“29歳、駆け込み婚”で全てを手にしたはずだったのに...結婚2年目の女が悟った理想と現実
-上には上がいる。
それが、この東京という街の永遠に変わらない現実だ。
高価なバッグに高級外車など、同じものを持っていても、それを手にする過程には大きな違いがある。
やっとのことで手に入れた念願のものなのか、それとも数万円のものを買うかのごとくポンポンと手にしたものか。
前者と後者は似て非なるもので、そこには明確なコミュニティーの違いがある。
後者は、世帯年収3,000万以上なんて当たり前。東京の中でも頭一つ抜きん出て資産を保有する“ハイエンド・ゾーン”。
これまでに、育ちのコンプレックスに悩む玲子、日系私学受験組と一線を画すインターママの紗理奈、元グラドルの綾乃、元キー局女子アナの有香などを紹介した。今週は?
【今週のハイエンド妻】
名前:美紗子
年齢:31歳
夫の職業:不動産関連など
夫の年収:年収3,500万
美紗子は岡山の名士に嫁いだにも関わらず、夫が所有する東京のマンションに入り浸っている。
「埼玉県出身で、東京の女子大へと進学したのをキッカケに上京しました。卒業後は美容系の会社へと就職し、独身時代はずっと麻布十番に住んでいたんですよ」
そんな美紗子が結婚したのは、今から2年前の29歳の時。夫の春樹は地元岡山では有名な人らしく、代々続く家業を営んでいる。
「夫の祖先は元々土地持ちで、家業は不動産関連の仕事をしています。それ以外にも彼は酒造系の販売会社を立ち上げ、現在はそちらをメインで行っているのかな。また地元活性化のために諸々の投資も行っており、とにかく手広く事業を展開していますね」
家の写真を見せてもらったところ、広大な敷地内にそびえ立つ“屋敷”という表現が相応しいような壮大な家だった。
「夫も優しいし、何不自由なく暮らしています。でも・・・」
当時、かなり港区界隈で遊んでいたという噂もある美紗子。
岡山に嫁いだにも関わらず、ほぼ東京で暮らしているという現在の暮らしぶりを伺うと共に、今の結婚に至った経緯を教えてもらおう。
“東京では、もう出会いがない”。そう悟った女の行動とは?
“東京に、良い独身男は残っていない”という残酷な真実
東京にいると、たまに錯覚することがある。出会いは無限にあるのではないだろうか、と。
しかし、美紗子は大きく首を横に振る。
「東京は、広そうに見えてとても狭い。特に港区界隈で一度名前が知れ渡ってしまうと、そのコミュニティー内で下手なことはできない。恋愛に関しても、一度誰かと深い仲になり、こじれてしまうとその周囲にいる良い男性陣も一斉に失うことになりますからね」
学生時代、美紗子は相当“ハジけていた”という。
「とにかく毎日が華やかで、楽しかった。食事会2軒ハシゴなんて当たり前。そして社会人になると更に輪をかけて楽しくなり、毎晩、西麻布界隈で飲み歩いていましたね」
何を隠そう、美紗子は典型的な港区女子だったのだ。
「学生時代は、タクシー代で生活していました(笑)。20代前半で三ツ星レストランはほぼ制覇していたし、高級ワインの味も覚えました。電車なんて一切乗らず、移動は全てタクシー。そんな生活をしていながら、私は財布を出した記憶がないですね」
周りには、チヤホヤしてくれる港区おじさんが溢れていた。毎日が夢のように過ぎていき、経験値だけが上がっていく。
そんな生活を続けて25歳になった時、美紗子はすでに“普通の女の子の感覚”を失っていた。
「でも26歳になった時から、周囲にチラホラと結婚する子たちが現れて」
しかし、美紗子はまだのんびりと構えていた。
現実を知ったのは、美紗子が28歳になってからだった。
「28歳になった時に、愕然としたんです。今までこの生活をさせてくれていた年上の彼氏たちは、もう相手にしてくれない。でも、自分でこの生活を維持するのは、到底無理。それに、気がついた時にはもう手遅れだったんです」
それまで、ずっと年上の彼氏と交際してきた美紗子。中には既婚者もおり、生活は彼らに甘えていた。
だがそんな甘い蜜月関係は、いつか終わるもの。年齢が上がるにつれ、段々と出会いも減り、そしていざ結婚を考えた時に、美紗子はやっと気が付いた。
「東京には、“独身の良い男がほぼいない”、ということに」
正確に言うと、独身の良い男はいる。
