イスラエル占領下のヨルダン川西岸の村ムガイルで、イスラエル人入植者の銃撃により死亡したとされるパレスチナ人2人の遺体に寄り添う親族=21日/Zain Jaafar/AFP/Getty Images

(CNN)イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸で、イスラエル人入植者が学校を襲撃し、14歳の少年などパレスチナ人2人を射殺した。パレスチナ保健省などが明らかにした。

現場をとらえた映像には、ヨルダン川西岸中部の村ムガイルで戦闘服姿の男がライフル銃を持って学校に近付き、少なくとも8回発砲する様子が映っている。活動家によると、この男は過去にもこの村を襲撃したことがある入植者だった。

ムガイルの住民は、ほぼ毎日のように入植者の襲撃を受けている。

パレスチナ保健省によると、殺害されたのはアウス・ナアサンさん(14)と、同校に通う生徒の保護者ジハード・アブ・ナイムさん(32)だった。

ヨルダン川西岸ではここ数日の間に学校や児童生徒に対する襲撃が相次いでおり、別の学校は校舎が全壊した。入植者が通学路に有刺鉄線を張り巡らせて、最年少で5歳の子どもたちの通学を妨害している場所もある。

14歳生徒と駆け付けた保護者が犠牲に

21日に襲撃された男子校のバッサム・アブアサフ校長によると、武装した入植者少なくとも5人が正午ごろ、ムガイル村に近付いた。銃撃が始まった時、一部の生徒は校庭に出ていたという。

イスラエル軍は今回の事件について、予備役1人を含むイスラエル人数人の乗った車が投石を受けたことが発端だったと主張。「予備役が車を出て、その場にいた容疑者に対して発砲した」としている。

パレスチナ人2人が殺害され、ほか数人が負傷したという「主張」については「認識している」とイスラエル軍は述べ、「本件については検証中」とした。

CNNは、9年生のアウスさんが射殺された瞬間の映像を入手した。映像には、友人たちが駆け寄ってアウスさんを運び出す様子が映っている。

もう1人の犠牲者のアブ・ナイムさんは、近くに住む同校生徒の保護者で、銃声を聞いて学校に駆け付けたところを銃撃された。

校長によれば、ほかにも生徒や保護者ら4人が負傷した。

学校前で撮影された映像には、道路に血が飛び散り、遠くで銃声が響く中、何人もの男性たちが走り回って助けを求める姿が映っている。現場から運び出される負傷者の中には、体が血まみれの男性もいた。

今回の銃撃事件は、パレスチナ人に対する入植者の暴力が激増し、激化する中で起きた。襲撃には兵士が加わることもある。そうした事件について、イスラエル軍は大抵、捜査中と説明するものの、多くの場合、容疑者が逮捕されることも検挙されることもない。

校舎をブルドーザーで破壊

ヨルダン川西岸では20日夜にも、入植者が別の学校の校舎をブルドーザーでなぎ倒していた。現場はCNN取材班が3月にイスラエル兵に拘束され、暴行されたタヤシル村の近くだった。

この地域では数カ月前から入植者が襲撃を繰り返し、パレスチナ人住民を追い出していると、現地の活動家はCNNに語った。

学校はイスラエル軍の基地から目の届く場所にあったにもかかわらず、兵士たちは破壊を食い止めようとはしなかったという。

児童の通学を妨害

別の事件でも学校に通う子どもたちが標的にされた。ウムハイル村では入植者が通学路に有刺鉄線を張り巡らせて子どもたちの通学を妨害していると、地域指導者のハリール・ハザリーンさんは訴える。

「この道路は村の子どもたちが頼っている通学路だ。その封鎖は移動の自由に対する明らかな侵害であり、直接的な教育妨害にあたる」。ハザリーンさんは声明の中でそう指摘した。

通学妨害が始まった20日に地元住民からCNNに送られてきた動画には、丘の上に立つイスラエルの兵士らが映っていた。周辺には催涙ガスのようなものが漂い、20人以上の子どもたちが取り囲まれている。

ハザリーンさんによると、子どもたちは毎日、通学路の近くで抗議運動を続けているという。CNNに届いた写真の子どもたちは、「学校へ行きたい」「私たちを守って」「勉強させて」などと書いた紙を掲げていた。

ウムハイルでは入植者による襲撃と土地の強奪が繰り返されている。アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」の制作にかかわったパレスチナ人活動家のアウダ・ハザリーンさんは昨年、入植者による襲撃の中で射殺された。

アウダ・ハザリーンさんを死亡させた罪に問われたヨニン・レビ容疑者は、3日間の自宅拘禁処分となり、その後イスラエルの裁判所の判断で釈放された。