変幻自在な2シャドーの組み合わせ。11月シリーズでは7パターンを活用。豊富なバリエーションに膨らむ期待感【日本代表】
ご存じのように、この最終予選では3−4−2−1のシステムで戦っているが、アウェー2連戦となった11月シリーズも、森保一監督は多彩なシャドーの組み合わせで攻撃に変化をつけていた。
その後、三笘薫(ブライトン)がインサイドに入り、鎌田が右へ移動。『三笘・鎌田』コンビに移行した。これは10月のオーストラリア戦(1−1)でも試している形。だが、鎌田は「右はやりにくい」と本音を吐露しているように、多少スムーズさを欠く印象もあった。
そこで指揮官は三笘と伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)が交代したタイミングで、『鎌田・伊東』という新コンビにチャレンジ。伊東の右シャドーに関しては、久保建英(レアル・ソシエダ)は「正直言うと、純也君のシャドーはやりづらそうにしてましたね。あれが新たなオプションになるかというと、僕はならないと思います」と否定的な見解を示した。
もっとも、伊東本人は「よりゴールに近いんで、ゴールを取れるような動きをしたい。シャドーに入っても裏抜けとか外と入れ替わることはできると思う」と前向きに発言。今後の伸びしろに期待というところだろう。
最後には『旗手怜央(セルティック)・伊東』という形にスイッチ。旗手が引いた位置から大橋祐紀(ブラックバーン)に決定的なロングパスを供給したように、彼はボランチに近い役割もこなせるのが1つのメリットだ。
となれば、伊東はFWのように前へ前へと行けばいい。短時間でまだ判断しづらいところはあったが、可能性のあるコンビと見てよさそうだ。
一方、中国戦に目を向けると、『南野・久保』でスタート。これも最終予選でセカンドチョイスと言えるベーシックな組み合わせ。特に久保は右ウイングバックの伊東と絡みながらアグレッシブな仕掛けを見せていた。
小川航基(NEC)の先制点も、久保の強引なシュートから奪った左CKから、彼自身がアシストしたもの。その働きは非常に大きな意味があった。
ただ、ピッチ幅が狭かったことで、南野や伊東が裏抜けを狙った際にパスが引っ掛かるシーンが数多く発生。久保としても「前半は難しかった」と悔しさをにじませた。
南野にしても、大外に中村敬斗(スタッド・ドゥ・ランス)がいたが、なかなか良い距離感が保てず、崩しの部分で膠着状態に陥った。「敬斗との関係性でもう一工夫が必要だった」と反省の弁も口にしていて、大外のウイングバックが堂安律(フライブルク)と三笘というファーストセットではない時の絡み方という新たな課題が浮上したとも言えるだろう。
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後半途中から南野と鎌田が交代してからは、『鎌田・久保』のコンビにスイッチ。これも最終予選ではしばしば見られる形だ。この場合、鎌田が下がり目に位置してボランチのカバーをしながら攻撃を組み立て、久保はより前目でプレーすることが多くなる。
この日は10分程度しかこの組み合わせで共闘しなかったため、久保にはチャンスらしいチャンスが巡ってこなかったが、今後、関係性を突き詰めていけば、もっと大きな効果が期待できそうだ。
そこから『前田大然(セルティック)・鎌田』という初めてのコンビへシフト。この時間帯は古橋亨梧(セルティック)が最前線に陣取っていて、前田は彼と2トップ気味でプレー。鎌田は田中碧(リーズ)とともにインサイドハーフ的な立ち位置になる場面も。かなり流動的なポジショニングで戦っていた。
ここで特筆すべきは、大外の三笘と左シャドーの前田の好連係。10月のオーストラリア戦の三笘・中村の「ドリブラー×ドリブラー」と同様に、スピードタイプが2人並ぶことによって、左サイドの破壊力が増したのだ。
2人が絡んで古橋の決定機も演出。1つの新たなオプションを示した。これも明るい材料と考えていいのではないか。
つまり、森保監督は11月シリーズだけで2シャドーでは7つのコンビにトライしたことになる。9月シリーズの『浅野拓磨(マジョルカ)・久保』、10月シリーズでの『三笘・堂安』、『中村・久保』も含めると、組み合わせは二桁に上る。
この先、古橋を一列下げてシャドーで使うオプションもあるかもしれないし、最終予選で未招集の鈴木唯人(ブレンビー)などの抜擢もないとは言えない。まだまだ幅は広がりそうだ。
これだけ多種多様なシャドーのコンビを、いかにして2026年W杯本番での上位躍進につなげていくのか。いずれにしても、変幻自在の2列目のバリエーションが攻撃のカギになっていくのは間違いなさそう。2025年の動向を慎重に見極めたいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
