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 ◇第98回全国選抜高校野球大会第2日・1回戦  智弁学園4―0花巻東(2026年3月20日 甲子園)

 1回戦3試合が行われた。智弁学園(奈良)は花巻東(岩手)を4―0で下し、春は21年以来5年ぶりの初戦突破。今秋ドラフト候補に挙がる最速149キロ左腕・杉本真滉(まひろ)投手(3年)が129球を投じ3安打完封勝利を挙げた。

 杉本が目立つための舞台は、整っていた。まだ大会2日目ながら、沖縄尚学の末吉良丞(3年)、横浜の織田と注目投手が早々に敗退。この展開に、心に火が付く。

 「選抜で(評価を)全部ひっくり返す」

 自慢の直球を見せつけるかのように、7奪三振中6つを直球で仕留めた。「逃げ腰ではダメ」。プロ注目の4番・古城は見逃し三振を含む3打数無安打とねじ伏せた=写真。相手先発・萬谷との好左腕対決も制す完封勝利で、誰よりも輝きを放った。

 1年夏に聖地初登板を果たすも、昨年は春夏連続で甲子園出場を逃した。その間に「同学年の選手が注目されていて…」。自身の結果を求めれば求めるほど、気持ちだけが先走った。味方の失策に曇る表情を、小坂将商監督に指摘された。「周りは必死にやってくれてるんやで。切り替えなあかんやろ」。さらなる伸びしろは、心の中に隠されていた。

 そこで周囲を見ようとしたが、かえってうまくいかないことも出てきた。例えば冬の練習中、投手陣が野手に対し「練習から自分たちで考えて動いていこうや」と声をかけると「一生懸命やってるで」と反発を受けたこともあった。そこでも悩み、たどり着いた。「自分の態度が周りに影響するんやな」。思いやりの気持ちが勝利に必要だと気づいた。

 この日は味方の2失策からいずれも得点圏に走者を進められたが、「味方のミスをどれだけカバーできるか考えていた」。失策後こそギアを上げ、後続を断って仲間を救った。助け合いの気持ちが、自身をより光らせた。

 「見てきたドラフト候補の中でも高いレベルにいる」と阪神・筒井和也スカウト。16年春は1回戦で挙げた村上頌樹(現阪神)の完封勝利が、優勝につながった。その背中を追う。「僕は疲れとか分からないので…まだ投げられます」。春の主役へ、1度の完封勝利だけでは満足できない。 (河合 洋介)

 ◇杉本 真滉(すぎもと・まひろ)2008年(平20)7月8日生まれ、兵庫県明石市出身の17歳。小1から枝吉パワーズで野球を始め、野々池中では神戸中央シニアに所属。智弁学園では1年夏に背番号18でベンチ入りし、同秋から背番号1。甲子園には1年夏以来2度目の出場。50メートル走6秒9、遠投90メートル。1メートル77、86キロ。左投げ左打ち。

 ◯…智弁学園(奈良)の杉本真滉が完封勝利。同校投手が春夏の甲子園大会で完封勝利を挙げるのは17年春1回戦(対熊本工)の松本竜也(広島)以来9年ぶり7人目9度目。過去6人のうち68年夏の上田容三(元ロッテ)、01年夏の秦裕二(元横浜)、16年春の村上頌樹(阪神)、松本と4人がプロ入りしている。

 ◯…奈良県勢は春夏通算3度目の対戦で、岩手県勢に初勝利。過去2敗は、いずれも智弁学園だった。