英7部のレザーヘッドFCでプレーするカレン・ロバートは、今の心境を語った。 (C) Tomoharu Takeyama

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「今日の麻也は、サウサンプトンの最後の砦。チェルシーの攻撃の芽をよく摘んでいたし、次のプレーに対する読みは抜群に冴えていました。身体を張る場面でもよく足が出ていて、ボールが麻也のところに吸い付いてきているように見えました」

 1月2日(現地時間)、チェルシーの本拠地スタンフォード・ブリッジで行なわれたサウサンプトン戦に、日本代表DF吉田麻也のプレーを見ようと、英国7部リーグのレザーヘッドFCでプレーしているカレン・ロバートが観戦に駆けつけていた。

 この日のサウサンプトンは終始、チェルシーが圧倒していた。イタリア代表MFのジョルジーニョが攻撃のタクトを振るいながらテンポの良いパスを回し、そして得点源のエデン・アザールにボールが渡ると、決定的なチャンスが何度も生まれていた。

 残留争いに巻き込まれているものの、監督交代を機にアグレッシブさと規律を取り戻しつつあるサウサンプトンにとって、リーグ4位につけるチェルシーを0点に抑えて引き分けに持ち込んだ結果は、非常に大きいものだった。

 なかでも、5バックの中央で相手の決定的シュートをことごとく防いだ吉田の活躍は、英衛星放送『Sky Sports』のマン・オブ・ザ・マッチにも選出されるなど、誰が見ても印象に残るパフォーマンスであった。

 今から7年前にオランダのVVVで同僚だったカレンと吉田は、それ以降も交流が続いており、現在はオフの日にロンドンの日本食店などで頻繁に顔を合わせている。プレミアリーグで研鑽を積み、日本代表キャプテンを務めるまでに成長した吉田を、カレンは次のように評した。

「2012年の夏、ロンドン五輪前まで一緒にオランダでプレーしていましたが、その頃に比べて変わったのは、身体の大きさとフィジカルの強さだと思います。空中戦の迫力は、プレミアの中でも十分に通用しているし、それは本当にもっと評価されていいはずです。

 イギリスで契約を更新しながら、プレミア7年目に入っている。日本人として今後、二度と出てくるかわからないレベルに到達しています。

 今日のゲーム中でも、隣にいる選手たちとよく話していたし、ジェスチャーや若手に声を掛けるなど、リーダーシップをよく発揮していました。オランダに来た時から、物怖じせずにしっかりと喋れるタイプでした。若い時からすでに、人間的に成熟していた部分も大きいですね」

 下部とはいえ、同じ英国でプレーしているカレンだからこそ感じる、“後輩”の凄みだった。
 そんなカレンのキャリアは、稀有なものだと言っても過言ではない。

 一般的なファンであれば、「カレン・ロバート」と聞けば、2003年、増島竜也(現・ジェフ千葉)や佐藤優也(現・ジェフ千葉)ら多くのタレントを擁した市立船橋高校の一員として出場した横浜F・マリノスとの天皇杯3回戦で、PK戦まで持ち込んだ時のヒーロー像としての記憶が強いだろうが、彼はプロになってから世界各地を飛び回った。

 2011年にロアッソ熊本からVVVへ移籍して2年間を過ごした後、スパンブリーFC(タイ)、ソウルイーランド(韓国)、ノースイースト・ユナイテッドFC(インド)と渡り歩き、2018年7月からいわゆるセミプロの英国7部リーグに属しているレザーヘッドFCでプレーを続けている。

 なぜ彼は、今になって英国に活躍の場を求めたのか? 当人からの返答は、実に単純明快だった。

「サッカーの母国であるイギリスでプレーすることは、ずっと目標にしていたので、ここ(英国)で評価されたいと思っていました。実際、オランダのプレーオフで活躍した時には、すぐにQPRやストーク(※いずれも当時プレミア)から身分照会もあって、(移籍の)可能性もなくはなかった。