ヒノキ科の常緑針葉樹が多数植えられている公園(14日、北京で)=守谷遼平撮影

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 【北京=吉永亜希子】中国花粉症患者が増加している。

 患者数は2億人を超えるとも言われ、当局は今春、全国規模の花粉飛散量の予報サービスを開始した。長年の植林に起因するという指摘もあり、当局は花粉症対策と緑化事業の両立を迫られている。

 14日午前、北京市内の総合病院のアレルギー外来は患者で混雑していた。花粉症対策用のゴーグルを選ぶ人もいた。外来予約用アプリを見ると、予約は1週間先まで全て埋まっていた。

 中国気象局などは「花粉症が日に日に重大問題になっている」として、3月下旬、オンラインで各地の花粉飛散量の予報を公開するサービスの提供を開始した。中国紙「科技日報」は花粉症患者が2億人を超えたと報じており、気象局は「人々の健康と生活の質を高めるために意義がある」と、予報の効用を強調する。

 北京協和病院の調査によると、北京の花粉量は1980年代から2000年代の間に4倍になった。緑化のために植栽された樹木が成熟期を迎え、多量の花粉が飛散するようになったことが理由の一つだという。

 北京の公園などにはヒノキ科の常緑針葉樹が多く、街路樹の枝切りをしたり放水車で地面を湿らせて花粉を舞い上がりにくくしたりする対策が取られてきた。

 中国共産党機関紙・人民日報によると、今年は、研究機関が開発した「花粉固定剤」が導入された。固定剤を混ぜた水を雄株に噴霧して透明の膜を作り、花粉の飛散量を抑える仕組みだ。

 乾燥地帯が多い中国北西部などの内陸では、「緑の長城」と称される緑化事業が40年以上続けられてきた。これが花粉症患者を増加させたとの指摘もある。西安交通大学などの研究チームは25年6月、陝西(せんせい)省で多く植えられたクロヨモギに含まれる五つの物質が、花粉症の原因になっているとする研究成果を発表した。

 事業は継続しているが、中国のSNSなどでは「緑化でかえって健康を損なった。植林する樹木の種類は慎重に選んでほしい」と不満を訴える投稿も見られる。地方レベルでは、街路樹の植え替えを検討する動きも出ている。