日本代表のコーチングスタッフに就任した俊輔氏。その指導に注目が集まる。写真:滝川敏之

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 中村俊輔が、日本代表に戻ってきた。

 昨季限りで横浜FCのコーチを退任していた元日本代表の10番は、北中米ワールドカップに臨む森保ジャパンのナショナルコーチングスタッフに就任。4月16日に発表された。

 誰もが知る日本サッカー界のレジェンドだ。日本代表で国際Aマッチ98試合出場24得点。ワールドカップには2006年のドイツ大会、10年の南アフリカ大会に出場した。クラブレベルではレッジーナ、セルティック、エスパニョールと欧州で長きにわたり活躍し、Jリーグでは2000年、13年にMVPを受賞。横浜FM、磐田、横浜FCでプレーした。

 2022年の現役引退後は、横浜FCで指導者のキャリアをスタート。25年にJFA Proライセンスを取得している。

 その実績や経験値は申し分ない47歳は、森保ジャパンに何をもたらすのか。

 現役時代はFKの名手としても知られただけに、セットプレーの強化は1つの注目点だろう。マリノス時代に「1本目のコーナーの狙い? あれは相手のキーパーがどう出るかを確かめるために蹴っただけ」と語っていたことがあるように、様々なシチュエーションでの“駆け引き”の策を落とし込んでくれるはずだ。
 
 PK対策でも力になるのではないか。キッカーへの指導はもちろん、GK陣からしても、俊輔コーチのPKは格好のトレーニングになる。横浜FCでも、練習後にはよくGK市川暉記を相手にPKを蹴り込む姿があった。

 実践的な指導だけでなく、W杯という大舞台に臨む選手の心構えでも、俊輔氏は説得力を持って何かを伝えてくれると思う。

 自身2度目のW杯となった10年の南ア大会では、直前でレギュラーから控えに回った。本人も「一番きつかった」と振り返るほどだが、大会中は先発を外れても“自分に何ができるか”を考え、行動し、16強入りを果たしたチームを下支えした。

 W杯はピッチに立つ選手たちだけで戦うわけではない。サブ組の気持ちを痛感し、どんな振る舞いがチームを助けるかを知る俊輔氏だからこそ、その言説は貴重だ。

 そして、横浜FCでのコーチ時代を見る限り、俊輔氏の指導者としてのスタンスは、何よりも選手の成長を促すことに注力していたように見える。

 もちろん、日本のトップの選手が集う代表と一クラブでは、「成長」の意味合いは異なる。それでも、個々の能力をいかに引き出すかという点で、俊輔氏は熱心に、親身に指導していたように思う。

「本当にこれが選手にとってベストなのか」。そうやっていつも熟考しながら、最適解を探り続けていた。

 そのアプローチは、森保ジャパンでもポジティブな影響をもたらすはず。指導者としての新たなチャレンジに期待したい。

文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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