招集外の遠藤航や守田英正を含め、数多くいる日本代表のボランチ候補の中でもここ3、4か月間にじわりじわりと成長を見せている選手がMF藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)だ。先発したスコットランド戦ではチームに勢いと落ち着きの両方をもたらし、1-0の勝利に貢献。イングランド戦はベンチスタートが濃厚とはいえ、試合展開に応じてピッチ内のバランスを再構築する役割やクローザーとしての役割を与えられる可能性はありそうだ。

 今回のイングランド戦で藤田が一つの指標とするのは、フィジカルとスピードへの対応だ。プレミアリーグで戦う選手が多いイングランド代表を相手に、「どれだけフィジカルで負けないか、スピード感の中でどれだけ戦えるか」。これは個人としてもチームとしても重要なテーマになる。

 ベースとなるのは所属するザンクト・パウリでの経験だ。クラブでのプレーと代表は切り離して考える一方で、「自チームで培ったものや改善できた部分は代表でも出せると思うので、そういったところはうまく代表チームに還元したいと思う」と語る。

 特に強調するのは守備の粘り強さ。「1-0で勝つことの価値」「無失点で抑える大事さ」は、ザンクト・パウリで日常的に体感してきたことであり、その感覚は代表にも還元できると考えている。

 イングランド戦は単なる強化試合ではない。「勝てるかどうかは勢いをつける上で大事」と語るように、ワールドカップに向けてチームとしても個人としても大きな意味を持つ一戦だ。一方で、藤田自身が「目標とするプレミアリーグでプレーする選手がたくさんいる相手」に対して結果を残せば評価につながる可能性もあるが、「そこまで考えていない」と冷静さを崩さない。

 舞台は9万人の観衆が集うウェンブリー・スタジアム。気負いすぎることなく、「ドイツでもこういうスタジアムでやっているので、ゾクゾク感を楽しみながらサッカーできる喜びを感じながらプレーしたい」と自然体でイングランドに挑む。

(取材・文 矢内由美子)