立憲民主党・参議院国土交通委員長の辻元清美氏

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「安倍晋三氏と高市早苗氏」――ともに保守派の政治家で、首相として選挙で自民党を"一強"へ導いた。だが、高市政権を理解するうえでは"安倍後継"という捉え方だけでは本質を見誤りかねない。その政治姿勢の違いについて、立憲民主党・参議院国土交通委員長の辻元清美氏に聞いた。

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 安倍さんと高市さんは師弟関係と言われるが、政治姿勢は違います。

 予算委員会で安倍さんと最も議論した議員の1人として言えば、安倍さんは人事を掌握し、党や閣僚、官僚とチームを組んで仕事をしていた。政治路線が対極の石破茂氏や谷垣禎一氏、二階俊博氏を幹事長に起用し、森山裕氏や菅義偉氏を置くことで党内を掌握しつつ政策のバランスを取った。

 総理在任中の安倍さんは「強権」「独裁」と批判されましたが、踏み外してはならない一線は越えなかった。対中国強硬派と言われながらも、習近平・国家主席を国賓として招くことも決めた(コロナで中止)。それは中国へのスタンスが異なる二階氏や森山氏がチームにいたからできたわけです。

 一方の高市さんは単独プレーで自分の意見を曲げようとしない。台湾有事についても「存立危機事態になりうる」と持論を展開してしまった。安倍さんも総理退陣後は「台湾有事は日本有事」と発言しましたが、在任中は従来の政府答弁を繰り返していた。自分の考えと、政府の方針に一線を引いたわけです。

 国会対応も違う。安倍さんはモリカケ問題で虚偽の答弁も多かったが、予算委員会に出て逃げずに答えた。一方の高市さんは「答弁したくないもん」といった態度を見せる。予算審議も衆参各1か月かけて話し合うべきところを「年度内成立」と指示し、積み重ねられてきた国会運営のルールをぶち壊し、参議院で痛い目を見た。ルールを壊した意識もないかも……。

 とはいえ、高市さんが総理になって日本の政治の景色は変わったように思います。一般家庭の出身で、女性初の総理になった。私もそうでしたが、若い頃からの政治経験や政界人脈もなく議員になると一匹狼になりやすいが、叩き上げだから根性や執念はある。国民は身近で頑張っているから応援したい気持ちになるのでしょう。

 しかし、総理大臣は自分の行きたい道を邁進するだけではダメです。日本にはいろんな考え方の人がいて、国を統治するにはバランスを取らなければならない。持論を押し殺してでも違う意見を優先すべき時もある。安倍さんの姿勢にはギリギリ総理としての節度があったが、組織を率いたことがない高市さんには、それが感じられない。

【プロフィール】
辻元清美(つじもと・きよみ)/1960年、奈良県出身。早稲田大学教育学部在学中にNGOピースボートを立ち上げ。1996年、衆議院選挙にて初当選(社民党)し、以降7期務める。2022年からは参議院議員に転じ、現在は国土交通委員長を務める。

※週刊ポスト2026年4月17・24日号