3月14日(金)開催のDIGIDAY COMMERCE FORUM 2025に、リテーラーおよびブランドのマーケティング領域のご担当者様を無料でご招待(事前審査あり)いたします。ご応募いただいた方には、ご招待の可否にかかわらず、「2025年アジアRMNトレンド白書」を進呈いたします。ご応募はこちらから>

記事のポイント2024年にマーケターはコピー作成AIをもっとも利用し、AI使用として1番使われていたチャットボットを上回った。ヒューゴ・ボスはAIモデル動画を活用し、eコマースに導入。本物そっくりの動くAIモデルを使って、ほかのファッション企業とは一線を画している。一方、AIは雇用喪失、創造性の低下、透明性欠如の懸念がある。特にAI生成画像による誤情報や品質確認の難しさが問題視されている。
2023年、マーケターがもっともよく利用するAIアプリケーションはチャットボット技術だった。しかし昨年は一変し、コピーの作成がチャットボットを上回り、マーケターがもっともよく利用するAI技術の用途となった。2024年に米Glossyが行った調査では、回答者の65%が「自社が利用するNLPまたはAI技術のトップにコピーの作成」を選択し、55%の回答者が選んだチャットボットがそれに続いた。2024年には画像生成を利用するマーケターも増えており、2023年と比較して26ポイント増加している。これにより、昨年は画像生成が、マーケターがよく利用するAI技術の用途の3番目となった。調査回答者のほぼ半数(45%)が、自社が使用するNLPまたはAI技術のトップとして画像生成を選択している。

AIは顧客体験向上の触媒?

高級ファッションブランドのヒューゴ・ボス(Hugo Boss)は最近、同社がジェネレーティブAIをどのように利用しているかについて詳しく説明した。このほど、ヒューゴ・ボスのグローバルオムニチャネル担当エグゼクティブバイスプレジデントのヤン・フィリップ・ウィンチェス氏は同氏のLinkedInページで、ヒューゴ・ボスのデニムセットを着用したモデルのAI生成動画を示しながら、同ブランドのeコマースサイトにAI生成コンテンツを投入することについて語った。「今回の投入は、テクノロジーが創造性や正確さとシームレスに融合する未来を表している」とウィンチェス氏はLinkedInの投稿に記している。「これは概念としてではなく、成長、効率化、顧客体験向上の触媒としてのAIの実践だ」。Webメディアのソーシングジャーナル(Sourcing Journal)の記事によると、ヒューゴ・ボスは、本物そっくりの動くAIモデルを使ってリアルな動画コンテンツをレンダリングするジェネレーティブAIを使用しており、ほかのファッション企業とは一線を画しているという。これまでの画像生成用AI開発においては、衣服は静止画像のほうが美しく見えるのが一般的だった。一方、デザインスタジオも画像生成にAIを活用している。デザイナーはAIを使って素材、色の組み合わせ、余剰在庫、試作品を最適化し、無駄を削減。「今はコストのかかるサンプルを用意しなくても、アイデアをリアルタイムで試すことができる」と、ファッション企業のグルッポテディ(Gruppo Teddy)でAIとイノベーションの責任者を務めるマティア・ジョルジ氏は語った。

ジェネレーティブAI使用による3つの懸念事項

しかし業界では、ファッションブランドによるAI生成画像の使用を普通のものとして受け入れていくことについて懐疑的な見方がされている。一部にとっては、失業が最大の懸念事項だ。AIはファッションの写真や動画の制作をスピードアップさせるのに役立つが、こうした画像を作成するために必要な写真家、モデル、クリエイティブディレクターなどの専門職が追いやられる可能性がある。もうひとつの懸念事項は、人間の創造性の抑制だ。たとえば、ファッションサブスクリプションサービスのスティッチフィックス(Stitch Fix)は買い物客にパーソナライズされたおすすめを提供するにあたって、スタイリストによる新しいクリエイティブディレクションを育てる代わりにAIに大きく依存したのち、収益の低下に苦しんだ。衣料品ブランドのセルキー(Selkie)は昨年のバレンタインデーコレクションで、実際のアーティストにコンテンツの制作を依頼するのではなく、AIアートを使用したことで批判にさらされた。AIが生成した画像には、犬の足の指が異常に多いという明らかな間違いがあったが、これは人間のアーティストなら避けられた間違いだった。そして、さらなる懸念点として挙がっているのが、衣服が実際にはどのように見えるかについて透明性が失われることだ。一部の業界評論家は、ブランドがAI生成画像を使用してeコマースサイトで製品を宣伝した場合、消費者は衣服を実際の物理的な形で見ることができないと批判している。つまり、衣服の素材の品質を確認することや、衣服がどのようにフィットするかを理解することができない。これは、長年にわたり購入するかどうかを決める際の道しるべとして詳細な製品画像や動画に頼ってきたオーディエンスにとって、心配の種になりうる。それにもかかわらず、ブランドはワークフローが効率化されることを期待して、AI生成ファッションコンテンツの実験を続けている。[原文:Research Briefing: Hugo Boss taps into AI for fashion images]Dania Gutierrez(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:島田涼平)Image via Hugo Boss