ダイエットのためにはパンや麺類、米といった炭水化物が豊富な食品ばかりを食べるのはよくないとされています。大阪公立大学の研究チームはマウスを使った実験で、小麦や米といった炭水化物が豊富な食品を食べると、総摂取カロリーはほとんど変わらないのに体重や脂肪が増加することが示されました。

Wheat Flour Intake Promotes Weight Gain and Metabolic Changes in Mice - Matsumura - 2026 - Molecular Nutrition & Food Research - Wiley Online Library

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mnfr.70394

炭水化物好きは太りやすい 〜同じカロリーでも体重・脂肪が増加すると判明〜|大阪公立大学

https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-22502.html

Scientists Reveal Why Bread Can Cause Weight Gain Without Overeating : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/scientists-reveal-why-bread-can-cause-weight-gain-without-overeating

肥満は糖尿病や心血管疾患などの主要なリスク因子であり、食生活が肥満に及ぼす影響についてさまざまな研究が行われています。しかし、これまでの研究では「脂質」の過剰摂取が注目されがちであり、高脂肪食を用いた実験が多く行われてきた一方、主食として摂取されている小麦や米といった高炭水化物食品と肥満の関係については、あまり研究されていないとのこと。

そこで、大阪公立大学の松村成暢准教授らの研究チームは、小麦や米などの高炭水化物食品が肥満に及ぼす影響についてマウスで実験しました。研究チームはマウスを「通常の飼料のみを食べるグループ」「通常の飼料と小麦粉を練って焼いたものを好きな割合で食べるグループ」「通常の飼料と米粉を練って焼いたものを好きな割合で食べるグループ」などに分け、体重変化やエネルギー消費量、肝臓の脂肪蓄積や遺伝子発現などについて調べました。

実験の結果、マウスは小麦粉や米粉に強い嗜好(しこう)性を示し、標準的な飼料をほとんど摂取しなくなることがわかりました。そして、通常の飼料を食べるグループと総摂取カロリーはほとんど変わらないにもかかわらず、小麦粉や米粉をたくさん摂取したマウスは体重や脂肪量が増加することが明らかになりました。

以下のグラフは、いずれも縦軸が体重で横軸が実験開始からの経過時間(週)を示しています。左のグラフは青色が標準飼料を食べたマウス、赤色が標準飼料とパンを食べたマウスを表わしており、右のグラフは黒色が標準飼料、青色が標準飼料と米粉、赤色が標準飼料と小麦粉を食べたマウスを表わしたもの。いずれのグラフを見ても、標準飼料のみを食べたグループと比較して、米粉や小麦粉を摂取したグループの方が体重増加が大きいことがわかります。



また、実験開始から5週間はすべてのマウスに標準飼料と小麦粉を与え、途中から「小麦粉の摂取を中止して標準飼料のみを食べるグループ」と「標準飼料と小麦粉を食べ続けるグループ」に分ける実験も行われました。以下のグラフを見ると、赤色で示された標準飼料と小麦粉を食べ続けたグループの体重は継続的に増えている一方、青色で示された小麦粉の摂取を中止したグループは体重増加が止まっていることがわかります。



研究チームがマウスの呼気ガスを分析して酸素消費量などを測定したところ、小麦粉を摂取したグループはエネルギー消費量が少ないことも判明。これは、小麦粉の摂取による体重増加は「食べ過ぎ」ではなく、「エネルギー消費量の低下」が関与していることを示すものです。

また、血液中の代謝物測定からは脂肪酸の増加や必須アミノ酸の低下が確認されたほか、肝臓では脂肪の蓄積に加え、脂肪酸合成や脂質輸送に関わる遺伝子の発現量が増えることも確認されました。

松村氏は「本研究が示しているのは、『特定の食品が悪い』のではなく、『おいしすぎる食品に偏ることが、代謝や体重に影響を与える可能性がある』という点です。これは、パンだけでなく、米や麺類、甘味の強い食品など、あらゆる主食・嗜好食品に共通する重要な視点です」とコメントしました。

研究チームは今後、炭水化物の摂取による代謝変化がヒトの実生活においてどれほど当てはまるのかを検証するとしています。また、「全粒粉・未精製穀物・食物繊維が豊富な食品」「タンパク質や脂質との組み合わせ」「食品の加工方法や摂取タイミング」などの要因が、炭水化物摂取に伴う代謝変化に及ぼす影響についても明らかにしていく予定です。