そんなに難しい…?定型発達の人にはわからない〈ゼッタイ謝らない人〉の理由とは?【もしかして…発達障害!?】

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「必要とわかっていても、謝るのが苦手」「どうしても謝れない」。これがいつものこととなると、発達障害の傾向がありそうです。

自分は何も悪くないのに…どうして謝らなくちゃいけないの!?【ASD傾向】

きまじめで融通がきかないのは、ASDの人によく見られる傾向です。

ここに登場するOさん(34歳)は、もし自分が発注ミスをしていたら、素直に謝ったことでしょう。でも、今回ミスをしたのは他の人。だからOさんは、「それは自分ではなく、ミスをした人が責任をとるべきだ」と考えてしまいます。

たとえ「謝ってほしい」と言われても、納得できない気持ちが勝ってしまうのです。そして、そのOさんの気持ちは自然と周囲にも伝わります。結果として、少しずつ職場に居づらさを感じるようになるかもしれません。

人は、ひとりで生きているわけではありません。組織で働いていれば、多くの人が「自分はチームの一員だ」と理解し、行動します。

けれど、ASDの人は、自分の問題を周囲と結びつけて考えたり、周囲の問題を自分ごととしてとらえたりするのが苦手です。

発注ミスをしたのは、自分が働いている会社の同僚です。組織の一員として仕事をしている以上、それは自分にも関係のある問題。会社を代表して「申し訳ありません」と謝らなければならない場面もあるのです。

しかし、ASDの人にとっては、そうした想像力を働かせることが難しく、全体を俯瞰する力も弱い傾向があります。そのために意地を張ってしまい、結果として問題がどんどん深刻化してしまうのです。

「ごめんなさい」の効果は、思っているよりも大きい

自分は悪くないという思いにとらわれると、違う視点をもちにくいことは、ASDの人によく見られます。

こういうタイプの人に知っておいてもらいたいのは、「ごめんなさい」のひと言があれば許されることが、実はたくさんあるということです。

すぐに謝ればトラブルは収まるのに、それがないために、周囲の目がどんどん厳しくなってしまいます。「ごめんなさい」は、生きづらさを抱えているあなたを助けてくれる、大切なフレーズなのです。

裁判では、相当にひどいことをした人でも、「改悛の情がある」(反省を態度で示している)と、刑期が短くなることもあります。謝罪には、それほどの力があるのです。

特に日本は、謝った人にはわりあい寛容な社会です。もちろん、謝ればすべてが解決するわけではありませんが、必要なときにきちんと謝ることの大切さを知っておくと、役立つ場面は多いはずです。

教えてくれたのは…司馬理英子先生●司馬クリニック院長。医学博士。岡山大学医学部卒。1983年渡米。アメリカで4人の子どもを育てるなか、ADHDについての研鑽を深める。1997年に帰国し、東京都武蔵野市に発達障害の専門クリニックである司馬クリニックを開院。以来、子どもから大人までの治療を行っている。