その恵まれた状況を棒に振ってまで、2部降格危機のシュツットガルトでやりたかったのは、ズバリ、個の能力を引き上げること。特に遠藤の爆発的な成長曲線を目の当たりにしたことで、「自分は環境を変えたほうがいい」と確信したというのだ。
 
「たぶんウニオンの試合を見てる人は少ないんで、あんまり説明しても分かりにくい部分だと思うんですけど、プレー機会っていうのがこっちに来たほうが多くなる。今日のブレーメン戦でも、たくさんボールタッチしましたし、やっぱりそこをやりたい。航を見たら分かるように、シュツットガルトに来てここ3〜4年でMFとしてすごく大きく成長したなと感じるんですよね。その航の近くでプレーしたいっていうのがあった。僕にとってはすごく良い環境かなと思いますね」

 原口がしみじみ語るように、少し前まで「デュエル王」の印象が強かった遠藤は現在、インサイドハーフとして攻撃のダイナミズムをもたらす存在になっている。ボールを奪って一気に攻め上がってゴールを狙う形も少なくない。ブレーメン戦ではそういうシーンが思うように作れなかったものの、1月24日のホッフェンハイム戦では弾丸ミドルをゴールに叩き込んでいる。

「攻守両面で違いを出せなければ世界トップにたどり着けない」と原口は再認識させられた様子。カタール・ワールドカップで躍動した遠藤からも大いに刺激を受けたことで、自分もオン・ザ・ボールのところで勝負できるMFになるんだと決意。新たなチームでトライしていく覚悟を固めたのである。
 
 総得点がリーグで下から3番目のシュツットガルトを残留に導くのは容易ではないが、原口にはハリルジャパン時代のような得点力も求められるのは間違いない。そういう選手へと今一度、変貌できれば、彼の30代は実りの多いものになる。

 さしあたってブレーメン戦では苦い思いを味わったが、ここからが本当の勝負。チームの流れをガラリと変え、残留圏浮上へと導くべく、原口元気は貪欲に、泥臭く前進を続けていくつもりだ。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

【動画】身体を張ってピンチを阻止! リーグ戦で新天地デビューを飾った原口元気。シュツットガルト対ブレーメンのハイライト動画