。
したがって、より綿密な収入と支出(物価上昇も織り込む)の項目を挙げて計算することが大切です。
また、20~30年間の収支と残高が時系列で分かる、キャッシュフロー表で見るのが最も望ましいと言えるでしょう。自力で作成することも可能ですが、FPなどに初回は作成依頼をして、次年度以降は自分で補正するのが良いでしょう。

終わりに~親との対話の方法~

ここまでの話は、自身のためにも必要なことですが、親御さんから聞き出して対応を検討しなければならない場合が多いと思われます。その際は、親御さんとの日常の関係の中で、円滑に聞き出す方法を考えることが大事なことではないでしょうか。
 

出典

※総務省 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要 18P
執筆者 : 植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP