昨年中古マンションを購入した、40代のライフオーガナイザー・高田舞子さん。引き渡しを経ていよいよリノベーション! というところで、まさかの出来事が起きたそう。「転勤族の家問題」について詳しく教えてもらいました。

家を買ったら転勤する?「転勤族あるある」がまさかの現実に…!

家を買うのか、賃貸に住み続けるのか。買うとすれば、いつ、どこで? といった住まいの問題。地元が異なる夫婦の場合は、家探しの拠点さえ簡単には決まりませんし、子どもがいる場合は、いつまで転勤についていくのかなど、答えはなかなか見つかりません。

【写真】リノベーション中の筆者宅

“住まい”をどう持つのか、家問題は転勤族には共通した悩みなのではないでしょうか。

●アラフィフ夫婦の転勤族、タイミングよく家を購入

わが家は小学3年生の男児を育てる転勤族。「転勤族の家問題」のタイムリミットが近づいていると感じた2022年、縁があり家を購入しました。

ゆるく始まった物件探しは、夫婦の年齢と子どもの年齢が上がってきたことに加え、関西出身である私たち夫婦が関西圏に戻ってきたことが大きなきっかけ。タイミングに恵まれていたと思います。

2022年夏に出合った中古マンションを購入し、10月に引渡し。打ち合わせを経てリノベーション工事が始まったのは、2023年1月。4月の新学期に息子が転校するという段取りでした。

転勤族の都市伝説「家を買うと転勤する」は本当だった!?

リノベーションが始まった矢先、わが家に衝撃の展開が…! それは、夫の転勤話。しかも関西圏外。

転勤は想定していたものの、もう少し先か関西圏内だろうと予想していた私たち。まさか! まだ赴任して1年少しなのに…! 突然の打診に言葉を失いました。

●どうする?選択肢をあげて整理してみた

選択肢はたったの2つ。

・転勤についていく家族帯同

・転勤にはついていかない単身赴任

もし家族帯同ならば、新居をどうするか? を考えてみました。

・思いきって売却する

・賃貸に出し、不動産収入を得てローン返済

・あき家として維持しておき、たまに帰省しメンテナンス

売却はさすがにない、賃貸もやっぱりない。自分たちが住むためにリノベーションして整えた新居、だれかに使われるなんて想像できません。かといってあき家にしておくと劣化は進みます。地元とはいえ、頻繁に帰省しメンテナンスするには時間的にも金銭的にも難しい。

●子どもの視点で考えてみた

子どもの負担は極力減らしたいと思い、それぞれのメリットデメリットを子ども視点で考えてみました。

【家族帯同】

◎:家族一緒に暮らせる。夫婦で子育てを共有できる

×:いつまで? 進学はどこで? の答えを探し続ける。友達とまた離れる

【単身赴任】

◎:遊びに行く楽しみができる。学区は変わらない。友達と離れる心配はなくなる

×:父親ロス。母親のワンオペ

家族が離れる単身赴任に、寂しさは否めません。これといった会話ではなくとも、なんとなく共有していた日々の出来事も、“連絡”が必要不可欠に。夫婦で柔軟に暮らしを整えることが難しくなり、想像以上に細かな課題はあるだろうと予想します。

また、母親のワンオペになるため、私の働き方にも条件が多くなるのが難点。とはいえ、私たちの出した結論は「単身赴任」でした。

●家を購入したことが吉か凶か?

「家を買っていなければ…」という気持ちが芽生えなかったかと言えば嘘になります。報告を受けた日、お父さんっ子の息子は涙目になっており、さすがの私も心が痛みました。

しかし、しばらくたって落ち着いてみると気持ちに変化があり、「去年家を買っていてよかった!」と思うように。

【家を購入していなかったら】

間違いなく一緒に引っ越していました。新生活も家族一緒であることはなにより心強い。

でもその安心は、今現在、もしくは近い将来までの話。「いつまで転勤についていくか」問題は解決していませんし、その地で何年過ごすのかも不透明な状況。

2年後には息子は小学6年生になり、中学校入学は目の前。そこで入学となれば、もう動けません。高校進学の内申点が中学1年生から始まっているからです。学業面だけではなく、心の成長や変化も訪れる年齢ですから、やはり下手に転校はさせられません。

ということは、息子が中学生になってから夫に再び転勤辞令が下ったら? 地元ではない場所に母子は留まり、夫が単身赴任という二重生活になる可能性が。それは果たして意味があるのか? と考えました。

【期間限定でついて行ったら】

「中学校までの3年間だけ」と期間限定はどうだろう? とも想像してみました。

数年の家族時間は持てますが、計画通りに進むかはわかりません。息子が「戻りたくない」と言いだす可能性も大いにあります。

もし関西に戻ったとしてもゼロからの人間関係。12歳で友達との離別を再び経験し、手探りの新生活が始まることに不安がないとは言えません。

ぐるぐる考えて、結果的に「去年購入していてよかった!」というのが素直な気持ち。

今の住まいに引っ越してまだ1年目、転勤はまだ先だろうと思いながら動いたことが先手必勝の要因となりました。昨年動いていなければ、今ごろ住まい難民になっていたことは間違いありません。

幸い、新居と単身赴任先は新幹線で1時間半の距離。「父親の元に遊びに行く」という楽しみができ、小学生のひとり旅デビューのいい機会にもなりそうです。しかもわたしが20代独身のころ転勤で赴いた場所。なじみのある土地にワクワクすらしてきました。

転勤族の家問題。家族で話し合って腹をくくる!

「家を買った途端に転勤」という都市伝説を身をもって体験した私たち。単身赴任という選択をとりましたが、どう住まうか? 家族とどう暮らすか? は家庭によってさまざま。

ただ、高校進学に向けた中学校生活を見据え、長子が小学校高学年になる頃にはある程度の結論を出したほうがいいと改めて思いました。

転勤はいつも突然やってきます。決まってからこれからを考えるのと、方向性を決めておくのとでは大きく違います。家族で話し合って着地点を決めれば、想定外のことが起こったとしても、腹をくくった分、乗り越えていけるはず。

私たちは家族全員が春から新天地。ワンオペ子育てに不安もありますが、デメリットばかりを気にせず、前向きに家族のあり方を模索していこうと思っています。