矢沢永吉バラードベスト 39曲全ての曲に手を加え直した理由を語る
今回の『STANDARD〜THE BALLAD BEST〜』は、3枚組で全39曲入ってるんですけど、そのうちの17曲のミックスダウンをやり直しました。そのうちの4曲か5曲はカラオケから作り直し。例えば「いつの日か」なんてオリジナルだとキーがすごく高いんですよ。だから、一音キーを下げて作った。じゃあ昔作ったオリジナルの音源はなんでそんなにキーが高かったのか? 「いつの日か」だって「東京」だって、なんでこんなにキーが高かったんだろうって曲が結構ありました。なんでなのかね? あの頃イキがってたのか、ポール・マッカートニーに憧れて『ロング・トール・サリー』みたいに俺はこれくらいのキー歌えるぞ! ということばかり意識していたのか。でも、やがて音楽が分かってくると、キーって高くすりゃいいてもんじゃないだろうと気づいた。僕のこのボイスに一番マッチングするキーってあるじゃないか、って思い至ると、もういても経ってもいられない。一音キー下げて歌わないと俺は納得できないと思ったんです。だから、「いつの日か」は元から作り直しですよ。元から作り直して歌を歌い直してミックスダウンし直し。マルチテープがないものは、マスタリングのイコライジングで、尖ってる部分とかイケイケの部分をもっと素直にストンと入るサウンドに近づけようと思った。そんな感じでこの39曲は何らかの手を加えているんですよ。生まれ変わったといっても過言ではないと思うんです。矢沢音楽の総集編と言ってもいいアルバムができたと思います。
1994年の曲「いつの日か」。ドラマ『アリよさらば』の主題歌になっておりました。代表曲ですね。オリジナルとは相当違います。歌い直されたニューレコーディングver.です。しみじみとした感じが一層強くなってますね。矢沢さんのバラードの魅力は、狂おしさだと思ってるんです。センチメンタルな情感に浸るのではなくて、狂おしいまでの想いが伝わってくる。これはロックでもバラードでも同じだなと思ったりもしました。そして、このアルバムの音がいいなと思った答えが、今の矢沢さんのコメントの中にありましたね。音楽家・矢沢永吉の一端でした。
今流れているのは、後テーマ曲で竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」。この曲に"語ってくれ 彼の生き様を”という歌詞がありましたが、こんなに生き様が人に影響を与えてきたのは矢沢さん以外はいないでしょうね。そんな足跡を来週以降もお聴きいただこうと思っております。
矢沢さんは、生き様そのものが音楽になっている人でしょう。高校を卒業してすぐに、卒業証書を破り捨てて上京してきた。横浜で列車を降りて、バンド活動を始めた。その頃のことは『成りあがり』という自伝で克明に語られております。青春のバイブルです。でも、考え方によってはそこだけがクローズアップされすぎているのではないか? と思いました。矢沢さんのインタビューを何度かやらせてもらったことがあるのですが、彼が何気にそういう話をしたことがあるんです。「『成りあがり』で音楽の話をもっとしておけばよかったかな? あれはあれでもちろんいいんだけど、ちょっと音楽の話足りなかったかな?」と、ふと呟かれたことがありました。そういう意味では、矢沢さんのバラードベストは、彼が屈指のメロディメイカー、シンガー、アレンジャーであるという、様々な音楽家の側面が刻まれているアルバムでもあると思います。1970年代、1980年代には活動の拠点が変わったりしたという話も少しありましたが、1980年代の矢沢さんがやってきたことは、アメリカ西海岸のAORと呼ばれている音楽を誰よりも自分で作ろうとして音に記録して体現している。そして、そういうミュージシャンと付き合ってきた人なんだ。ということを、来週以降でお話できたらと思っております。でも、来週は彼の言葉を借りるならイケイケの永ちゃんですよ(笑)。お楽しみに。
<INFORMATION>
田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
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「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
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<リリース情報>

矢沢永吉
『STANDARD 〜THE BALLAD BEST〜』
発売日:2020年10月21日(水)
通常盤:3CD/3630円(税込)
初回限定盤A(Blu-ray):3CD+Blu-ray/5830円(税込)
初回限定盤B(Blu-ray):3CD+Blu-ray/5830円(税込)
初回限定盤A(DVD):3CD+DVD/5280円(税込)
初回限定盤B(DVD):3CD+DVD/5280円(税込)
=収録楽曲(初回限定盤A/B/通常盤・共通)=
DISC1
1. 面影
2. #9おまえに
3. フォーチュン・テイラー
4. 真昼
5. 燃えるサンセット
6. ミスティ misty
7. ひき潮
8. THE STRANGE WORLD
9. この海に
10. 黄昏に捨てて
11. 愛はナイフ
12. 今・揺れる・おまえ
13. YES MY LOVE
DISC2
1. 未来をかさねて
2. HEY YOU・・・
3. 風の中のおまえ
4. Moon Light Song
5. 安物の時計
6. Morning Rain
7. バーチャル・リアリティー・ドール
8. 早冬の気配
9. Tonight I Remember
10. チャイナタウン
11. A DAY
12. メイク
13. キャロル
DISC3
1. 親友
2. 「あ.な.た...。」
3. Sweet Winter
4. 棕櫚の影に
5. アイ・ラヴ・ユー, OK
6. 時間よ止まれ
7. いつの日か
8. Dry Martini
9. 東京
10. パセオラの風が
11. 夕立ち
12. エイシャン・シー
13. ホテル・マムーニア
※初回限定盤A(Blu-ray/DVD共通)収録楽曲
1. 東京(2014年「Dreamer」)
2. 風の中のおまえ(2017年「TRAVELING BUS」TOUR)
3. 時間よ止まれ(2014年「Zs START ON」TOUR)
4. YES MY LOVE(2019年「ROCK MUST GO ON」TOUR)
5. アイ・ラヴ・ユー, OK(1999年「LOTTA GOOD TIME」TOUR)
6. A DAY(2010年「TWIST」TOUR)
※初回限定盤B(Blu-ray/DVD共通)収録楽曲
1. 風の中のおまえ
2. YES MY LOVE
3. 面影(from ONLY ONE〜touch up〜SPECIAL LIVE in DIAMOND MOON)
STANDARD〜THE BALLAD BEST〜特設サイト
https://www.eikichiyazawa.com/feature/standard
矢沢永吉オフィシャル・ショップ
https://diamondmoon.jp/
