佐々木朗希

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 第1回【「圧倒的な速球と決め球のフォークを失った佐々木朗希に何が残るのか」…ニューヨークポスト紙が辛らつに批判する「らしさを喪失した」令和の怪物の現在地】からの続き──。前田幸長氏はロッテ、中日、巨人の3球団で投手として活躍。先発、中継ぎ、クローザーの全てを経験した。ドジャースの佐々木朗希にとってはロッテの先輩投手にあたる。さらに前田氏は2008年には渡米してレンジャーズとマイナー契約を結んだ。3Aオクラホマで36試合に登板したため、アメリカの野球事情にも詳しい。(全2回の第2回)

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 佐々木朗希は3月31日のガーディアンズ戦に今季初登板、初先発。4回を被安打4、2与死球、4奪三振。1失点で敗戦投手となった。

佐々木朗希

 4月6日のナショナルズ戦では5回を被安打5、被本塁打2、3与死球、5奪三振。6失点だったが、チームが逆転して敗戦投手にはならなかった。

 佐々木投手の2試合を見た前田氏は「不調に苦しんだ昨シーズンと投球内容は全く変わっていません。率直に申し上げて、成長が見られないのです」と厳しく指摘する。

「何よりもコントロールが良くありません。先発した2試合では共通の課題として四球の問題が浮かび上がったと思います。先発投手は何が何でも四球を与えてはいけない、ということではありません。そんなことは不可能です。四球を出してしまうことはあります。ただ、主導権を握っている試合での四球と、握れていない試合の四球では意味が全く違います。佐々木投手は2試合ともコントロールに苦しみ、主導権を握れませんでした。相手打線は佐々木投手の状態を熟知しています。ガーディアンズもナショナルズも四球にしっかり付け込んで得点に結びつけました」

巨人の戸郷と同じ状態

 佐々木は2025年5月、右肩にインピンジメント症候群が発症していたことが判明し、負傷者リスト入りした。

 一軍に帯同して復活を目指したが、厳しい結果が待っていた。一時期はマイナーで“お試し登板”を重ねたが、ピッチングの不調に苦しんだ。

 流れが変わったのはポストシーズン。リリーフ陣の不足から「今シーズン限定」で抑えに転じ、ドジャースのワールドシリーズ連覇に貢献した。

「昨シーズンの佐々木投手はケガと、ケガによる精神的な“後遺症”に苦しんだと考えられます。『どこまで腕に負荷を掛けていいのか分からない』と悩み、ピッチングに迷いが見られました。しかし今は4月です。ある程度はケガを治し、体を仕上げて2試合に登板したはずでしょう。ところがピッチング内容は昨季の不調時と変わっていません。ボールのスピードが低下し、コントロールが悪い。一体なぜなのか、これは推測になりますが佐々木投手は『どう投げていいのか分からない状態』に陥っているのではないでしょうか。これはピッチャーには良くあることです。私も経験がありますし、いまなら巨人の戸郷投手が同じ悩みを抱えています」(同・前田氏)

袋小路からの脱出方法

 前田氏は福岡県の福岡第一高校でエースとして活躍し、1988年の夏の甲子園は決勝戦で広島商業高校と対戦、惜しくも0対1で準優勝に終わった。その年のドラフト会議でロッテから1位指名されて入団した。

 翌年、新人ながら1軍で7試合に先発し、2勝を挙げた。その後も、とにかくがむしゃらに投げ続けた。ところが入団して6年目、いきなり壁にぶち当たった。

「これまでと同じように投げているはずなのですが、突然ストレートが走らなくなり、変化球も曲がらなくなりました。何とかしようと試行錯誤を続けましたが、何も変わりません。原因が分からないので精神的には非常に苦しかったですね。これと同じ状態が佐々木投手にも起きているのではないでしょうか。私の場合、転機が訪れたのは1995年のオフシーズンに中日へトレードされたことです。監督だった星野仙一さんと出会い、『とにかくコントロールを磨け』とアドバイスされました。狙ったところへ確実に投げるという練習を繰り返すうちに、袋小路から脱出できたのです」

 その後、前田氏は投手の「メカニクス(投球動作)」の重要性に気づく。投げる際、利き手の手の平がどちらの方向を向いているか、数センチ違うだけでボールの行き先は変わる。打者を抑えるためには正しい投球動作を寸分の狂いもなく、延々と反復する必要があるのだ。

早くも崖っぷち

 ナショナルズ戦の試合後、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「投球内容には満足している」と佐々木を擁護した。

 だがアメリカの野球をよく知る前田氏は、「メジャーの監督は基本的に記者の前で選手を批判しません。私は監督が佐々木投手の投球内容に満足していなくても不思議ではないと考えています」と言う。

「早ければ次の2試合の投球内容で、先発ローテーションに残すのか、それこそ2軍に落とすのか決める可能性があります。佐々木投手は早くも崖っぷちに立たされていると私は見ています。今、彼にできることはそれほどあるわけではありません。ただし、最優先の課題はコントロールでしょう。佐々木投手の球種はストレート、フォーク、そしてスライダーの3つですが、今季のスライダーはあまり曲がりません。これはコントロールを重視し、曲がり幅を抑えているからでしょう。基本は、この考えを推し進めるしかないと思います。球速を犠牲にするのはやむを得ません。とにかくバッターに向かってしっかりとボールを投げ分ける。苦しいピッチングになると思いますが、それでバッターを抑えていくしかありません」

アメリカメディアも批判

 アメリカのスポーツメディアも、厳しい目を佐々木に向けている。長年、ドジャースの番記者を担当してきたアメリカ人記者も「佐々木は魅力を失ってしまった」と記事で痛烈に批判した。

 第1回【「圧倒的な速球と決め球のフォークを失った佐々木朗希に何が残るのか」…ニューヨークポスト紙が辛らつに批判する「らしさを喪失した」令和の怪物の現在地】では、捕手からも苦言を呈された佐々木のピッチング内容について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部