Image: Raymond Wong / Gizmodo US

まだ初期、いや初期の終わりに差し掛かっている印象を受けるスマートグラス業界。Samsung、Googleが近いうちに参入し、過渡期を迎えるのだろうと思いますが、今はまだその手前。ゆえに、スペックも目的も幅広い、自由なスマートグラスがさまざまなメーカーから登場しています。期待したくなるもの、不安になるものありますが、今回のモデルは不安も期待もなく、シンプルにワーストケース。

数々のスマートグラスをいち早くレビューしている米Gizmodoが、10点満点中0点と切り捨てたスマートグラス「Dymesty AI Glasses」。何がダメかというと…、まぁ全部です。反面教師として、以下、レビューです。

失敗する可能性のあるものは、失敗する。かの有名なマーフィーの法則です。これ聞いたことないのかな?と思わずにはいられなかったガジェット、Dymesty AI Glasses。こんなこと言いたくないけど、今までかけたスマートグラスの中で断トツのワーストです。

逆に、できることって何ですか?

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

Dymesty AI Glassesの価格は399ドル(約6万5000円)。AIと製品名につく通り、AI機能をもつスマートグラスです。Metaのスマートグラスとは異なり、カメラもディスプレイも非搭載。あるのはスピーカーとマイク。専用アプリでAI機能を使えますが、このAIのもとはChatGPT。

昨今、AIスマートグラスに期待することといえば、翻訳とか、音楽再生とか、会議の議事録&要約とか、ハンズフリーでの音声アシスタント利用とかです。で、こういったことを、Dymesty AI Glassesも仕様の上ではできることになっています。いや、実際できないこともない。ただ、それをするには、もう自分でやるからいいよっていうくらいの労力がかかるという足枷つき。

たとえば、音声アシスタント。これを使うには、iOSユーザーの場合、まずDymestyアプリをダウンロードして、Siriのショートカットをこのアプリ向けに作成。Dymestyアプリをショートカットで「Glasses」と設定、これで音声アシスタント発動ワードが「Glasses」になります(設定するワードは別でもOK)。メガネのツルのボタンをダブルタップしてから発動ワードで音声アシスタントが起きる、はず。で、ここからの流れですが、SiriにDymestyアプリにChatGPTを使ってタスクをこなすようにリクエストせねばなりません。…遠回りすぎません?

レビューでは、Dymestyのショートカットがうまく機能したときもありましたが、その場合、まず「Hey Siri」でSiriを起動しておいてから、ツルボタンダブルタップの「Glasses」になります。で、そうこうしているうちにSiriも待ちくたびれたのか、無視されるハメに。SiriとGlasses両方呼ばないとショートカットすら使えない。なんすかこれ?

なんすかこれ?はこれで終わりじゃありません。始まりです。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

次、録音&文字起こし機能です。これもChatGPTを使う機能。レビューではテレビ会議で使ってみました。AIレコーダーを起動して、音声を記録。会議終わりに確認すると10分間レコーディングと表示されていました。で、実際に聞こうとすると3秒のクリップしかなく、何も録音されていない…。なんすかこれ?

次、カレンダーアプリとなるスケジュールアシスタント機能。Dymestyカレンダーに予定を入れるわけです。で、予定いれて、アシスタントに今日の予定は?ってきくと、予定ないですって。いや、そんなはずない、iOSじゃなくてDymestyカレンダーで見てよって細かくオーダーしても、予定ないです。自分でDymestyカレンダー確認してみると…、ないんですよ。いれたはずの予定が。なんすかこれ?

次、スマホ紛失防止機能。スマホとグラスが8メートル以上離れるとアラートを出すという機能です。スマホをソファに置いてどんどん離れていってみると…。Bluetoothの対応範囲からでて、接続を解除しましたのお知らせが。たぶんですけど、そういうことじゃないですよね、この機能。なんすかこれ?

