アメリカ・ノースカロライナ州の沖合で釣りを楽しんでいた親子が、無人のまま暴走するボートを発見し、知識と経験を生かして海を漂流していたボートの持ち主を見つけることができた事例を、GPS機器メーカーのGarminが紹介しています。

Ghost Boat with Garmin GPS Leads Father-Son Duo to Man Overboard

https://www.garmin.com/en-US/blog/marine/ghost-boat-with-garmin-gps-leads-father-son-duo-to-man-overboard/

Roanoke father-son duo rescue missing boater 40 miles off North Carolina coast

https://www.wsls.com/news/local/2021/07/08/roanoke-father-son-duo-rescue-missing-boater-40-miles-off-north-carolina-coast/

今回の一件で海難救助に成功したのは、バージニア州ロアノーク出身のアンドリュー・シャーマン氏(当時50歳)とその息子のジャック・シャーマン氏(当時21歳)です。2人は2021年7月に、ノースカロライナ州の沖合37マイル(約60km)の海で釣りを楽しんでいる最中に、ボートが猛スピードで接近してきていることに気づきました。

急いで自分たちの船を動かして衝突を回避した親子が、一体何事かとボートを見ると、ボートの操縦席には誰もいなかったとのこと。小さな頃から500トン級の船の船主だった祖父の手伝いをして育った熟練の釣り人であるアンドリュー氏と、海軍兵学校の現役学生だったジャック氏は、すぐにただ事ではないことを察知して、ボートの追跡を開始しました。



ボートの操縦士が中で気絶しているのではないかと思っていた2人は、暴走ボートと並走しながら警笛を鳴らしたり大声で呼びかけたりしますが、応答はありません。そこで、アンドリュー氏が操船して船をボートの横につけ、ジャック氏がボートの甲板に飛び乗って中に入ると、操縦席だけでなくボート自体が無人だということが判明。船内に残されていた財布から船の持ち主の情報を得た2人は、沿岸警備隊に通報して海難事故の発生を伝えました。

そして、2人は沿岸警備隊の到着を待たずに、ボートから転落したのであろう持ち主を探すことにしました。その判断について、アンドリュー氏は「沿岸警備隊がどれくらいの時間で到着するのか分からなかったので、私はジャックに『沿岸警備隊が来て指示するまで、この人を探さないといけないな』と言ったんです」と話しました。また、ジャック氏は付け加えて「なぜかというと、船外にいる時間が長ければ長いほど、生存の可能性が激減していくからです」と話しました。



ボートに搭載されていたGarmin製GPS装置を確認した2人は、手分けしてボートと自分たちの船に乗り込み、ボートがたどってきた航路の捜索を開始しました。すると、ジャック氏が波間に長靴を発見します。「もし誰かが海に落ちて立ち泳ぎをしているなら、きっと長靴を脱ぎ捨てたはず」と推測したアンドリュー氏は、ボートの航路からボートの持ち主が海に落ちた場所を推測してその場所まで戻りました。

そして、海の流れから遭難者が流された方向に見当をつけて現場から南下したところ、300〜400ヤード(約275〜365メートル)先で人が水しぶきを上げているのが見えました。

こうして運よく助けられたサッシャ・シェラー氏は、海に落ちてから救助まで2時間半ほど海を漂っていたとのこと。転落の経緯は単純で、用を足そうと船のへりに立ったところ滑り落ちてボートに置き去りにされてしまったという、ボート乗りであれば誰にでも起きうる事故でした。

ただし、転落時にライフジャケットを着用しておらず、操縦者がボートを離れた際にエンジンを停止させる「キルスイッチ」も装着していなかったことから、シェラー氏は自分の過ちを認めて「私の経験から他の人が学んでくれることを望みます」と語りました。

一方沿岸警備隊は、見事な機転で海難者を発見して命を救ったアンドリュー氏とジャック氏の功績をたたえて、後日式典を開催して2人に表彰を授与しました。