しかしこの東京市場には、独身の良い男で“フリーで残っている人”がいないのだ。
やはり、結婚するならこれまで付き合ってきたような年上の彼氏ではなく、同世代の男性がよい。そうなると、美紗子が20代前半まで相手にもして来なかった同世代の男性たちがターゲットとなる。しかも彼らは30代が近づくにつれ、皆それぞれの分野で成功し、ある程度稼げる力を身につけている。
「素敵だなぁと思う人には既に結婚を約束している彼女かいる。20代半ばくらいまでの男性は別ですが、結婚適齢期の男性、しかも私が求める“ある程度の暮らし”ができるフリーで残っている人は、この東京では絶滅危惧種に近いんですよね」
しかもずっと相手にして来なかった美紗子にチャンスが回ってくるわけもなく、気がついた時にはそんな男性たちは、20代半ばくらいから交際をしている、可愛らしい妻か彼女がガッチリと脇を固めて放さない。
「その事実に気がついた時、“この東京では、もう結婚できないのかもしれない”と焦りました。でも自分ひとりで生きて行くほどの力もありませんでした」
仕事は続けていたものの、年収は480万程度。美紗子が望む暮らしをするには低すぎる年収で、麻布十番にも住めなくなっていた。
「そんな時に出会ったのが、今の夫・春樹だったんです」
大学は、慶應義塾大学を卒業したのち、家業を継ぐために岡山に戻っていた春樹。美紗子が呼ばれた食事会で、春樹の同級生が岡山から出張で来ていた彼を呼んでくれており、そこで運命の出会いを果たしたのだ。
「私より6歳年上で独身。そして素晴らしい生活力と家柄。“これがラストチャンスだ”と、自分で自分を鼓舞しました」
美紗子が手に入れた、ラストチャンス。しかし思わぬ結末が・・・
「地方暮らしに、耐えられない・・・」
そこから、美紗子は全神経を“春樹と結婚する”ことに注いだ。
出張が多く、頻繁に東京に来ていた春樹にこまめに連絡をし、デートでは最高に良い女を演じていたという。
「まぁその辺りは、昔遊んでいた経験が役に立ちましたね」
そしてまんまと美紗子の手のひらで転がされた春樹から、交際1年後にプロポーズされた。そして、今に至る。
「29歳の、ギリギリ駆け込み婚でした。昔遊んでいた分、結婚していない子たちの末路を知っているからこそ、絶対早く結婚して、そこを抜けたかったんです」
そして結婚を機に岡山へと引っ越したのだが、そこで美紗子を待ち構えていたのは、予想外の生活だった。
「彼の収入ならば東京と同じような生活ができると思って、意気揚々としていました。でも、岡山は東京と全然違う」
地方の名士と結婚し、勝ち組となったはずの美紗子。だが、一つだけ想像していなかったことがある。
「もちろん、ある程度予想はしていました。東京のように華やかな生活は送れないと。でも、想像以上に田舎だったんです。刺激的な出会いや、キラキラしているような場所は、どこにもない」
岡山も素晴らしい所だが、もちろん、東京と比較してしまうとその規模感は比べものにはならない。
また街が狭いため、東京より人付き合いが蜜で、目立つとすぐに批判されてしまう。
そして何より、東京での楽しい生活が忘れられない美紗子からすると、“毎日が退屈で抜け殻”になっていったそうだ。
「東京は、24時間眠らない街。港区界隈での楽しかった日々を考えると、岡山の平穏な空気に耐えられなくなることがあるんです。
名家に嫁ぎ、良い暮らしは手に入れた。でもこれから先、もう私は一生この街の女となって生きていかなければならないのかと思うと、失った東京の生活に未練がありすぎて」
生活レベルを落としたくなくて、今の夫と結婚したはずの美紗子。
しかし実際に結婚してみると、田舎暮らしに耐えきれなかった自分がいたという。
「素晴らしい夫と、保障された暮らしは手に入れたはずだったのに。結局、結婚1年足らずで夫の出張に同行するという理由をつけて、夫が所有する東京のマンションに入り浸っています。でも、こんな一時的な東京生活をいつまで続けられるのか・・・子供が産まれたら頻繁に往復など絶対にできないでしょうし、かといって岡山で子育てするイメージが全くわかなくて」
29歳の駆け込み婚をした美紗子は、売り時を間違えたと後悔しているようにみえた。
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