ユネスコは2004年、大英帝国絶頂期の海洋交易拠点を伝える例証として「リバプール海事商業都市」を世界遺産に登録した。

 エバートンの新スタジアムは、その一部であるブラムリー・ムーア・ドックを再活用する形で建設された。しかしユネスコは、スタジアム建設を含めた再開発が、世界遺産の「真正性」を損なうとして批判。2021年にリバプールの世界遺産登録が取り消される一因となった。

 エバートン側は「長年、放置されていたドックに新たな命を吹き込み、地域に貢献する狙いがある」と主張したが、決定は覆らなかった。

 新スタジアムは2021年8月に着工された。新型コロナウイルスの感染拡大で工事は遅れたものの、昨年12月に完成した。安全確認のためにU-18やU-21の試合がテストマッチとして行なわれ、8月9日のローマとの親善試合では5万人超を動員。そして24日のブライトン戦で待望のプレミアリーグ公式戦を迎えたのである。
 
 試合では、エバートンで10番を背負うMFイリマン・エンディアイエが新スタジアム初の公式戦ゴールを記録。126デシベルというプレミアリーグ史上最も大きな歓声が観測された。飛行機のエンジン近くで約120デシベルとされるため、声援の凄まじさが伝わってくる。なお試合は2−0でエバートンが勝利。プレミアリーグでの初陣を勝利で飾った。

 デビッド・モイーズ監督はブライトン戦の観戦プログラムでサポーターにこう呼びかけた。

「我々がずっと待ち焦がれていた瞬間が今、訪れた。新しいチャプターの始まりだ。本日来場された方々の記憶に、今日の日がずっと残ってほしい。多くの対戦相手がグディソン・パークでの試合を難しいと感じていた。重要なのはスタジアムの熱気と雰囲気だ。この新スタジアムもそうなってほしい。グディソン・パークの魂を、この場所に注ぎ込もう」

 ヒル・ディキンソン・スタジアムは、英国とアイルランド共催の28年ユーロの開催地になることが決定している。エバートンはここから、新しい歴史をひとつずつ積み重ねていくことになる。

取材・文●田嶋コウスケ

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