ラグビーW杯、日本の“最適解”は…1位より「2位通過(2勝1敗)」 悲願4強へ、組み分け徹底検証「8強は完全アウェーでも…」
組み合わせ確定、W杯豪州大会をラグビーライター吉田宏氏が展望
27年のターゲットが決まった。2年後のラグビー・ワールドカップ(W杯)オーストラリア大会組み合わせ抽選会が12月3日に行われ、日本代表はプールEでフランス(世界ランキング5位)、アメリカ(同16位)、サモア(同19位)と対戦する。抽選会後に行われた会見でエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は「プール戦3試合に集中するだけ」と慎重なコメントを貫いたが、現在ランク12位の日本が掲げるベスト8突破には追い風となる組み合わせ。プール戦をどう戦い、2019年大会で果たした8強を超えていけるのか。その可能性と課題を考える。(取材・文=吉田 宏)
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夢が現実に大きく近づいた。2週間前のシーズン最終戦残り0秒の逆転PGでかろうじて1ランク上げたことで見えてきた、決勝トーナメント進出が更に近づく対戦相手の確定。それでもエディーは、表情を崩さず語り始めた。
「プール戦3試合のことだけを考えています。(プールを)何位で通過すればどのチームと対戦するかという、それ以降のことを考えても仕方ない。それを考えるのは、皆さんメディアの仕事で、我々が考えるのはプール戦だけです」
抽選会前に2位グループにシードされていた日本だが、中でも世界12位はグループ最後尾の順位。終えたばかりの秋の代表戦も1勝4敗と低空飛行を続けてきた。ランキングで考えれば決勝トーナメント進出に必要な「プール戦2位以上(加えてプール戦3位中成績上位4チーム)」は“願望”から“現実(マスト)”に転じた組み合わせなのは間違いないが、だからこそ世界12位では指揮官が満足する実力には程遠い。笑顔無き会見から読み取れる、勝ち上がれるための実力を限りなく100%に近づけていきたいという思いは、今は所属チームに戻っている代表メンバーらに向けられている。
では、プール戦で激突する相手とはどう戦っていくのか。チーム毎に考えてみよう。
“プール最強”フランス、伝統の奔放なプレーの一方で粗さも…
【フランス】
プール戦1位通過するための最強の相手。同じオーストラリアで開催された2003年W杯でも対戦した強豪は、日本にとって間違いなくプール戦で最も厳しい対戦相手になる。今秋のテストシリーズは2勝1敗だったが、敗れたのは南アフリカ。世界トップ5を定席にする。ホスト国だった前回23年W杯では優勝候補に挙げられながら準々決勝敗退に終わったが、優勝した南アフリカに28-29という激闘の末の敗退がその実力を証明する。
メンバーでは、世界最高峰のSHと称されるアントワーヌ・デュポンが、巧みなパスワークで伝統の“シャンパンラグビー”を加速させ、防御の目がアタックラインに向けば自らの個人技で仕掛け、防御でも9人目のFWばりの激しさをみせる。そのデュポンを中心に、ファンタジスタ系のラインアタックを仕掛けるSOロマン・ヌタマック、仕掛けたボールをアウトサイドに展開するか、自身のランで攻めるかの判断力で妙味をみせるヨラム・モエファナ、チャンスメーカーでフィジカルゲームにも長けたガエル・フィクーのCTBコンビ、決定力抜群のWTBダミアン・プノー、今季世界最優秀選手にもノミネートされた新鋭WTBルイ・ビエルビアレに加えて、キックも交えたキーマンのFBトマ・ラモスとBKラインに世界トップのアタッカーが並ぶ。
FWも、突破力では世界有数のNo8グレゴリ・アルドリット、運動量とフィジカルを併せ持つLOティボー・フラマン、ワークレートとフィジカルが武器のHOジュリアン・マルシャン、PRジャンバティスト・グロら、パワフルな選手が揃う。年齢の陰りを見せ始めた選手も見られるが、前回大会のメンバーの多くがチームに残るのは大きな強みだ。
