たしかに甲子園大会はあくまでも高校生にとって部活の一つであり、建前上は、“教育の一環”である。ただ、春と夏の甲子園大会は全国で生中継され、他の部活とは規模も注目度も桁違い。特に強豪と呼ばれるような一部の私立高校は、甲子園に出場することで知名度も上がり、生徒集めに直結するだけに力の入れ方も段違いだ。

◆甲子園出場の裏側で続く“寄付頼み”の不透明な実態

 ただ、学校単位の応援には“お金”がかかるのも現実。甲子園出場を決めた高校は、野球部のOBや在校生の保護者などに寄付を呼び掛けることが慣例となっている。

 30年以上前に、関西地方の某強豪校で甲子園を目指していたというA氏に話を聞くと、母校が甲子園に出場するたびに学校から募金のお願いがあるという。「もちろんOBとして喜んで寄付している」と話すが、1回戦で敗退したときは「寄付金が必要経費を上回ったため、練習場の改修費用に寄付金の一部が充てられたといううわさもあった」という。つまり、集められた寄付金の使い道がオープンではない高校も少なからずあるのだろう。

 全校生徒が800人以上いて、野球部OBも数多くいる八戸学院光星なら、大会前にかなり寄付金を集めているはず。それでも不足してしまうのが、現実なのかもしれない。

◆高校野球は教育かビジネスか…資金問題が突きつける課題

“教育の一環”と謳いながらも、現実には“巨大なビジネス”と化している高校野球。今後は学校単位で、クラウドファンディングとは違う形での資金集めも模索する時期にきているのではないだろうか。

 例えば、高校サッカーには10年ほど前からビジネスの波が押し寄せている。強豪と呼ばれる高校のユニホームに企業のロゴがあしらわれていることも珍しくない。用具提供などを支援する企業であることがほとんどだが、高校サッカー界には着実にその波音が聞こえている。

 とはいえ、インターハイや高校サッカー選手権など、高体連主催の公式大会は“教育の一環”という建前もあり、今もスポンサーの掲出は認められていない。それでも今後、資金繰りに苦しむ高校が増えるようならサッカーだけでなく、他の部活にも波及していく可能性はあるだろう。

 1試合2000万円という規模の大小はともかく、八戸学院光星のプロジェクトが呼んだ議論をきっかけに高校野球に留まらず、高校スポーツ全体のお金の問題にも注目が集まっている。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。