矢沢永吉バラードベスト 39曲全ての曲に手を加え直した理由を語る
次の曲もこのアンドリュー・ゴールドとイギリスのジョージ・マクファーレンの2人がプロデュースして、イギリスとアメリカでレコーディングされたアルバム『HEART』の一曲です。「この海に」。
この海に / 矢沢永吉
10月21日発売のベストアルバム『STANDARD〜THE BALLAD BEST〜』から「この海に」。1993年のアルバム『HEART』の中の曲です。このアルバムはロサンゼルスとロンドンでレコーディングされて、この曲はロンドンでのレコーディングです。今回の『STANDARD〜THE BALLAD BEST〜』を聴いた感想として、音がいいなっていうのがあったんですね。オリジナルとは全然違う音になっています。これはかなり手を加えたんだろうなと思ったのですが、矢沢さんはこの『STANDARD〜THE BALLAD BEST〜』についてこんなコメントを送ってくださいました。矢沢さんの話の後にお聞きいただくのは、アルバムの中の「いつの日か」です。
ハッキリと出そうと決めたのは、去年の7月くらいですかね。そういった意味では、完成まで7、8ヶ月ほど経ったわけですね。話せば長くなるんだけど、音楽の世界、ショウ・ビジネス、ミュージック・ビジネスの世界、キャロルから含めたら48年くらいになりますかね。長いんですよ。キャロルの時代からとにかくライブ漬けの日々でアルバムも作る。イケイケで「ファンキー・モンキー・ベイビー」みたいなナンバーから、解散してから『I LOVE YOU,OK』など色々な曲を書いていきまして。でも、我々ロックのルーツはどこだって言われたら、やっぱり海の向こうのアメリカやイギリスだったり。だったらロックの本拠地に行ってやろうぜ! って思った。海外でレコーディングするミュージシャンたちの走りであるかもしれません。色々な人とやりましたよ。やっていくうちにだんだんアレンジの重要性、同じメロディでもアレンジでこんなに音楽感が変わってくるのかっていうことに、僕はショックと発見とびっくりがありましたね。
それからアレンジにものすごい興味を持つようになりました。アレンジ一つで、同じメロディーでもこんなにも表現が変わってくるのかと。ずっとやっていくうちに、だんだん自分がどういう立ち位置で音楽を作ってるのかなということに拘ったりもしましたね。そこから一周ぐるっと廻って71歳にもなるんですけど、60歳くらいから自分はどういう音楽をしたいんだ? と思い至りましてね。すると、今回の『STANDARD〜THE BALLAD BEST〜』を選曲するにあたって、昔のオリジナルをずっと聴いていく中で、どうしても納得できないある部分にぶつかるわけです。分かりやすい言葉で言うと、オリジナルの音源ってすごいかっこいいんですよ。かっこよくて、パッションで、イケイケ。だから、別の見方をするとちょっと強いって言うのかな。イケイケが出過ぎて、下手したら押し付けになってるようなサウンドになってるかもしれない。そうじゃない、押し付けじゃいけないんだ。もっと分かりやすく矢沢メロディが伝わるためには、何が強すぎるんだろう? って考えたら、もう一回ミックスダウンしなきゃ納得できない自分がいたんですね。