では、日本はプール最強の相手にどう戦うのか。エディーは「大きなFWがいて、敵陣22mライン内に攻め込めば、そのサイズを使って突破を図って来る。日本は二人がかりで相手を止めなければならないし、ラック周辺の防御が大事になる」と最警戒するが、ここは今秋のテストシリーズで、粘り強さに成長を感じさせた組織防御が、残る“1.5シーズン”でどこまで伸ばせるかにかかっている。エディー体制初年度だった2024年シーズンから出足の速いラッシュアップ防御を導入。今秋から正式にアシスタントコーチ(AC)に就任したギャリー・ゴールドの下で、実戦に近い強度の高い練習で鍛えてきたロータックルが、ようやく効果を見せ始めている。FLリーチマイケル、ベン・ガンター、ジャック・コーネルセン、LOワーナー・ディアンズと、タックル、接点、ワークレートで計算出来るメンバーも充実してきたのもプラス材料だ。
直近の対戦では昨秋12-52と完敗。過去の対戦でも1分け13敗といまだ未勝利の相手だが、過去4シーズンで4度直接対戦して、来年初開催される「ラグビーネーションズチャンピオンシップ」で7月に直接対戦も確定するなど、相手のプレースタイルや選手のキャラクターを掴むチャンスは持てている。22、24年の対戦から主力メンバーも大きく変わらないため、どんなプレーをして来るかは十分分析、イメージ出来るチームでもある。
会見でエディーは「トゥールーズで一緒にプレーしている選手がいるので、情報をもらいたい」と冗談混じりに語ったが、SH齋藤直人がフランス代表に多くの選出を供給するスタッド・トゥールーザンでプレーし、とりわけ同じポジションで代表のキーマン、デュポンを知り尽くしているメリットは大きい。指揮官は同時に「データでも最も長いキックを使ってくるチーム」と指摘しているが、空中戦は日本が今秋の代表戦で課題を露呈した部分でもある。南アフリカ、アイルランドら、フランスと同等ないしそれ以上の強豪相手に体感したキックコンテストや、ポジショニングなどを、27年までに磨き込むのはマストになる。
形に捉われない奔放なプレーがフランスの伝統である一方で、反則で自滅するなど粗さが特徴。粘り強い防御での我慢比べで相手の反則、ミスを誘い、キックコンテストで渡り合えればスコア差は詰められる。10点前後のビハインドで喰らいつき、後半20分以降にスピードで優位に立てれば面白い。2015年大会初戦で日本が金星をマークした南アフリカ戦のように、相手を丸裸にするような徹底した分析と周到な戦術で奇跡を再現する可能性も秘めた戦いになる。
アメリカは「マストウインの相手」、サモアも「終盤走り勝てるはず」
【アメリカ】
次々回W杯開催国として19年大会までの日本代表と同じ道筋を歩んでいるチーム。プロリーグ「メジャーリーグラグビー(MLR)」を立ち上げ国内の競技力アップを図るが、代表強化面では苦戦が続く。対戦成績を見ると通算では日本が12勝1分け13敗と下回るが、2008年以降の9勝1敗という成績が現状の力関係だ。日本にとってはマストウインの相手になる。
サイズを生かしながらFWで重圧を掛け、BKもフィジカルを武器に前に仕掛けてくる伝統的なスタイルで、日本も苦闘を強いられてきた。だが日本が第1次エディー体制(2012-15年)以降の強化で、シンプルに真っ向勝負を仕掛けてくるチームへの対応力、防御が安定してきたことでいまや戦い易い相手でもある。
その一方で、エディーが「新しいHCが就任してからすこし時間が経ったが、キックを多用するラグビーを進化させている」と指摘するように、2024年に就任したスコット・ローレンスHCの下で、自分たちの高さを武器に、現代のトレンドでもあるハイボールの争奪から優位にゲームを進めるスタイルを構築しようとしている。
2年後の対戦へ向けて未知数なのは、エリジビリティーによる海外選手による戦力補強だ。今季9月のパシフィックネーションズカップ(PNC)での対戦でも、南アフリカ出身のSHルーベン・デ・ハースら海外出身者、海外でプレーしてきた選手が出場しているが、2031年の自国開催も踏まえてこの先も海外組、MLR参入選手の代表資格取得が進めば、想定を超えた戦力補強が進む可能性を秘める。
