都内でこの価格(C)日刊ゲンダイ

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 トランプ米大統領のホルムズ海峡“逆封鎖”に、イランも抵抗。一つの海峡を2カ国が同時に封鎖する前代未聞の状況に陥った。この二重封鎖で原油価格は高騰。日本のガソリン価格にすぐさま反映され、ドライバーは痛手のはずが、何事もなかったかのような値段で給油できている。高市政権が3月半ばにガソリン補助金を再開したためだ。

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 1リットルあたり「170円程度」に抑えるバラマキ策で、高市首相は「普段通りの給油」を呼びかける。同じく中東産原油に頼るアジア各国が給油制限や在宅勤務など「省エネ」にカジを切る中、給油価格をピン留めし、消費をあおるエネルギー小国は日本だけだ。しかも原油高騰を受け、補助金の支給額が当初の約30円から現行は約50円まで拡大。ガソリン価格は本来210円台後半を付けている計算だ。この水準が続けば月5000億円を要し、確保した約1兆円の財源は5月中にも枯渇してしまう。

 政権内では今年度予算に計上した1兆円の予備費の活用を検討しているが、2022年1月の開始からガソリン補助金の累計予算額は9兆円を超える。予備費を振り向ければ10兆円突破は確実だ。高市首相の“悲願”であるはずの「食料品の消費税率2年間ゼロ」を賄える規模である。

「ガソリン価格は中東産ドバイ原油に連動するのに、政府は補助金の算定指標をより割安な北海ブレントに切り替えた。ただ、そんなゴマカシでこの難局をしのげるのか。170円の超過分を補填する上限額が設定されていないだけに、財政支出は青天井となりかねません」(石油業界関係者)

■石油危機下でガソリン大安売りは日本だけ

 自民党内には予備費が尽きれば「補正予算案の早期編成を」という甘い考えもあるようだが、国債市場の長期金利は29年ぶりの高水準だ。赤字国債に頼った補正編成は即、財政不安から、さらなる金利上昇や円安を招来させる。悪循環だ。

「昨年末のガソリン補助金打ち切りの要因となった暫定税率廃止の代替財源もいまだ確保していません。国と地方を合わせた1.5兆円の穴埋めは後回しで、ガソリン補助金への無尽蔵な支出は、高市首相の『無責任な放漫財政』の象徴です。世界規模で原油需給が逼迫しているのに『日本は大丈夫』という安全神話に取りつかれているかのようです。ガソリン補助金を評価する国民も“ゆでガエル”の状況に気付かなければいけません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 令和の石油危機下のガソリン大安売りで、財政破綻リスクを高めるのは史上最悪の愚策である。

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