投票が同数だった半年前の選挙結果をめぐり、くじ引きや異議申し立てが行われた茨城県神栖市長選に進展があった。3度目の検証の結果、現市長の当選が無効となり、敗れた前市長が逆転勝利となった。

【映像】木内氏が不満をあらわにした瞬間

 現職の木内敏之市長は「私は生まれてからずっと、まんじゅう屋のせがれ。なぜ認められないのか、やはり分からない」とコメントした。

 奇跡のストーリーは、2025年11月から。“まんじゅう騒動”の舞台となった神栖市で市長選が行われ、現職の石田進氏と、新人の木内氏の一騎打ちになった。

 開票すると、現職・石田氏の得票は1万6724票、新人・木内氏も1万6724票と、まさかの同数に。公職選挙法では、同数の場合はくじ引き。その結果、くじで当選したのは新人の木内氏だった。

 しかしこの結果に、くじで敗れた現職・石田氏は納得しなかった。「無効票があったのではないか。再点検してほしい」。市の選挙管理委員会に異議を申し立て、票の数え直しが実施された。

 約300人の市民が見守る中、慎重に再点検が行われた結果、やはり同数。くじ引き通り、新市長は木内氏に決定した。

 しかし石田氏は、「やっぱり納得できない。後援会の皆さんと相談しながら、明日には決めたい」とコメント。今度は茨城県の選挙管理委員会に異議を申し立てると、誰も予想すらしなかった“まさかの事態”が発覚し、石田氏の逆転勝利となった。

 その決め手が、投票用紙に書かれた「だんごさん」と「まんじゅうや」。実は木内市長の親族は和菓子店を経営している。そのためか「だんごさん」や「まんじゅうや」とだけ記載された2票があり、県の選管は「無効」と認定したのだった。

 茨城県選挙管理委員会の星野学委員長は、「『だんごさん』『まんじゅうや』が木内氏の通称として、広く使用されていると認めるに足りる証拠はないことから、“無効”と判断せざるを得ないとの判断に至った」としている。

 一方、石田氏にも1票の無効票が新たに認定されるも、石田氏が1万6723票、木内氏が1万6722票と、今度は石田氏が1票上回る結果に。市長に就任した木内氏の当選を無効とする裁決を下した。

 しかし最初に点検した市の選挙管理委員会では、「だんごさん」も「まんじゅうや」も木内氏と認定したはずだ。なぜ覆ったのか、市の選挙管理委員会に取材すると、「なるべく票を無駄にしたくないという思いがあり、『まんじゅうやは木内候補で問題ないよね?』と合議のうえで、有効票だと判断した。立会人にも伝えている。神栖市の事例ではないが、過去に投票用紙の名前の欄に、職業を書いて有効票となった事例も参考にした結果、市では有効票とした」と説明。なお、有効か無効かの最終的な判断は、各自治体に委ねられている。

 木内氏は「私は生まれてからずっと、まんじゅう屋のせがれ。なぜ認められないのか、やはり分からない。小さい時から『まんじゅう屋の敏之』とか、『まんじゅう屋さん』とか呼ばれていて、今でもそういうふうに呼ばれている」と反論した。

 木内氏が力説したように、神栖市民は本当に市長を「まんじゅうや」と呼ぶのか。木内氏の実兄が代表を務める、明治34年創業の「木内製菓」に打診すると、担当者は「現在対応できるものがおりません。会社の紹介に関してもお断りするように言われております」との返答だった。

 テレビ朝日の田中萌アナウンサーが神栖市を取材。神栖市は人口9万3000人で2005年に神栖町と波崎町が合併して誕生した。市民たちは「(市長を)呼んだことはないが、呼ぶとしたら『木内さん』。(“まんじゅうや”とは)言わない」「『木内さん』(と呼ぶ)。でも“まんじゅうや”でも分かる」と反応。「まんじゅうを食べたことがあるか」の問いには、「もちろん。俺は好き。普通に神栖市内のスーパーには全部卸していると思う」との声もあった。

 田中アナが地元のスーパーで確認。「すごかった。製菓売り場のほとんどが木内製菓」。さらに市民に木内製菓がある場所を聞くと「分かる、小見川大橋の手前側のとことにある。神栖市民は分かっていると思う」。

 田中アナは「市長のことを“まんじゅうやさん”と言っている人はいなかったが、『昔からよく食べている』という声や、スーパーに行けば、かなりたくさん木内製菓のものが並んでいるのを見て、『神栖のまんじゅうといえば木内製菓』と取材して分かった」と話す。

 木内氏は判断を不服として、東京高裁に提訴する方針。判決が確定するまでは、市長職を失うことはないという。

 秋田でクマに襲われ九死に一生を得た、和菓子店「鷹松堂」3代目店主の湊屋啓二さん。かつては北秋田市議選で当選したこともある湊屋さんは、「私の場合、『お菓子屋』とか。鷹松堂という屋号なので、『鷹松』は結構言われていた。それを考えると、その票(まんじゅうや)は私から見ると有効。頑張るしかないですね。皆からそう呼ばれた。『だんご』とか『まんじゅう』と言われていたと、裁判でもガッツリ言うしかない」との見解を示した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)