フランス同様にオーストラリアでの2003年W杯で敗れた相手だが、現状の日本の実力ではアメリカが強みのフィジカルゲームでも十分に太刀打ちできるのは間違いない。ゴール前の1対1のパワー勝負などで日本に課題はあるが、キックを使ったエリアコントロールと、キック、ランを駆使して巨漢揃いの相手を動かし、消耗させれば、後半主導権を握れるはずだ。
【サモア】
アメリカ同様に通算成績では7勝12敗と日本が負け越しているが、この相手も2014年以降の5勝1敗という戦績が力関係を示している。一昨季のPNCでも日本が49-27と快勝している。
強烈なフィジカルの強さでFW、BK共に縦に仕掛けてくるのがスタイル。1991年W杯ではベスト8進出を果たすなど、一時は南太平洋諸国でも屈指の強豪に君臨したが、協会および代表チームの資金難やコーチの不祥事などピッチ外の問題も影響して、今回も世界最終予選でかろうじて出場権を獲得している。
先にも触れたフィジカルが武器だが、メンバーの大半が海外クラブでプレーしていることもあり、代表強化に十分な時間をかけられないことも影響して、組織としての完成度、個々のスキルの低さも目立つが、エディーも「彼らにベストメンバーが揃うのはW杯になる。本当の姿は、そこにならないとわからない部分もある」と指摘する。このコメントも会見で対戦相手についての印象を聞いた時のものだが、フランスの次に、アメリカよりランキングが低いサモアについて語っている。そのフィジカルパワー、ラグビー経験値という面では、フランスに次ぐ強豪と捉えていても不思議ではない。
日本にとってはW杯4大会連続での対戦となる相手だが、23年大会では28-22と苦戦を強いられたが3連勝中。アメリカ同様に、フィジカル戦で圧倒されなければ、運動量、スピード、組織力で上回り、終盤走り勝てるはずだ。
決勝Tは1位通過ならスコットランド、2位通過なら開催国の豪州と対戦?
【決勝トーナメント】
エディーが会見でも目の前の試合、プール戦だけに集中すると言い張ったのも、別のアングルから見れば、プール戦突破が現実のものとして見えてきた組み合わせに、選手が目前のゲームへの集中力を欠くことがどれだけ危険なことかを熟知しているからだ。15年に日本に金星を献上した南アフリカが最高の教訓でもあるが、会見でエディーはこんな話をしている。
「次の大会が私にとって5度目のW杯です。少しはW杯について理解してきたと思っていますが、その経験で、次に待つ試合だけに集中すること、つまりあまり先の事を考えるべきではないと思っています。2015年大会の時は南アフリカが初戦だと決まったので、そこだけに集中して取り組めたが、次の大会でサモアが初戦なら、フランスの準備ばかりしても理に適っていない。目前の相手に対してしっかりと集中したいのです」
2年後の課題は「プール戦突破」から「決勝トーナメントをどう勝ち上がるか」に切り替わった。既に発表されている決勝トーナメントの組み分けでは、日本が所属するプールEは1位がプールD2位、2位ならプールA2位との準々決勝が決まっている。エディーには叱られそうだが、独断でプール戦の順位を占ってみよう。
▼日本がプールE1位通過の場合
プールDの上位候補はアイルランド(世界ランク4位)とスコットランド(同9位)。同じ6か国対抗を戦うライバルだが、現状での実力を見ればスコットランドの2位通過が濃厚だ。日本にとっては過去2勝11敗(アイルランドは1勝12敗)の相手との8強入りをかけた戦いになる。
▼プールE2位通過の場合
対戦するプールA2位の最右翼は開催国のオーストラリア(世界ランク7位)。同組の首位争いをニュージーランド(同2位)と争うが、現状の実力だと番狂わせは容易ではない。来夏で、オーストラリアの強化を推進してきたジョー・シュミットHCが退任するのも未知数の要素になる。
