「下町感」ある店が多く集う西武新宿線・野方駅前

写真拡大 (全2枚)

緊急事態宣言下で迎えた春の引っ越しシーズン。不動産情報サイト「LIFULL HOME'S」(ライフルホームズ)が2021年2月9日に発表した首都圏版の「借りて住みたい街ランキング」では、本厚木(神奈川県厚木市)など、郊外にある駅が上位に入る結果となった。

ただ、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県には1500を超える駅がある。こうしたランキングに名を連ねなくとも、魅力的な街はたくさん眠っているはずだ。J-CASTニュースは「住みたい街ランキング」に載らない「オススメの街」を、まち探訪家の鳴海侑さんに聞いてみた。

郊外駅の「上昇」、都心付近駅の「下降」目立ったランキング

「2021年首都圏版 LIFULL HOME'S 借りて住みたい街(駅)ランキング」の上位では、1位の本厚木、2位の大宮(埼玉県さいたま市)、4位の八王子(東京都八王子市)、6位の千葉など、郊外にある駅の名が目立った。LIFULL HOME'S総研は「郊外」の駅に注目が集まった理由について「感染リスクのより低いエリアに転居したい、またテレワークの実施で毎日通勤しないのであれば、家賃相場が比較的安価な郊外方面で生活したいという要望などが顕在化したものと考えられる」としている。

一方で、前年から順位を落としたのが、5位の「池袋」(東京都豊島区)、10位の「川崎」(神奈川県川崎市)、15位の「荻窪」(東京都杉並区)、16位の「三軒茶屋」(東京都世田谷区)といった駅。鳴海さんはこれらの駅のランクダウンについて「コロナ禍による移動控えと一部業種でのテレワーク浸透により、『どうにかして都⼼に近いエリアへ引っ越そう』という需要が減少したのではないでしょうか」と分析する。

また、公表されているランキングの100位以内に目をやると、木更津(千葉県木更津市、前年141位→41位)、五井(千葉県市原市、86位→46位)、茅ヶ崎(神奈川県茅ケ崎市、134位→62位)といった駅が大幅にランクを上げた。鳴海さんは「いずれも⼯業地帯が付近にある駅。⾸都圏全体で⼈⼝移動が滞る中、⼯場で働く⼈などの住宅需要に⼤きな変化がなかったことも、今回の結果につながった⼀因なのではないでしょうか」と考察する。

鳴海さんは、ランキングが物件への実際の問い合わせ数をもとに算出されていることから、100 位以内には「めぼしい駅」が出そろっていると話す。⼀⽅で「ランク外」の駅にも魅⼒的なエリアがあるのではないか。そう聞くと、いくつかの駅名をリストアップしてくれた。

「下町感」味わえる野方、買い物環境改善の所沢

まず鳴海さんがあげたのが、西武新宿線の「野方」(東京都中野区)だ。北は練馬駅、南は高円寺駅に挟まれたエリアにある。駅は各駅停車しか止まらないが、ターミナルの西武新宿までは15分程度でアクセスできる。駅前には大型店こそないものの、商店街沿いに多くの飲食チェーンが立地。「地元密着」な惣菜店や居酒屋、ディープな雰囲気のアーケード街「野方文化マーケット」などがあり、賑わいを見せている。鳴海さんは「家賃も23区内では⽐較的お値打ち感がある。駅の南側を中心に商店街が広がり、『下町感』を⼿軽に味わいたい⽅にはオススメです」と話す。

続いて埼玉方面であげたのが、西武新宿線と西武池袋線が交わる「所沢」(埼玉県所沢市)。昨年9月には約120店舗を超える大型の駅ビル「グランエミオ所沢」の第挟が開業し、地味なイメージだった駅は華やかに変貌を遂げた。

駅西口には西武百貨店などが出店する「ワルツ所沢」、複数の大型専門店が入る「TOCOTOCOSQUARE(トコトコスクエア)」もあり、2つをつなぐ「プロペ通り商店街」は多くの人が行き交っている。付近ではタワーマンションを含む大規模な再開発計画が進行中で、さらなる発展も期待される。埼玉県内ということだけあり、家賃も都内と比べると安いのが特徴だ。鳴海さんは街の魅力について、次のように語る。

「ここ1年の間で⼤型施設の開業・改装が相次ぎ、買い物環境が⼤きく改善されました。交通アクセスについても、⻄武新宿線、池袋線の2 路線があるので、万が⼀どちらかが⽌まった時も安⼼です。30 分程度でJR山手線のターミナル駅まで出られる『意外な近さ』も魅⼒だと思います」

相鉄線の「二」と「三」にも注目

神奈川方面では相鉄本線の「二俣川」と「三ツ境」(いずれも神奈川県横浜市)を挙げた。ともに駅前に大型商業施設があるのが特徴だが、特に二俣川では18年に約100店舗が入る新駅ビル「ジョイナステラス二俣川」が開業。横浜駅など大きな駅へ行かずとも、買い物を済ませられるようになった。

いずれも横浜市中心部への通勤に便利なエリアとして発展を遂げてきたが、19年11月には「相鉄・JR直通線」の開業で、新宿・池袋まで乗り換えなしでアクセスできるように。22年度下期には「相鉄・東急直通線」の開業も予定している。鳴海さんは「近年オフィスが増えている『みなとみらい21地区』がある横浜中心部へ電車で1本。さらに今後東急・相鉄直通線で東京都心へのアクセスがさらによくなることを考えると、将来性が期待できるエリアではないでしょうか」と話した。

また、「⾞があれば」という条件付きであげたのが、武蔵野線の「三郷・新三郷」(埼⽟県三郷市)やつくばエクスプレス線の「三郷中央」近辺だ。三郷市北部には「ピアラシティみさと」「IKEA」「コストコ」「ららぽーと」などの⼤型施設が⽴地。つくばエクスプレス線と⾞を駆使することによって、買い物の⽬的に合わせた「使い分け」ができるのが魅⼒だとした。