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「『ガンジーでも助走つけて殴るレベル』を超える名言を生み出しましょう」
そう語るのは、これまでX(旧Twitter)上で8年間365日、毎日欠かさず大喜利のお題を出題し、累計で200万以上の回答を見てきた「坊主」氏だ。いまや空前の「大喜利ブーム」。大喜利のように「斜め上の発想を出す」というスキルは、「面接での一言」「LINEでのうまい返し」「意中の相手を口説く言葉」「新企画のアイデア」などに使える“万能スキル”でもあるのだ。そんな大喜利について、世界で初めて思考法をまとめた話題の著書『大喜利の考え方』では、「どうすれば面白い発想が出てくるのか」「どんな角度で物事を見ればいいのか」などを超わかりやすく伝えてくれている。まさに「面白い人の頭の中」が丸わかり。そこで、この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、大喜利的な思考法を詳しく解説する。(構成/種岡 健)

何に似ているかを表現する

 伝え方で大事なのは、「比喩」です。

 たとえば、私の好きな比喩に、「ガンジーでも助走つけて殴るレベル」というものがあります。

 頭の中で想像してみてください。心から平和を望んだガンジーが、走って殴りかかってくる姿を。
 誰もが知っている非暴力の象徴のガンジーを使って、「彼をも怒らせるほどひどいこと」を言い表しています。

 このように、「何かにたとえる方法」を知っておくと、さまざまなシーンで使えます。

 特に、「副詞+形容詞」によって、レベル感を伝えるときに、比喩は役に立ちます。

「めちゃくちゃ美味しい」
「ちょっとだけ悲しい」
「地味にウザい」……

 これらは、主観で相手に感覚を伝える表現です。こういう瞬間に、オリジナルな伝え方ができると、相手の印象に残ります。

「どれくらい〇〇だった?」「どういう気持ちだった?」という質問が来たら、大喜利のチャンスです。
 比喩を用いて伝えるようにしてみましょう。

映像が見えるように伝えよう

 では、練習です。

〈お題〉
「『ガンジーでも助走つけて殴るレベル』みたいなこと言ってみましょう」

 コツは、「ひとりマジカルバナナ」です。

 連想によって、「ガンジーのようなもの」を連想していきましょう。
 たとえば、

「与謝野晶子」「千手観音」「笠地蔵」……

 いずれも、暴力を嫌い、平和を好む印象ですよね。
 それらを怒らせれば、回答のできあがりです。

〈回答〉
 与謝野晶子でも『君死にたまへ』って言うレベル
 千手観音が全力で中指を立てるレベル
 笠地蔵に集団暴行させるレベル

 この中でも、千手観音は、絵になるから面白いですね。
 もちろん言葉だけでも面白いですが、イラストが描けると、より伝わります。
 笠地蔵は、無言で何重にもなってのしかかっている感じですね。
 どれも誰もが知っている人物や昔話なので、ポイントが高いです。

比喩が「目的」にならないように

 一つ注意してほしいのは、例えることが目的にならないようにすることです。

〈回答〉
 杉原千畝にビザを燃やされるレベル

 これは、教養がある相手にしか伝わりません。
 杉原千畝は、第二次世界大戦中にユダヤ人にビザを発行してポーランドに逃した人です。
 ただ知識をひけらかすように例えを使ってしまうと、嫌なやつに成り下がってしまいます。
 使う相手にも気をつけましょう。

 もし、バッチリの比喩が出てこないときには、お題の意味を広げてしまう方法もあります。
「ガンジーのように優しい人が怒る」という趣旨から、「滅多に起こらないことが起こってしまう」というように広く捉えてみましょう。

〈回答〉
 チリが東西に分裂するレベル

 チリは、縦長の国です。
 南北に分かれることは起こりえそうですが、東西はありえないですよね。
「こんなことは起こらないだろうな〜」ということを「妄想」で考えておきましょう。ストックしておくと、とっさに使えます。

〈回答〉
 真矢ミキでも諦めるレベル
 林修が「あとででいいよ」と言うレベル

 これは、有名人のCMのフレーズ「諦めないで」「今でしょ!」を使ったパターンです。
 芸人さんにとっては安易な笑いの取り方かもしれませんが、一般人には十分に使えるネタです。

 ただ、「ガンジーでも助走つけて殴るレベル」のような、というお題なので、「助走つけて」を補えるかどうかもポイントになります。
 そういう意味では、「全力で中指」「集団暴行」と、その勢いを伝えてくれている回答のほうがベターだと思います。

「知らないもの」へのアンテナを立てよう

 昭和や平成であれば、「みんな知っている芸能人」「みんな知っているCM」というものがありました。
 流行語大賞にもピンときたし、好きな有名人ランキングも知っている人ばかりでした。

 しかし、いまはネットの登場とテレビ離れによって世間は分断されました。
 比喩に使える素材は減っているかもしれません。

 だからこそ、「その人は知らない」「その言葉は知らない」というものに出合ったときに、ちゃんと調べていることが大事です。
「そんなの知らねーよ」と世界を閉じないようにしましょう。
 単語とキャラクターだけでも知っておくと、雑談にも困りません。
 そのアンテナを立てておくのにも、大喜利は役に立つはずです。

(本稿は、『大喜利の考え方』から一部抜粋した内容です。)