勿論番狂わせはつきものだが、順当なカードになった場合は、日本にとっては悩ましい挑戦になる。エディーは迷わずプールEでフランスを倒しての1位通過を目指すはずだが、スコットランド、オーストラリアという相手をみると後者との対戦のほうがベスト8入りの可能性があるだろう。2年後の秋に、それぞれのチームがどこまで強化を進めているかも大きく影響するが、世界ランキングや10月に日本がオーストラリアと15-19の接戦を演じたこと以上に理由がある。
日本のオーストラリアとの対戦成績は7戦全敗とスコットランドよりも分が悪い。しかも相手は大会ホスト国だ。だが、スコットランドのゲームスタイルを考えると、日本にとって戦い辛い相手でもある。ヨーロッパチームに共通するFWをベースにして、キックで手堅く敵陣に攻め入り、ラインアウトからのドライビングモールやPGで着実に加点して、ロースコアのゲームで挑んでくるのが基本的なスタイルだ。そこに、日本が苦手とするWTBドゥハン・ファンデルベルヴァという一発でトライを仕留められる世界最強のフィニッシャーも擁している。
19年大会では日本が勝利してベスト8進出を決めたが、エディーも課題に挙げたキックゲームへの対応力、スクラム、ラインアウトというセットピース、そして手堅い試合運びでロースコアの戦いに持ち込もうとするスコットランド代表の特徴を踏まえると、スピ―ドを武器にスコアを獲り合うスタイルに強みを持つ日本にとっては厄介な相手になるだろう。ヨーロッパスタイルのラグビーに比べれば、完全アウェーのリスクを踏まえても、日本に近いボールを展開してくるオーストラリアのほうが与し易い相手になるはずだ。
結論は「フランスに敗れて2勝1敗の2位につけるのが最上のシナリオ」
結論としては、プール戦ではフランスに敗れて2勝1敗の2位につけるのが最上のシナリオだろう。おそらくエディーなら、日本がフランスに勝つ、勝てるようなゲームが出来なければ、決勝トーナメントを勝ち上がることは無理だと指摘するだろう。いずれの相手にしても、現状では日本がチャレンジする側なのは変わらない。では、エディーは残された2年を切る時間で何をブラッシュアップしていくのだろうか。
前回のコラムで紹介したようにエディーは、来季への課題として(1)キックコンテスト、(2)セットの安定、(3)ディフェンスを挙げている。とりわけキックについては抽選会後の会見で、更に重要さを強調している。
「ハイキックが近年のラグビーでかなり重要なコンテストの一つになっています。1試合で平均30回行われている。今シーズンに関しては、日本代表はそこをよく強化出来ていたと思います。1年目(2024年シーズン)をみると、早いテンポでの超速ラグビーを体現出来ていたが、20分しか持たなかった。だが今季は状況に応じて様々なプレースタイルに持ち込めていたし、それが出来たことで、より個性的なラグビーが出来るようになり、相手からすると手強いチームになってきたと思います。それを継続していきたいのだが、そこで2027年の大会ではキックがかなり大きな部分を占めてくるはずです。効果的なキックを蹴り、そのボールを獲得して素早いアタックを仕掛けることが我々のキーポイントになる。その逆に、キックからの防御もしっかり出来ないといけない。現状ではハイボールを蹴られてからの獲得率は30%です。この数字を上げていくことで勝機がさらに見えてくる。トータルなディフェンスに関しても、強化していきたい。選手たちは今、どの国に対してもしっかりディフェンス出来るという手応えを感じていると思います。組み合わせでいえば、フランスという強敵に対してはディフェンスがかなり重要なものになってくるので、お話したキックとの2つをしっかりと強化していく必要があります」
戦術面での重要ポイントを指摘しながら、オーストラリアが母国の指導者としての“土地勘”も踏まえて大会を見通している。
「オーストラリアは北と南で気候が大きく変わります。北部のタウンズビルだと気温30℃、湿度85%くらいの蒸し暑さだが、南のメルボルンなら12℃で冷たい雨が降るような所です。大きな国なので、そのような変化にも適応することも大事になる」
