商談や出張先などで取引先の人と初対面で会った場合に名刺交換と軽い自己紹介は不可欠です。しかし、多くの人はここで「〇〇(会社名)で△△(担当)をしています××(名前)です」など、無難に済ませてしまうもの。この後の打ち合わせで相手にインパクトを与えられたら良いのですが、その後の打ち合わせが大勢の人が参加するもので、発言機会が少なかった場合、相手になかなか自分のことを覚えてもらえずに悔しい思いをしてしまうことも。そこで、Amplify Labsのジョアンナ・ブロアー氏が相手にインパクトを与える自己紹介の方法を解説しています。

How to introduce yourself so you’ll be unforgettable (in a good way!) |

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ブロアー氏は取引先の相手から「What do you do?(何をされているのですか?)」と尋ねられることが多く、これまでは質問に対して「Amplify LabsのCEOです」と答えていました。この回答をした後、多くの取引相手は「CEOになるにはどうしたらいいのですか?」や「Amplify Labsとはどんな会社ですか?」といった会話に発展していたそうです。

ある時、ブロアー氏が仲の良い取引先の相手などに「自己紹介のときに、会社名と職名を回答するのって、どう思う?」と聞いてみたところ、多くの人は「正直、ほとんど興味がない」と答えたそうです。それ以降、ブロアー氏はユニークな回答を作るように心掛けるようになりました。

そんな経験をもとにブロアー氏は、相手の印象に残る自己紹介の作り方として次の7つの方法を挙げています。人によってユニークな内容はそれぞれ異なるため、ブロアー氏は具体的な手法よりも考え方に軸をおいてポイントを解説しています。

◆1:自分の肩書きを超えるテーマを作る

最初にすべきことは、「やっている仕事はどんなもので、自分がどんな特徴を持っているか」を理解することです。実際、事前にアポイントを取った上で企業を訪問した際、取引相手は名前だけで「どの会社の人で何を担当している」かを事前のメールや電話などのやり取りで把握しています。そこで、自分を正しく表せる別のテーマを決めるのが良いとのこと。

実際、ブロアー氏の場合は、相手から自己紹介を求められたときに会社名と役職名を説明せず、「ジャーナリスト兼脚本家です」と回答しているそうです。もちろん、相手は突拍子もない回答に驚いて疑問の表情を浮かべることになりますが、そこに「なぜジャーナリスト兼脚本家と言えるのか」説得力のある回答を話すことができれば、自分を強く印象付けることにつながるとブロアー氏は説明しています。



◆2:自分だけが解決できる問題を考えておく

単に突拍子もない回答を用意するだけでは、相手に「ただの変な人だな」と思われてビジネスチャンスを損失する可能性が高くなるだけです。そこで、突拍子もない肩書きを裏付ける「説得力のある回答」を用意する必要があります。ブロアー氏は「自分の仕事でどのような問題を解決できて、相手にとってどんな効果を生み出すことができるか」を話すことが重要であると述べています。

たとえば、自分が弁護士だった場合に「私はX関連の法律に詳しい弁護士です」と回答するのではなく、「私は司法制度における最大の問題点はAだと感じています。そこで、私はBに関する専門の弁護士として、Cという方法を使って解決策を模索しています」といった内容を話すことで、相手の関心を引きつけられるとしています。

◆3:友人や同僚から自分の長所を教えてもらう

このような自己紹介を考える上で「自分の長所は何か?」をしっかりと把握する必要がありますが、多くの人は「自分にしかない長所」が何かを見極めることは難しいもの。このため、自身の長所がよくわからず、「自分の肩書きを超えるテーマ」や「説得力のある回答」を作るのに苦戦してしまうことが考えられます。そこで、ブロアー氏は職場の仲の良い知人や友人を使って、「他の人にはない『特別な部分』」を教えてもらうのが、良い自己紹介を作る秘訣だとしています。

◆4:子ども時代を振り返って自分の長所を探す

ブロアー氏は「友人や知人を使っても、良い長所が引き出せない人もいる」と指摘しています。そこで、同氏はこのときの解決策として、「子ども時代を振り返るのもアリ」と語っています。ブロアー氏の場合、子どものときから方向感覚が優れていたらしく、父親とハイキングした時に通った道を正確に覚えられる特技を持っていたそうです。同氏は「このスキルがソフトウェア開発会社に勤めていた時代に『3Dマップを視覚化する仕事』に大いに役立った」と述べており、自己紹介にも使用することができると説明しています。



◆5:少し「弱さ」を加える

自己紹介で良いことしか言わなかった場合、初対面の相手からすると「完璧な人なんているわけないのに、本当にこの人に頼んで大丈夫なのかな?」など心配に感じてしまうものです。これについて、ブロアー氏は「お互いがどんな人物かを本当に把握していないから、こういうことになる」と指摘。そこで、同氏は「この部分が少し弱点です」と自己紹介に加えることで信頼度をアップさせることができると説明しています。たとえば、「私は〇〇の部分が弱点ですが、その部分はチーム内で連携して解決します」などが言えると良い印象を持たれやすいとのこと。

◆6:作った自己紹介のフィードバックを得る

「自分だけの自己紹介」ができたからといって、すぐに試しても、必ずしも成功するわけではありません。ブロアー氏は「会社の同僚や知人・友人を(できれば5人ほど)集めて、作った自己紹介を評価してもらうべき」と語っています。その後、自分の自己紹介を聞いた人に「何が印象に残ったか」を聞けば、伝えたいことが本当に伝わっているのかなどを第三者的な目線で評価してもらえるはず。



◆7:練習する

新しくできた自己紹介を話をするときは、誰でも緊張するもの。だからといって、実際に新しい自己紹介を話す時にぎこちない話し方をしてしまっては「この人はウソをついてるのかな?」と相手に不信感を与えてしまうことが考えられます。そこで、ブロアー氏は実際に「取引相手に新しい自己紹介を行う前に、自然に話せるように同僚や知人を相手に何度も練習することが重要です」と述べており、練習するついでに友人たちから自己紹介のフィードバックも受けられるので一石二鳥であると説明しています。

◆8:昔の自己紹介に戻らないように努力する

ブロアー氏は「正直、『〇〇(会社名)で△△(担当)をしています××(名前)です』と語るのが、最も楽な自己紹介で、精神的な負担も少ないものです」と認めています。しかし、それに甘えることはせず、「新しい自己紹介を続けることで、新しいビジネスチャンスを得られるでしょう」とブロアー氏は語っています。