大破した米空軍の早期警戒管制機「E3セントリー」/Air Force amn/nco/snco/Facebook

(CNN)サウジアラビアの空軍基地に対するイランの攻撃で、米空軍の早期警戒管制機(AWACS)「E3セントリー」1機が破壊されたことを受け、今後イランからの脅威を遠距離から探知する米国の能力が損なわれる恐れがある。専門家らが指摘した。

CNNが位置情報を特定した衝撃的な画像には、尾部が折れ、特徴的な回転式レーダードームが損壊した機体の様子が確認できる。回転式レーダードームはAWACSの重要な構成要素。現場はサウジのプリンス・スルタン空軍基地だ。

CNNの軍事アナリストで、同機に搭乗経験のある元米空軍大佐のセドリック・レイトン氏は、「AWACSの喪失は(米国の)監視能力にとって深刻な打撃だ」と述べた。

「これは(米国の)戦闘機の管制能力、目標への誘導能力、あるいは敵機やミサイルシステムからの攻撃に対する防御能力に影響を与える可能性がある」と、レイトン氏は付け加えた。

CNNは、この機体破壊について米中央軍にコメントを求めている。

AWACSは地上から成層圏まで最大約31万平方キロの戦域を空中監視することを可能にし、数十年にわたり米軍の戦闘部隊にとって不可欠な構成要素となってきた。17機のE3を保有し、長年にわたり運用してきた経験は、米国に大きな優位性をもたらしているとアナリストらは見ている。

CNNは以前、当該の空軍基地への攻撃で少なくとも10人の米軍兵士が負傷したと報じていた。死者は報告されていない。米空軍の空中給油機も損傷を受けたと情報筋は述べている。

E3は強力な空中指揮所であると同時に、監視プラットフォームでもある。他の航空機やミサイル、大型ドローン(無人機)、さらには戦場の戦車に至るまで、一度に約600の目標を追跡できる。

E3に搭乗する乗員は、その情報をリアルタイムで戦域の司令官、洋上の艦艇、あるいは国防総省に伝達可能。一方で機内の管制官は、迎撃戦闘機を飛来する脅威に誘導したり、攻撃を受けている地上部隊を支援するために攻撃機を派遣したりすることができる。

今月発表されたシンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」の報告書は、AWACSを戦場の「クオーターバック(アメフトの攻撃における司令塔)」と形容。「重要な状況認識とリアルタイムの座標を機敏に提供することで、個々の出撃を圧倒的な戦力へ変える」「現在そして近い将来における米軍作戦にとって不可欠な資産」と述べている。

元オーストラリア空軍士官で豪グリフィス大学アジア研究所の研究員であるピーター・レイトン氏によると、現在の紛争においてE3は、約320キロ離れた地点から発射されたイランのドローン「シャヘド」を地上レーダーよりも約85分早く検知できる可能性があるという。

またAWACSは機動性に優れているため、新たな危機地域へ迅速に移動できる。そのため固定式の地上レーダーよりも敵にとって捉えにくい標的となっている。

無防備な機体の状況に驚き

アナリストらは30日、E3がイランの攻撃に対して無防備な状況に置かれていた経緯について米国側に疑問を呈した。

レイトン氏によれば、飛行中のE3には敵の攻撃から機体を守るために特別な措置がしばしば講じられる。戦闘機の護衛を受けることもあり、安全確保のため敵地上空の飛行は決して許されていないという。

地上でのE3の喪失について、レイトン氏は「我々の部隊防護努力に対する重大な違反」と指摘した。

レイトン氏はまた、今回の攻撃はイランが米国の重要軍事アセットを標的にする際に支援を受けている可能性を示唆していると述べた。

「ロシアがイランに地理座標と衛星画像を提供し、正確な位置を特定した公算が極めて大きい」(同氏)

米シンクタンク、スティムソン・センターの研究員、ケリー・グリエコ氏はX(旧ツイッター)への投稿で今回の攻撃について、イランが保有する戦力を用いて、限られた高価値目標を選別的に攻撃していることを示していると指摘した。

「イランは脅威を探知するレーダー、戦闘機の飛行を維持する空中給油機、そして戦闘を指揮するAWACSを標的にしている。これは対空作戦であり、イランの実際の能力に合わせて調整されている。しかも被害は深刻だ」(グリエコ氏)

老朽化するアセット

専門家らはまた、米軍のE3の規模と老朽化、そして中東での作戦が同機に与えている負担にも言及した。

「フライトグローバル・コム」の2026年版世界空軍データベースによると、米軍のE3は数が限られており、年初時点でわずか17機しか保有していない。これはB2爆撃機の20機よりも少ない。

しかもE3は老朽化している。最初の機体は1978年に空軍に配備され、米国の保有機数は2015年の32機から減少した。

空軍によれば、これらの機体の価格は1998年度のドル換算で約2億7000万ドル(現在のレートで約430億円)、現在の価値で約5億4000万ドルだ。

米空軍は老朽化した機体の後継機を検討しているが、国防総省はまだ機種の決定に至っておらず、いくつかの試作機を開発している段階にある。

米海軍が運用するE2ホークアイは、類似の早期警戒機ながらはるかに小型で、E3ほど高高度を飛行できず、レーダーでカバーできる範囲も狭くなっている。