木村拓哉(C)日刊ゲンダイ

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【芸能界クロスロード】

目黒蓮主演「ほどなく、お別れです」に木村拓哉「教場」撃沈 偉大な先輩とデキる後輩の世代交代の波

 木村拓哉の映画はヒットはするが、話題を独占するような飛び抜けたヒットにはならないことが多い。野球なら確実に3割は打つが、首位打者はとれない打者。上映中の「教場 Requiem」もヒットの目安となる10億円は優に突破しているが、これ以上の上積みはなく終わりそうだが、外れがなく安心してオファーの出せる俳優とも言える。

「映画がコケることのない俳優」と評される。今回の映画の課題は「なにを演じてもキムタク」といわれることからの脱出だった。木村は50歳を目前にした2020年にドラマで「教場」に主演。それまでのかっこいいヒーローから一転、冷徹な鬼教官・風間公親を演じた。木村の新たな顔はフジテレビの看板ドラマにまでなり、映画化された。

 フジの期待を背負った作品だったが、ドラマを見ていない人には関心が薄く、口コミでも広がりにくかった。公開直後の初速は良かったが、次第に失速した要因でもある。

 新境地開拓はリスクも伴うもの。「教場」は原作上、仕方ない面もあったが、木村作品には絶対欠かせない相手役になる大物女優の出演がなかった。

■転機となったドラマには必ずヒロイン女優が

 昨年の「TOKYOタクシー」には倍賞千恵子、一昨年の「グランメゾン・パリ」では鈴木京香がいた。さらに「マスカレード」シリーズの長澤まさみ。23年の「レジェンド&バタフライ」では綾瀬はるかとの共演が話題を集めた。

 振り返れば、木村の俳優生活の転機となったドラマには必ずヒロインの女優がいた。出世作「ロングバケーション」の山口智子を皮切りに、名を挙げれば、深津絵里、松たか子、故・竹内結子、常盤貴子、北川景子、柴咲コウといる。名前を聞いただけで、どんなドラマだったか思い出せる人もいるはずだ。ドラマの本筋と並行して、木村と女優の時には漫才のようなやりとりもドラマの見どころだった。

 木村の新ドラマの話が持ち上がるたびに「相手役は誰?」と、世間の関心は高かった。現在、放送前にキャスティングで話題になるのは朝ドラか大河ぐらいしかない時代。いかに木村ドラマが凄かったかを物語るエピソードである。

 当時は、木村との共演女優を巡りさまざまな思惑が絡んでいたという。

「女優はほとんど木村側からの指名。当時はジャニーズ事務所の全盛期。事務所同士の付き合いもあり、共演NGの事務所の女優もいたが、出演すればステップアップにつながる恩恵もあった」(芸能関係者)

 事実、木村と共演した女優はその後、主演を張るまでにステップアップした。1月期のドラマに出演している戸田恵梨香も杉咲花も映画「無限の住人」で共演。その後、朝ドラのヒロインになり、主演女優の座に上り詰めた。

 錚々たる女優の名前を見ると、木村と共演したことのない女優を探すほうが大変なほどだ。

 かつて、「007」シリーズにはジェームズ・ボンドの相手役になるセクシーな女優がいた。加山雄三の「若大将」シリーズでは、星由里子や酒井和歌子らがヒロインを務めた。木村の場合はシリーズではなく毎回違う作品で共演女優まで違う稀有なケース。

 かつては業界特有の垣根があり、共演がかなわなかった女優もいたが、今はオープン。フリーになった女優もいる。木村の次回作品では再びヒロイン女優の登場は必定。河合優実、伊藤沙莉ら若手から松嶋菜々子や米倉涼子もいる。そんな楽しみが持てるのが俳優・木村かもしれない。

(二田一比古/ジャーナリスト)