秋になると、まつぼっくりが公園や道端に落ちている光景をよく目にします。この「まつぼっくり」ですが、頭に「まつ」とついているものの、松の何と関係があるのでしょうか。10月14日放送『多田しげおの気分爽快!!〜朝からP•O•N』では、意外と知らない「まつぼっくり」の話から、そもそも「ぼっくり」って何?という疑問まで、甲南大学特別客員教授で農学博士の田中修先生にお話を伺いました。

まつぼっくりは何?

まずは田中先生に、まつぼっくりは松の木の何にあたるのかについて、解説していただきました。

松の木には花粉を飛ばす雄花と種を作る雌花が別々にあり、春頃、緑色に茂っている松の木の枝の先に少しだけ丸みを帯びた赤いものが雌花で、その下に茶色のものが集まっているものが雄花です。

雄花は花粉を飛ばして枯れて消えていく一方で、雌花は種を作るため成長するのですが、その成長したものがまつぼっくり。

まつぼっくりの外側を覆う固い板のような部分は鱗片といい、まさに鱗(うろこ)のような形をしていますが、これは雨風や厳しい日光などから種を守る役割を果たしています。

この鱗片の付け根部分に、種ができるそうです。
 

まつぼっくりが開いている理由

では、春頃に受粉して秋ぐらいに種ができるのかというとそうではなく、もっと時間がかかるそうです。

田中先生「緑の小さい松ぼっくりが、夏には成長します。秋にいよいよ茶色になるんですね。
でも種は完成していないので、茶色の松ぼっくりのまま、冬の寒さを越します」

先程、春頃の松の木には雄花の下に雌花があるというお話がありましたが、さらにその下には前の年のまつぼっくりがいるのです。

そして、秋に向かってまつぼっくりはさらに大きくなり、種を飛ばすことになります。

その時、鱗片が乾燥して外へ広がると、付け根にあった種は羽根を持っているので風に乗って外へ飛んで行き、開いた状態のまつぼっくりは落ちてしまいます。

地面に落ちているまつぼっくりが開いているのは、役目を終えたものの証といえそうです。
 

ぼっくりって何?

まつぼっくりは雌花が成長したものということはわかりましたが、もう1つ疑問があります。

それは、まつぼっくりの「ぼっくり」って何?ということ。

その語源は、結構恥ずかしいものでした。

田中先生「いま栗の季節やから、栗と何か関係あるような印象があるかと思いますが、何の関係もありません。

『ふぐり』という、ぷくっと卵型に膨らんだ袋、垂れ下がっているような袋を指す言葉で、要するに睾丸なんですよ。

松の場合はよく見られるのが、2つ並んでぶら下がっているので、そう見られるという説ですね。

ふぐりは『ぼくり』っていう言い方もするので、『まつぼくり』もきちんとした言葉です。

それが少しなまって『まつぼっくり』という言葉になっています」

「オオイヌノフグリ」という青い花がありますが、これはダイレクトなので普通は言いづらい名前ですが、これを知った今、「まつぼっくり」もなんとなく言いづらくなりそうです。
(岡本)
 

多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N
2021年10月14日07時43分〜抜粋(Radikoタイムフリー)