気候対策は試合会場、日程が決まる来年2月以降になるが、オーストラリア協会は2026年の代表スケジュールで8月にタウンズビルで日本代表と対戦することを発表している。日本協会が未発表のため、エディーも「把握していない」と苦笑しながらも「そういう試合が控えているのは素晴らしいこと」と事前の開催国でのテストマッチを歓迎する。オーストラリア側がクイーンズランド州北部のこの町での日本戦を決めたのは、2003年W杯で日本が3試合を行い、大会期間中の拠点としていたことが大きな理由だろう。試合会場に関しては大会組織委員会に決定権があるため、2年後の大会でも日本がこの町を再訪する可能性は否定できない。当時のメディアが初めて使った「Brave Blossoms(勇敢な桜の戦士たち)」に見合う戦いが出来れば、決勝トーナメントへのいい弾みになるはずだ。
日本がターゲットに絞る準決勝については、対戦相手がさらに流動的だ。当て推量になる憶測はあまり歓迎できないが、敢えて今回のプール分けから考えると、下記のようなカーディングが見えてくる。
▼プールE1位通過→準々決勝スコットランド(アイルランド)戦勝利のケース
フィジーvsウェールズ勝者と対戦
▼プールE2位通過→準々決勝オーストラリア(ニュージーランド)戦勝利のケース
イングランドvsイタリア(ジョージア)勝者と対戦
プール戦2位によるオーストラリアとの準々決勝を推奨したが、準決勝を眺めると1位通過の“ヤマ”で当たるフィジーないしウェールズのほうが日本にとって戦い易い相手になる。抽選会による偶然の巡り合わせとはいえ、いずれの組み合わせでも準々決勝、準決勝でそれぞれ南北半球の強豪国との対戦というのが、上手く組み合わされたものだと感心するが、日本代表が準々決勝で開催国を倒す力を持てていればイングランドとの勝負も興味深いものになるだろう。
エディーHC「W杯イヤーに600キャップのチームになれば悪くない」
あらためて、エディーの2年後への思いを紹介しておこう。
「(今季最終戦の)ジョージア戦を振り返ると平均20キャップ程の選手で構成されていた。この2年で、このキャップ数までこられたことが収穫です。ここからW杯までに、選手はさらに20キャップを重ね、平均40キャップくらいになれば、経験値のある選手だといっても過言ではなくなります。去年でゲームメンバー通算150キャップだったチームが、今季は200から300キャップとなっている。来年で350から400として、W杯イヤーに600キャップのチームになれば悪くないと思います」
エディーは第1期体制(2012-15年)当時から、W杯で決勝トーナメントを戦うには600から800キャップの経験値が必要だと言い続けてきた。すこし背伸びが必要だが、2年後の勝負では、その求める経験値に到達する期待感が指揮官の頭の中にはある。
「今季何が素晴らしかったかというと、世界有数の強豪国とのテストマッチを重ねたキャップを積み上げられたことです。来季開幕するネーションズチャンピオンシップに入れたことも幸運でしたし、オーストラリアと敵地で出来ればこれもまた素晴らしい経験を選手に与えることが出来ると思います。けれども、何よりも大切なのは自分たちにベクトルを向けること。そこにフォーカスして準備することです。W杯で最もいい準備が出来たチームになることこそ、唯一自分たちがコントロール出来ることであり、それを実行するつもりです」
前回のコラムでも、2年後のオーストラリアへのピリオダイゼーションが「吟味(準備)」から「結果」のステージに移行したと書いたが、組み合わせ抽選会でターゲットがさらに明確になった。どの相手にどう勝つのか、そして何を磨き込む必要があるのか――。代表チームにとってはオフシーズンとなるこの冬に、エディーの頭脳だけがフル回転で稼働することになる。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)
吉田 宏
サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

