中国人富裕層が日本の高級医療を「爆買い」へ…知られざる「医療ツーリズム」の実態
近年、世界的にトップレベルにある医療を受けたいと、外国人が日本に殺到している。超一流病院をはじめ、全国各地の病院が外国人のために検診や治療を提供する、医療ツーリズム(医療観光)の人気が高まっているためだ。
医療ツーリズムに力を入れている医療法人の一つが、名古屋市を中心に東海・関東で病院や介護施設を運営する偕行会グループだ。 1年に約4000名ほどの外国籍患者を受け入れており、訪日・来院する患者の3割ほどが中国人。最近では台湾やインドネシア、欧米からの問い合わせも多いという。
【前編を読む】 中国人富裕層が「日本の超一流病院」に殺到するカラクリ…1年に4000人の外国籍患者を受け入れる医療法人も
「旅行透析プラン」で高級懐石料理を食す
偕行会ではとくに、65歳以上の10人にひとりが発症すると言われる本態性振戦(原因不明のふるえ)の治療に力を入れている。ふるえの原因となる脳の部位に超音波のエネルギーを集束させて熱凝固させる、集束超音波治療(FUS)を求める中国人も多い。
「60〜70代が中心ですが、50代の相談も増えています。中国国内での治療には薬物療法や外科的手術がありますが、それぞれに治療が進まない理由があります。そこで、別の選択肢を求めて、日本を訪れる患者が多いようです。
中国には飲食を通じて交流を楽しむ宴会文化がありますが、手が震えるために交流を避けていた患者からは、治療後にまた交流を楽しめるようになったという喜びの声をいただいております」(偕行会国際医療事業部担当者)
昨年4月に開催された「上海国際医療旅行展覧会」では、このFUSを紹介したセミナーに医療ツーリズム関係者が多数押し寄せた。
同年8月からは、老舗料亭「なだ万」や「名古屋東急ホテル」と連携し、透析治療・高級懐石料理・宿泊を一体化した「旅行透析プラン」(15万円から)も始めた。透析患者が旅行をする際には臨時透析が欠かせず、不安要素も多いが、安心と快適さを保証するという。
「透析治療に必要な各種書類の準備支援に加え、治療中の通訳サポートも行い、言語面での不安を軽減しています。食事については寿司や黒毛和牛の陶板焼きなども含めて、食塩を40%カットしながらも味わい深く満足感のある懐石料理を、管理栄養士が監修しました」(同担当者)
医療と観光を組み合わせた事業も登場
旅行会社が主催する医療ツーリズムもある。南海電鉄グループの南海国際旅行(大阪市)では、'10年から、医療と観光を組み合わせる事業に取り組む。
海外から日本での健診や治療を希望する患者と医療機関をつなぐコーディネートを主業務とし、医療機関との調整や渡航手続き、通訳手配などのサービスを総合的に提供している。
「医療法人徳洲会グループをはじめ、国立循環器病研究センターや近畿大学病院など約10の医療機関と連携しています。診療分野は循環器、がん治療、再生医療など多岐にわたります。中国からの受診者が多い傾向にあり、とくに高度医療や最先端医療を目的に来日するケースが多いです」(南海国際旅行担当者)
実際に受診した人の満足度は高いといい、リピーターや受診者からの紹介者が着実に増えている。日本の医療もまた、中国人が爆買いする高級品となりつつあるのだ。
「週刊現代」2026年3月30日号より