さらにさらに、もっと他のサービスと連携した方がAIアシスタントもやりやすいかなとGmailとスケジュールアシスタント機能を連携させようとすると…。なんとGoogle側が連携をしぶりました。Dymestyアプリが有害アプリではないと言い切れないとのことで、再検討しろと…。いやもう、なんですかこれ!

なにも機能しない!と言いたいところですが、中にはちょっと機能するものもあります。それは、スマートグラスあるあるの翻訳。YouTubeでスペイン語を話す人の動画を流しつつ翻訳をお願いすると、そこそこ正確な翻訳文章が表示されました。が、これ同時進行ではなく、段落ごと。つまり、相手が話し終えてから翻訳するスタイルなので、会話という点ではスムーズではありません。

デザインもよくない

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

機能は爆死ですが、ハードとしてはどうでしょう。まぁ、普通です。ふつー。

最初にポジティブなことを言うなら軽い。重さ35グラムは他と比べても軽いです。が、レビューで重さ計ってたら41グラムだったんです。もしかして、35グラムってレンズ抜きでフレームだけのは話してます? 41グラムでも軽いモデルなので、なんかもったいない。ちなみに、軽いのはチタン製なのが理由かと。

軽いなら装着感もよかろうと思うのは単純すぎ。鼻パッドがすごく硬いプラスティックなんです。そのせいで、短時間装着でもなんか痛い。そして、チタン以外のすべてのパーツが安っぽい。ボタンも小さくて押しづらい。Metaのグラスのようなタッチパッドはそもそもなし。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

操作で謎なのが、音楽視聴中、スマホの音声アシスタントで再生・停止はできるけど、音量調整はできない。で、これをグラスのボタンでしようとすると、フレームが軽いこととボタンの位置が悪くて、グラスがズレる、落ちるんです。なので、片方の手で押さえながら操作するわけで、なんという操作性の悪さ!

スピーカーが左右に搭載されていますが、これの音も普通、いや平均以下です。サウンドクオリティを求めない人が家で使うならいいんでしょうが、ちょっとうるさい場所だともう聞こえません。ボリューム最大にしないと自分が何聴いているかわからないレベル。

一方で、通話品質はそこそこ。5分ほど通話し、通話相手につけてもらった点数は10点満点中8点。Metaは通話品質が非常によく周辺ノイズをうまくカットしており、そこまではないものの悪くもないという結果です。

そもそもフレームのデザインも野暮ったい気がします。

バッテリーもちは48時間でなかなかよし。最大音量で1時間音楽聞いてみましたが、バッテリー残量が100から90%に。ただ、Dymestyアプリのバッテリーって10刻みで、90%なのか95%なのかわからないという謎仕様。48時間は微妙かもですが、最大音量で9時間から10時間はいけそうです。Ray-Ban Metaが5時間なので、バッテリーもちはいい方です。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

バッテリーもちについてDymestyに問い合わせると、メガネの左右それぞれのアームにバッテリーが搭載されているとのこと。なるほど、これ聞いて納得しました。というのも、充電ケーブルが二股という変わった作りなんです。左右につけるのですが、それはそういう理由なんですね。ちなみに、この左右分けた作りのせいで、スピーカーが片側しか動かないこともありました。

総評

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

いや、買わないよ。

もしこれがコンセプトモデルなら、改善点が見えてよかったねという話で、ものづくりの楽しさを買うということもできました。でもさ、これ、商品なんですよ。商品というには図々しいですよ。開発途中でしょ?って言いたくなりますもん。

使いにくい、面倒くさい、イライラする、高い。ビジュもよくない。いいところを探すなら、比較的軽くてバッテリーもちがいいこと。でも、何も機能しないスマートグラスを、いくら軽いからってかけますか?

いいところ:軽い、バッテリーもちがいい

残念なところ:機能何も動かない、トラブル多すぎ、見た目ゴツすぎ、高すぎ、オーディオ平均以下すぎ、Googleに怪しまれている

Source: Dymesty

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