【WRC 世界ラリー選手権】第4戦 クロアチア・ラリー(デイ3/日本時間4月12日)

【映像】衝撃クラッシュ→執念の三輪激走(実際の様子)

 優勝を目前にした首位のドライバーが、最終ステージでまさかのクラッシュ。しかし、大破したマシンで走行を継続し、リタイアを拒むかのような執念の激走を見せた光景が、ファンの間で大きな反響を呼んでいる。

 大会最終日のデイ3、最終SS(スペシャルステージ)20。ヒョンデのティエリー・ヌービル(37)は、2位の勝田貴元に1分以上の大差をつけ、完走すれば今季初優勝という盤石の体制だった。しかし、ステージ中盤の右コーナーで挙動を乱し、コースアウト。マシンはコース脇に激突し、右フロントタイヤが完全にひしゃげ大破する致命的なダメージを負った。

 実は今大会、ヒョンデは2023年にテスト中の事故で急逝した元チームメイト、クレイグ・ブリーンを追悼するため、彼をモチーフにした特別カラーのマシンで参戦しており、そうした中でチームからは無線で「Stop the car(マシンを停めろ)」との指示が入るが、ヌービルは表情一つ変えずアクセルを踏み続けた。

 放送席では、右フロントホイールを引きずりながら走里続けるマシンの姿に、解説の山本シンヤ氏が「チームから無線が入っているけれど、やっぱり最後まで走り切りたいという気持ちが、今これを動かしているところはありますよね」と静かに語った。これに実況の布施宏倖氏も「やっぱり色々な想いがあるんでしょうね。ブリーン選手の想いも背負っていますし…このマシンを絶対ゴールまで戻さなきゃという想いもきっとあるのでしょう」とコメントした。結果的にダメージの大きさから走行不能となったが、停車後もヌービルはすぐさまクルマを降り、コ・ドライバーとともに自ら修理を試みる執念を見せた。

 亡き同僚への想いを背負い、なお走り続けようとしたヌービルの姿に、視聴者からも「そうだよブリーンな」「泣けるわ」「せめてゴールしたいよなそりゃあ」「ラリーの精神やな」「帰ってきてくれ!」と、そのスピリットを称えるコメントが殺到した。

 ヌービルはこのままリタイアとなったが、この日彼が見せた“執念”は、世界中のラリーファンの心に刻んだ。(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2026』/(C)WRC)