フェラーリ308 GTBへ匹敵の中間加速 オペル・アスコナ 400(2) モンテカルロで優勝 近年の価値は2000万超え
フェラーリ308 GTBへ匹敵した中間加速
今でも、オペル・アスコナ 400の加速力に不満はない。新車時、0-100km/h加速を7.2秒でこなすと主張されたが、1981年のAUTOCARでは、6.5秒を計測している。約50km/hから100km/hの中間加速は、フェラーリ308 GTBへ匹敵した。
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5500rpmを過ぎると、コスワース・チューンでもエンジンは息苦しくなる。1速が左下のドッグレッグ・パターンで、望ましい回転域は保ちやすい。シフトレバーはストロークが長く、素早く動かすのは難しいとしても。

オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
ステアリングは、突出して精緻なわけではないものの、重み付けは丁度いい。ロックトゥロック2.7回転と、レシオは比較的クイック。敏捷性へ驚く程ではなくても、快適な運転姿勢に落ち着け、小回りが効き運転しやすい。
アルミホイールは、15インチのロナール社製。1980年代には、50は扁平タイヤだったとしても、現代では腰砕けしないギリギリの高さ。ラリーカーのように、コーナーへ飛び込める。ブレーキングでボディは大きく傾くが、グリップ力に優れバランスは良い。
ラリーマシンのイメージと重なるボディキット
ソフトなスプリングで姿勢制御は緩く、タイヤはワンテンポ遅れるように路面を掴む。慣れるまでは頂点をかすめにくいが、思い切り操っている感覚は強い。
オペル・クラシックが管理する今回の車両は、ホワイトの落ち着いた見た目でも、400台提供された多くには派手なカラーリングが施されていた。オペルを象徴するイエローとグレー、ダークグレーのトリコロール・ステッカーで、飾られるのが通常だった。

オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
ボンネットはFRP製で、エアインテークが切られている。ブレーキを冷やすインテークが開いたフロントスカートに、フェンダー上に備わるポリウレタン製フィン、ダックテールのリアスポイラーも、カタチは違うもののラリーマシンのイメージと重なる。
スラロームのようなS字コーナーでは、ラリードライバーのヴァルター・ロール氏になった気分。彼は、アスコナ 400のグループ4マシンを駆り、1982年の世界ラリー選手権でドライバーズ・タイトルを獲得している。
モンテカルロとコートジボワールで優勝
その年は、雪が少なかったラリー・モンテカルロで、FRマシンとして歴代最後となる優勝を飾った。好調を掴んだロールは、シーズンを通じて表彰台へ登り、コートジボワール・ラリーもトップでフィニッシュしている。
ただし、彼とオペルとの関係は不安定だった。タバコを嫌ったロールは、アスコナ 400のスポンサーだったタバコブランド、ロスマンズのPR活動への関与を拒否。他方、アウディに対するロールの自由な発言に対し、ワークスチームは不満を抱いていた。

オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
ロールは、1983年にランチアへ移籍。1982年の最終戦、ロンバードRACラリーの前日に、オペルから解雇されている。それ以降のアスコナ 400と、その後を継いだマンタ 400は振るわず。ロールの実力を、皮肉にも裏付ける結果となった。
とはいえ、英国オープンラリー選手権では、ジミー・マクレー氏がドライブしたアスコナ 400は活躍。1982年の欧州ラリー選手権では、トニー・ファッシーナ氏が優勝し、マクレーも準優勝を掴んでいるが。
歴史を知らなければ実直なクラシックカー
アスコナ 400は、もっと多く提供されて良かった。簡素に仕立てた、ツインカムエンジンの上級仕様という設定もあれば、価格は抑えられたはず。新車時の英国価格は9526ポンドで、かなりの高額でもあった。
ラリー直系ホットハッチのタルボ・サンビーム ロータスは7948ポンドで、V6エンジンのフォード・カプリ 2.8iは8275ポンドで売られていたのだ。専用エンジンは、少量生産が故に高価にならざるを得なかったのだろう。

オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
それから半世紀が過ぎ、ホモロゲーション・モデルとして、今でも往年の輝きは失っていない。いかにもな出で立ちと、血気盛んな運転体験、放たれるサウンドには、世界ラリー選手権で頂点を勝ち取ったマシンとの結びつきを感じ取れる。
普段使いしやすい、しなやかさもうれしい。歴史を知らなければ、楽しく運転できる実直なクラシックカーとして毎日乗れるだろう。近年は高騰し、今回のように理想的なアスコナ 400の場合、10万ポンド(約2100万円)を軽く超えるのだが。
協力:ナショナル・オートミュージアム、カー・デザイン・イベント・クラシック社
オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様)のスペック
英国価格:9526ポンド(新車時)/15万ポンド(約3150万円)以下(現在)
生産数:400台
全長:4333mm
全幅:1670mm
全高:1350mm
最高速度:199km/h
0-97km/h加速:7.2秒
燃費:9.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1030kg
パワートレイン:直列4気筒2410cc 自然吸気 DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:144ps/5500rpm
最大トルク:21.3kg-m/3800rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動

オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
