「クレイジージャーニー」終了が意味するもの 「松本人志」の地上波復帰をめぐる「猶予期間」が終わろうとしている
レギュラー放送が終了
TBSの「クレイジージャーニー」が3月で終了することが発表された。今の時間帯でのレギュラー放送が終わるだけであると強調されているため、特番などの形で番組自体は存続する可能性もある。【ラリー遠田/お笑い評論家】
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「クレイジージャーニー」は松本人志、設楽統、小池栄子の3人がMCを務める番組として始まった。松本の活動休止に伴って、2024年2月19日放送分からは設楽と小池の2人のみが出演していた。「ダウンタウンDX」(読売テレビ)に続いて、松本のレギュラー番組がまた1つ終わることになる。「復帰の受け皿」となるはずだった番組が次々に終わっている今の状況は、何を意味しているのか。

通常、松本のような大物タレントのレギュラー番組は、テレビ局にとって重要な存在であり、たとえ数字が悪くてもすぐに終わらせるのは難しい。大物タレントのメンツを潰さずに関係を維持するためにも、簡単に打ち切るわけにはいかない。
しばらくは企画のテコ入れをして様子を見たりすることもあるし、終了するのであればそれに伴って別のレギュラー番組を始動させたりすることもある。大物タレントのレギュラー番組はテレビ局にとってそれだけ優先順位の高いものであり、丁重に扱われる。
そういう意味で、ダウンタウンや松本のレギュラー番組をどう扱うかというのは重要な問題である。にもかかわらず、「クレイジージャーニー」がなぜ終わってしまうかというと、その理由の1つとして、いまだに松本の復帰の見通しが立たないということが考えられる。
2025年11月に「DOWNTOWN+」という有料配信サービスが立ち上げられ、松本はそこで活動を再開した。しかし、その後も地上波テレビには復帰を果たせていない。
増える“一発退場”
松本が活動休止に入ってからも、大物タレントの不祥事は続いている。中居正広氏はフジテレビ社員への性暴力トラブルが発覚して、2025年1月に芸能界を引退した。国分太一はコンプライアンス上の複数の問題行為のために「ザ!鉄腕!DASH!!」などすべてのレギュラー番組を降板することになった。芸能界のトップに君臨していたような大物タレントであっても、大きなトラブルを起こした際には“一発退場”になるケースが増えてきている。
一昔前までは世の中でコンプライアンスが今ほど重視されていなかったし、大物タレントを擁する芸能事務所の立場も強かったため、不祥事を起こしても問題にならなかったり、すぐに復帰できたりする場合もあった。
しかし、今はそうではない。特に、性的なスキャンダルや権力を振りかざすような行為に対しては、世間の目も一段と厳しくなっていて、テレビ局や番組スポンサーも毅然とした対応を求められるようになっている。このような状況も、松本の復帰を難しくしている要因である。
松本は性加害疑惑を報じた週刊誌に対して訴えを起こしたが、のちにそれを自ら取り下げた。その後、公の場で記者会見などを通して正式な釈明を行ったり、反省した態度を見せたりはしていない。
そのような状況で、松本を復帰させることに前向きになれるテレビ局は多くはないはずだ。活動休止から2年以上の時間が経過しているが、根本的な状況に変化がないのだから、復帰が困難であることは変わらない。テレビ局にとっても、復帰の受け皿を残す合理的な理由がなくなったと考えるのが自然だろう。
「クレイジージャーニー」の終了は、1つの番組の終わりではなく、松本人志の地上波復帰をめぐる“猶予期間”が終わりを迎えつつあることを象徴しているのだ。
ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。
デイリー新潮編集部
