海岸で地元のご老人がひとり、ごみの片づけを…五島列島で見た衝撃的な光景

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2021年にスタートし、今年1月5日から浮体式風車8基を運用して商用発電(実際に電力を供給する発電)が始まった「五島洋上ウィンドファーム」。

戸田建設が五島列島の地元自治体・地元企業・漁業関係者のみなさんとタッグを組んで進めてきた“実践的な大規模プロジェクト”である、その洋上ウィンドファームを実際に間近で見学してきた模様をお伝えした前編に引き続き、後編では五島列島のサステナビリティに関する話題をいくつかお届けしたいと思います。

多様性豊かな自然と固有の歴史が紡いできた唯一無二の島

沖縄県、奄美群島を除く九州の最西端にある五島列島は、大小152の島々で構成され、その複雑な地形から、多様な生態系と自然、多種の魚に恵まれた美しい島。そのさらに最西端にある大瀬埼灯台は「九州本土で最後に日が沈む場所」とされ、数々のドラマの舞台にもなってきました。歴史的には平安時代の遣唐使の国内最後の寄港地として使われ、江戸時代から明治初期にはときの政府によるキリスト教弾圧を逃れた多くの潜伏キリシタン(隠れキリシタン)が移住し、彼らが開拓した集落が島中に点在するという、文化豊かなエリアです。

そこから素敵な話題と、ちょっと残念な話題のふたつ。

風景と物語を描くクラフト・ジン

まずは素敵な話題から。

五島市の中心地、福江町から車で20分。途中からは対向車とすれ違いも困難な道を抜けた先に突然広がる美しい海岸線の集落・半泊地区にその蒸溜所があります。東京の大手酒造メーカーで活躍していた3人の仲間が、「『風景』と『物語』に結びついた、豊かなお酒づくりにかけてみたい。」という志から2022年に創業した「五島つばき蒸溜所」です。

小さな実のひとつひとつを一文字割りしたジュニパーベリー(ジンの香りの主人公となる、ヒノキ科の樹木「セイヨウネズ」の球果)をはじめ、五島の代表的な花・椿の果実など18種類のボタニカル(香り原料)をそれぞれ最適なアプローチで個別に蒸溜してブレンドした原酒は、蒸溜所の裏山の湧水でアルコール度数の調整を施し、椿の蕾を模したガラスボトルに瓶詰めされて「クラフトジンGOTOGIN(ゴトジン)」として島内、そして全国へ旅立ってゆきます。

電力も2025年に100%再生可能エネルギーを達成したとのこと。いまでは、島内の飲食店の多くでこの「GOTOGIN」飲むことができますし、オンラインショップでの購入も可能。機会があればぜひ味わってみてください。美味しさを味わってほしいのはもちろんのこと、サステナビリティを意識して丁寧に作られたお酒を楽しむのも、サステナブル・アクションのひとつです。

環境意識と日々の消費、物を大切にする心は、全部つながっている

そして続いて、、、ちょっと残念な話題。

東シナ海に面する五島列島には、対馬など近隣の離島の例にもれず、多くの海洋漂着物が打ち上げられます。

上の写真は2枚とも同じ場所から撮った写真。カメラを90度振るだけでまさに天国と地獄のような風景が切り替わります。市が定期的に清掃を行っても、大潮(満潮と干潮の潮位差〔潮の満ち引き〕が最も大きくなる時期。満月と新月のとき)をすぎると、また大量に漂着しているのだとか。

海岸で地元のご老人がひとり、ごみの片づけをしていました。

「ほらたとえばこの網、まだ使えるのに、もったいない。そういうことは、今の若い人には興味ないことなのかね」

海洋漂着物の90%は、海に捨てられたものではなく、内陸部でポイ捨てや不法投棄されたものだと言われています。その方の寂しそうな言葉に、環境意識と日々の消費、物を大切にする心は、全部つながっているのだということに改めて気づかされました。

豊かな自然と、生まれたばかりの未来のエネルギー最前線、歴史と豊かな文化のなかで芽吹くあらたな営み、そしていまだ消えない社会課題。

これって、そのまんま日本のいまの縮図だなと思いながら長崎行きのジェットフォイル(水中翼船)に乗り込みました。

余談。

帰り際、五島市福江港の客船ターミナルで、一級品の蒲鉾と出会えました。浜口水産さんの添加物一切なし(でんぷんも使わない!)の蒲鉾は船待ち中のビールのおつまみにも最高! 東京では豪徳寺に店舗があるとのことなので、また行ってみようと思います!

写真・文/園田徳一郎

【前編】実は日本は再エネのポテンシャルが高い!「五島洋上ウィンドファーム」が切り開く未来